読売新聞の医療相談室で、以下のような相談がなされていました。
中学1年生の時、心臓に針の先ほどの大きさの「心室中隔欠損」が見つかりました。自然にふさがると言われたのですが、先日受けた健診で、「穴はふさがっていないだろう」と指摘されました。(41歳女性)

この質問に対して、横浜市立大学付属病院心臓血管外科部長である益田宗孝先生は、以下のようにお答えなさっています。
心室中隔欠損とは、肺に血液を送る心臓の右心室と体全体に血液を送る左心室の間の壁に生まれつき穴が開いている病気です。

左心室から右心室に血液が漏れて肺へ余分な血液が流れこむことが多く、肺に血液が停滞する肺うっ血や、肺動脈の血圧が高くなる肺高血圧などになったり、心不全を起こしたりします。

穴が大きいと赤ちゃんの時期に手術が必要な人もいますが、5歳までに自然に穴がふさがる人もいます。

肺を流れる血液の量が、正常の人に比べて1・5倍以上であれば、肺や心臓の負担を取り除くために穴を閉じる手術をした方が良いとされています。

肺を流れる血液の量が1・5倍未満でも、左心室の「大動脈弁」が穴にはまりこみ、弁が変形して十分に閉まらなくなって血液が逆流するなどした場合は、手術が必要です。

心室中隔欠損(VSD)は、左右心室間を仕切る心室中隔に穴(欠損)が開いている心奇形です。欠損孔の位置により4種に分類され、Kirklin(カークリン)の分類が用いられます。

儀燭榔室流出路の肺動脈弁直下の欠損で、大動脈弁右冠尖の逸脱、大動脈弁閉鎖不全症(AR)を合併しやすく、東洋系人種に比較的多いです。況燭録桓蔀羈屬遼賤揺瑤よびその周辺の欠損で、頻度は最も多いです。祁燭録監睨貍卸臑桟燭派囘戮郎任眈ないでし。厳燭篭收部欠損で多孔性(Swiss cheese様)のことがあり、頻度は少なく自然閉鎖例が多いです。

最も多いのは膜様部にある欠損孔で、自然閉鎖の傾向が強いです。次に多いのが肺動脈弁に近く、漏斗部にある欠損孔で、高率に大動脈弁閉鎖不全を起こします。このほかに筋性部欠損と心内膜床欠損型がありますが、稀です。

欠損孔の大きさによりそれぞれ異なり、欠損孔が小さい場合には雑音があるだけで、血行動態はほぼ正常で、肺動脈圧、肺血流量も正常です。欠損孔が中等大(1cm程度)の場合には左室から右室への左-右短絡により肺血流量の増加と左室の容量負荷が生じます。肺動脈圧は正常か、少し高くなります。欠損孔が大きい場合(2cm程度)には、右室圧は左室圧に等しくなり、肺高血圧症を生じます。短絡の方向と短絡量は肺血管抵抗の高さにより決まります。

生後まもなく心雑音にて発見されることが多く、小欠損孔では自覚症状はありません。中欠損孔では反復性気道感染、息切れを認めることがあり、大欠損孔では乳児期から心不全、体重増加不良を認めます。

聴診では、胸骨左縁第3〜4肋間に最強点(右室流出路の肺動脈弁直下の欠損をもつタイプでは第2肋間)を有する粗い汎収縮期雑音を聴取し、しばしば振戦を触知します。左右短絡量が多い症例では、心尖部に群察拡張中期ランブルを聴取します(僧帽弁口を通過する血流増大を反映)。

診断としては、胸骨左縁の粗い汎収縮期雑音で本症を疑います。心エコー図により欠損孔、短絡血流を証明し、さらに病型、欠損孔の大きさと数、左-右短絡量、肺高血圧の有無を診断します。

治療としては、以下のようなものがあります。
逆流がひどい場合は人工弁を入れる必要がありますが、それほどでもないのであれば、穴をふさぐだけでよく、早めに手術することを勧めます。

また、穴によって血液の流れに乱れが生じているため、心臓の弁や内膜にばい菌が付着して起こる「感染性心内膜炎」になることがあります。感染性心内膜炎になると、大きな手術が必要になることがまれではなく、日ごろから細菌感染の予防が必要になります。

まず、子供の心臓病に詳しい専門医を受診し、心臓エコー検査をお受けになることをお勧めします。

上記のように、小欠損孔は経過観察でよいといわれています(細菌性心内膜炎に注意しながら経過観察を続ける)。ただ、儀燭紡臚位弁逸脱、ARを合併した場合、中〜大欠損孔で肺体血流比が2.0以上の場合は手術(パッチ閉鎖)を考慮します。

ただ、心房中隔欠損症、心室中隔欠損症、動脈管開存症などで、肺高血圧と高度の肺血管閉塞病変が合併し、右-左短絡を生じた場合をEisenmenger症候群と呼びます。こうなると、欠損孔を手術で閉鎖すると肺高血圧のために手術台上で死亡したり、手術後数年で死亡したりするので、手術は禁忌となってしまいます。

また、生活上での注意として、感染性心内膜炎(IE)の予防のため、歯科治療などの菌血症を伴いやすい処置のときは抗生物質の予防投与を行うことも重要です。

ご心配なこととは思われますが、まずは循環器内科などでしっかりと精査を行い、その上で手術を行うべきかどうか、主治医とご相談の上、今後の方針を決められることが望まれます。

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