ホクロは悪性でない限り取る必要はないが、美容の面から取りたいという人も多い。小さめのホクロなら、レーザーを照射して取ることができる。メスで切開するのに比べて痛みが少なく、簡単にできるイメージがある。ところが、エステサロンで受けて、皮膚が陥没し、やけどの状態になってしまったというトラブルが相次いでいる。

国民生活センターによると、医療機関外でホクロを取り、皮膚が陥没したり、やけどの状態になったりする、という相談が1999 年4 月1 日~2009 年3 月31 日の10年間で少なくとも47件寄せられた。09年4月9日に発表した。

内訳はエステティックサロンで起こったケースが39件、ホクロ取りクリームを使用し自己処理によるトラブルが8件。年齢別では30歳代が20人、20歳代が11人、40歳代が8人。10歳代もいる。美容目的でのホクロ取りは若い人に多いようだ。

静岡県の20 歳代女性は、エステでレーザーによるホクロ取り施術を3 回受けた。1か所1 回1000 円という安さが魅力だった。弱い照射の施術なので皮膚へのダメージは少ないと説明され、軽い気持ちで受けたが、ホクロ以外の部分がやけどのようになってしまった。

ホクロが取れるという広告を見てエステに行ったという東京都の50歳代女性。広告には「ビューティーサポートクリニック」と書いてあったが、医師はいなかった。オゾンを数回浴びる事でホクロが消えると言われ、施術を受けた。痛みが強く、2日後には皮膚が化膿してしまった。

ホクロの大きさ、根の深さなどで除去方法が変わる。直径7ミリ以下のホクロの場合、レーザー光線を照射して取ることが多い。エステでやっているのは、このタイプがほとんどだ。大きく、根が深い場合は、メスで取り除き、縫合する。医療行為なのでエステでは行えず、美容外科、皮膚科医院や大学病院で実施している。

「美容外科・皮膚科の評判・口コミ掲示板」には、美容外科でホクロ除去をしたが、結局失敗だったという相談がたくさん書き込まれている。

愛知県の美容外科でホクロとシミをレーザーで除去したという30歳代の男性は、術後3か月経過したが、シミもホクロも大きさすら変わらない。こんな不満を09年4月10日に書き込んでいる。

取った部分が「大きなクレーター状」になっている、という女性もいる。東京都の美容外科で顔のホクロを除去した。雑誌に「治療後すぐにメイクをして帰れる」とか、「お出かけ前に気軽に立ち寄れる」と紹介されていたので安心して治療を受けに行ったが、結果は散々。2か月後に結婚式を控えているが、傷跡が目立っていて「泣きたい状況」だ。書き込んだのは3月29日だ。

保健医療機関「広尾皮フ科クリニック」の和泉達也院長は、

「ホクロにはいろんなタイプがあります。表面が隆起していたり、皮膚の奥深くに入り込んでいたり。状態に応じて施術方法を見極めなければなりません。ホクロの構造がわかっていないと、本来、施術はできません」
という。エステでホクロ取りをやっているのを知り、驚いたそうだ。

トラブルが多い原因については、「説明不足」を指摘する。

簡単にホクロを除去できるというイメージがあるレーザーだが、実際は数回にわたって照射しなければならず、それでも絶対消えるとはいえない。時間が経ち再発する可能性もある。リスクの説明がきちんとされず、理解しないで受けてしまう人が多いようだ。
(化膿、皮膚陥没、クレーター状に 苦情続出「ホクロ取り」手術)


いわゆるホクロとは、後天性色素細胞性母斑と呼ばれ、通常生体に最も多く認められる黒褐色調の色素斑または結節を指します。生後ある程度経てから発症したもので、AckermanによりUnna、Miescher、Spitz、Clark母斑の4型に分けられています。

ごく小型のものを含めれば1人に10〜30個存在し、顔面をはじめ全身にみられます。円形〜類円形で淡褐色〜黒色調を呈します。半球状に隆起したり(Miescher型)、表面が乳頭状を呈します(Unna型)。

これ自体は良性なので放置するか、除去希望のある場合は完全に取り残さず切除することが大切です。安易に非医療機関などで除去したりすることは避けるべきであると思われます。いじったり刺激せず、紫外線曝露を避けることも重要です。

治療としては、切除縫縮術またはくり抜き術、上記のようにレーザー療法などがあります。レーザー療法については、以下のような説明ができます。
皮膚科領域のレーザー治療としては、
.檗璽肇錺ぅ麒貳叩∝状血管腫などの血管腫に対するダイレーザー治療
太田母斑、異所性蒙古斑、扁平母斑などのメラニン色素増殖性疾患に対するルビーレーザーまたはアレキサンドライトレーザー治療
I夙虔貳叩⊃匸鐇疣贅などの疣状隆起性病変に対するCO2レーザー治療
などがあります。

ホクロなどを除去する場合、CO2(炭酸ガス)レーザー治療などが選択されます。従来の電気焼灼に比べより周辺組織に対する侵襲が少ないという利点があります。その一方で、残存や再発もしやすいので再照射が必要なことも多いです。キシロカインなど局所麻酔薬の局所注射が事前に必要となります。

レーザー治療後は、軽い熱傷の状態となるためその治療を1週間〜10日間行います。軟膏を塗布し、ガーゼで覆い、直接濡らさないように注意します。また、レーザー治療後の日焼けは照射部位の色素沈着をきたすおそれがあるので、遮光を心がけてもらうことも重要です。

レーザー治療行うのに際し、その合併症も十分に説明する必要がありますが、それ以上に本当に"ホクロ"かどうか、その鑑別も重要です。安易にレーザー治療を行ってしまい、実は悪性腫瘍であった、という可能性もあるのではないでしょうか。やはり、しっかりとした医療機関の皮膚科に受診し、相談することが勧められます。

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