日本代表MF金崎夢生(20)が4日、浦和戦で右肩を脱臼し、長期離脱する可能性が出てきた。後半30分、右肩を強打した金崎は肩を押さえて退場。試合終了直後に右肩を包帯でつるして、さいたま市内の病院に直行し、右肩脱臼と診断された。全治は不明だが、今後、大分市内の病院で再検査を受ける予定だ。右肩は3月14日・京都戦でも痛めていた個所だった。

金崎は同7日の開幕、名古屋戦でゴールを決めるなど、今季は好調をキープ。同28日のW杯最終予選・バーレーン戦メンバーに招集され、この日も浦和DFをドリブルで切り裂いていた。20日からU−20代表合宿招集も確実視されていた。

最近、FWウェズレイ、高松、MFホベルトと主力のけが人が続出している大分関係者は、「困ったよ」と頭を抱えていた。
(大分・金崎 右肩脱臼で長期離脱も…J1第4節)


関節は骨、靭帯や関節包といった安定性を保つ機構、周囲の筋肉により構成されています。この骨の形態異常や、靭帯や関節包の機構、筋緊張の異常によって、関節を構成する骨の相互の正常な適合関係が失われてしまい、関節面同士の接触が断たれた状態を「脱臼」といいます。

大きく分けて先天性脱臼と後天性脱臼とがあります。後天性脱臼はさらに、外傷性脱臼と病的脱臼に分けられます。

また、脱臼は完全脱臼と亜脱臼があり、完全脱臼では、関節面が完全にずれ、自然整復は生じ難いです。亜脱臼は関節面の一時的な不完全なずれで、自然整復が起きる場合が多いです。振動や手を動かしただけで整復されるため、見逃しやすいです。

外傷性脱臼とは、外力の作用によって靭帯や関節包などの支持組織が断裂して起こる脱臼です。病的脱臼には、関節の動きに関与する筋や靭帯などが弛緩しているために起こる弛緩性脱臼、関節内に炎症性の関節液が貯留し関節包が拡張することによる拡張性脱臼、関節を形成する骨・軟骨・関節包の病的変形や破壊による破壊性脱臼、などがあります。

上記のケースのような場合、外力の作用によって起こったと考えられ、外傷性脱臼に当てはまると考えられます。脱臼の中で最も多いのは肩関節であり、次いで股関節、肘関節に多いといわれています。

肩関節は、その運動範囲が大きいのと同時に、人体中最も脱臼しやすい関節です(すべての脱臼の約45%)。外傷性肩関節脱臼の約85%が肩関節前方脱臼で、後方脱臼は1.5%です。

前方脱臼は、受傷直後から強い疼痛と運動制限が生じます。骨頭が烏口下まで移動した完全脱臼では、軽度外転で内旋位をとります。骨頭の移動で肩前方の膨隆、肩峰下部の陥凹があります。

神経、血管の圧迫のために上肢の痛み、しびれ、麻痺症状が生じることがあります。とくに、腋窩神経の麻痺が生じた場合には、その固有領域である三角筋外側部に知覚鈍麻(redimental badge sign)を生じます。

脱臼を繰り返す人もいらっしゃいますが、これは初回の外傷性脱臼時に損傷した骨・軟部組織が完全に治癒せず、その後に軽い外力で脱臼を繰り返すようになったものと考えられます。ちなみに、こうした状態を反復性肩関節脱臼といい、若い人に多いといわれています。

とくに、前方関節唇・下関節上腕靭帯(IGHL)複合体が関節窩から剥離するBankart損傷が94〜97%にみられ、こうした部位の治癒が十分でないために繰り返してしまう可能性が高いと考えられます。

必要な治療としては、以下のようなものがあります。
外傷性前方脱臼の場合、X線撮影を行い、骨傷の有無を確かめた後、できるだけ早期に、しかも優しくに徒手整復する必要があります。年齢、骨頭の位置、脱臼の経過時間などを参考に必要な麻酔を決めます。関節腔内局所麻酔が有用であり、ほかに腕神経叢ブロック、静脈麻酔などを用います。

徒手整復法としては、Hippocrates法,Kocher法が知られていますが、合併損傷が報告されているので、あくまで優しく行うよう注意が必要です。Stimson法は患者を腹臥位として、患肢を下垂させ、下方に優しく牽引します。重錘を利用する変法もあり、Milch法は患者を仰臥位とし、患肢を外転つづいて外旋し、上腕骨頭を後方に押し戻す方法です。

整復後は、軟部組織の修復のため、少なくとも3週間の固定が必要です。痛みが軽減した後は、腱板および肩周囲筋の可動域訓練や筋力強化訓練を行い、スポーツをする人の場合、術後3ヶ月くらいをめどに再開します。一般的に、骨折や腱板損傷の合併があるときでは、観血的治療法(手術)が行われます。

怪我で出場や練習ができないとなれば、非常にもどかしい思いに駆られるかとは思われますが、まずはしっかりと静養なさって、怪我を治されることが重要であると思われます。

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