糖尿病とメタボは似たもの同士というと驚かれるかもしれないが、どちらもインスリンが効かないという点では、“同族”である。

インスリンとは膵臓で作られ、糖を細胞内に取り込んでエネルギーとするホルモンの一種。この機能が働かなくなり、糖を利用できなくなると血糖値が上がり糖尿病を発症する。かたや、血圧を高めたり中性脂肪を増やしたり−つまりメタボの原因をつくる。

よく「メタボは糖尿病予備軍」と言われる。それはメタボを放っておくと、やがては糖尿病へと移行する可能性が極めて高いという意味だ。

アルコールや脂っぽいもの甘いものが大好きで過食ぎみ、その上、食後すぐ寝るという悪癖。また運動不足で毎日強いストレスを感じているなど、身に覚えがある人は糖尿病かその予備軍になりつつあるかもしれない。脅すわけではないけれど。

やっかいなことに、初期の糖尿病は自覚症状がない。それはメタボも同じだ。出っ腹はホント見苦しくても、別におなかが痛むとかだるいとかの全身症状があるわけではない。

だからつい油断する。これらを警戒するには空腹時血糖値をチェックするといい。糖尿病では126mg/dl以上が、またメタボでは110mg/dl以上が“危険区域"となる。

現在、糖尿病(予備軍も含む)の疑いがある人は2210万人。メタボ検診は40〜74歳の約5600万人を対象に行われているところである。

病気は一日にして成らず。生活習慣の改善でこれら重篤な病気は予防できるとしても、それをする・しないは私たち自身にまかされているのだよなあ。
(メタボは糖尿病予備軍…移行する可能性は極めて大)


糖尿病とは、インスリンの絶対的もしくは相対的不足により引き起こされる、持続的な高血糖状態を指します。自己免疫的機序により発症する1型糖尿病と、それ以外の原因による2型糖尿病に大別できます。

1型糖尿病は、自己免疫的機序により、膵臓のインスリン産生を行っているβ細胞の傷害によって起こると考えられます。故に、絶対的なインスリンの不足(産生自体が難しくなるため)が起こってきます。国内の小児の年間発症率は、10万人当たり1.5人で、学童期に多く発症します。

発症は急激で、高血糖による口渇、多飲、多尿、体重減少が進行し、脱水、意識障害をきたします。肥満はなく、むしろやせ型で、家系内に糖尿病患者は少ないという特徴があります。

一方、2型糖尿病とは、生活習慣が大きく関わっており、慢性的な高血糖状態やインスリン抵抗性(インスリンが多く分泌されていても、効かない状態)により、相対的なインスリン不足状態を指します(分泌自体はあっても、作用が追いつかない状態)。その後、インスリン分泌不全も起こってくる可能性があります。1型に比べ、2型糖尿病では家族歴が濃厚で、学童期以降に学校検尿で発見されることが多いです。

インスリン分泌低下をきたす素因に、過食、肥満、運動不足、ストレスなどの環境因子および加齢が加わり発症します。従来、成人での発症が大部分でしたが、小児肥満の増加とともに小児での発症が増えてきています。ただ、肥満を伴わずインスリン分泌不全が主体となる例が2型糖尿病の10〜20%に認められます。

上記のような糖尿病とは、2型の方を指していると考えられます。過食、肥満、運動不足、ストレス…など、これらの環境因子は、恐らくメタボリックシンドロームの状態へとなりやすいとも考えられ、やはり生活習慣病というとらえ方は重要です。自身のライフスタイルを考え直すことは、治療と予防に有用です。

では、具体的なその対策としては、以下のようなものがあります。
治療の基本としては、食事療法と運動療法を柱とする生活習慣の改善です。肥満、特に内臓脂肪の蓄積は、高血糖のほか、高血圧、高脂血症をも併発する状態(メタボリック症候群)を引き起こし、心血管疾患のリスクを増すため、体重の減量だけでなくウエスト周囲径の減少も念頭に置いて行い、禁煙指導も重要です。

食事療法としては、標準体重=(身長m)2×22(kg)を計算し、これに25〜30kcalを乗じて1日の摂取カロリーとしますが、これは患者の生活活動度や肥満度、年齢によって適宜変える必要があります。栄養素のバランスをとるように指導し、脂肪の比率を25%以下とし、ショ糖摂取を減らし、食物繊維を十分に摂取します。

また、継続的な運動は肥満の軽減、インスリン感受性の改善、基礎代謝量の増加をもたらします。ウォーキングなどの有酸素運動は内臓脂肪燃焼に有効であり、1回20分以上週3回、できれば毎日行うようにします。

薬物療法は、十分な食事・運動療法を行っても血糖降下が不十分な症例において考慮します。αグルコシダーゼ阻害薬(ベイスン、グルコバイ)、速効型インスリン分泌促進薬(ファスティック、スターシス、グルファスト)などを用います。

インスリン抵抗性の存在が疑われるものとしては、インスリン抵抗性改善薬(チアゾリジン誘導体アクトス)、あるいはビグアナイド剤(メルビン、グリコラン、ジベトスB )を用います。また、インスリンの基礎分泌が低下して,空腹時高血糖をきたしているものについては、インスリン分泌刺激薬であるスルホニルウレア(SU)剤を服用します。

生活指導や経口剤投与を十分に行っても、高血糖が持続する場合、手術前や感染症時には、インスリン投与を考慮します。食後のインスリン追加分泌を補う速効型あるいは超速効型を各食前に、加えて早朝血糖が高いものには夜間のインスリン基礎分泌を補う中間型インスリンを眠前に行う1日3〜4回投与を行います。

自覚症状が無いだけに、ついつい見逃しがちな糖尿病。そして、メタボリックシンドロームも病気になって初めて、その対策の重要性に気づくものです。ぜひともライフスタイルを是正してみてください。

ちなみに、自宅から郵送するだけで糖尿病の検査ができるキットもあります。これならば気軽に受けることができる、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

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