読売新聞の医療相談室で、以下のような相談がなされていました。
22歳の娘のことで相談です。3〜4か月に1度ぐらいの割合で、おねしょをします。日中もトイレが近く1日に10回ぐらい行きます。(51歳母)

この相談に対し、東京都済生会中央病院副院長である中村聡先生は以下のようにお答えになっています。
夜尿症(おねしょ)と言っても、小児期からずっと続くものもあれば、一度治ったものの半年以上たって再び、おねしょを繰り返す場合もあります。

夜尿症の主な原因としては、〈1〉尿をためたり出したりする膀胱(ぼうこう)の働きに障害がある〈2〉尿の量が多過ぎる〈3〉睡眠障害がある――などが挙げられます。

膀胱の機能障害とは、脳卒中や神経の病気などで、膀胱の筋肉や神経の働きが悪くなったり過敏になったりした状態です。

また、尿の量が増える原因には、糖尿病、のどがひどく渇いて尿の量が多くなる「尿崩症」、腎臓の働きが悪くなる腎機能障害などがあります。

睡眠障害は、眠りが深すぎて起きられない場合などです。就寝中に呼吸が止まる「睡眠時無呼吸症候群」でも、夜尿症の頻度が高くなるとされています。

夜尿症とは、5歳以上で夜間の尿失禁が週2回以上認められ、器質的原因のない場合を指します。夜尿症単独例は約80%で、その他は昼間遺尿(昼間に尿が漏れてしまうこと)、便失禁などを合併します。有病率は5歳児で20%程度であり、その後1年ごとに15%ずつ治癒し、成人では1%未満となります。

分類としては、
々獲尿ホルモン(AVP)の夜間分泌低下に基づく夜間多尿
排尿と蓄尿を調節する末梢・中枢神経の未熟性に基づく夜間膀胱容量低下

これら2つの要因によって、夜間尿量が睡眠時膀胱容量を上回り、夜尿が発生します。

ちなみに,鯊診型(1回夜尿量が、10歳未満≧100mL、10歳以上≧150mLであったり、夜間尿量:8歳未満≧180mL、10歳未満≧200mL、10歳以上≧250mLである)、△鱧胱型(1回夜尿量と夜間尿量が上記基準値未満の場合)、,鉢△旅臺擦鮑合型夜尿症(多尿型と混合型の合併した夜尿症で、1回夜尿量が上記基準値未満で、夜間尿量が上記基準値以上の場合)といいます。

ただ、器質的疾患として、尿路感染症や糖尿病、尿崩症などがある場合や、尿道の異所性開口などの尿路奇形、二分脊椎による神経因性膀胱などがあったり、夜間のてんかん発作による尿失禁(夜尿頻度が少なく月1回以下のことが多い)があって夜尿症が生じることがあります。

そこで診断としては、|覺岼簀△陵無、一次性と二次性の区別(上記のような器質的疾患の有無)、L詛△慮彊となる合併症の有無、だ鎖星親鞍達の評価、ナ部・会陰部の形態的・神経学的異常の有無などを調べる必要があります。

また、泌尿器科的疾患の鑑別のため尿検査と画像検査(腹部超音波、排泄性膀胱尿道造影)を行います。神経因性膀胱やてんかんの可能性があれば腰仙部のMRI、尿流動態検査や脳波検査を行うこともあります。

治療としては、以下のようなものがあります。
単に水分を取り過ぎるだけでも原因になります。寝る前に水分を取り過ぎていないかどうかなど、生活を振り返ってみましょう。

夜尿症は、服薬治療で改善する場合があります。膀胱の働きを緩やかにして排尿作用を抑える「抗コリン薬」や、尿を濃くして量を減らす「抗利尿ホルモン薬」などを服用します。

質問者の場合、昼間もトイレが近いということですから、何か頻尿を引き起こしている病気が隠れている可能性が高いと思われます。まず、夜尿症に詳しい泌尿器科を受診し、頻尿の原因が何なのか調べてみることをお勧めします。

やはり、まずは泌尿器科で詳しい検査を行うことが重要であると思われます。そこで多尿の原因を精査することから治療を探ることが必要です。

日本夜尿症学会により作成された「夜尿症診療のガイドライン」によると、治療法に関しては、その効果が国際的に確立されている、『抗利尿ホルモン薬、三環系抗うつ薬、抗コリン薬、夜尿アラーム療法』について解説されています。

まず、生活指導としては水分・塩分制限を行います。これはすべての病型で行われ、夕食以降の水分摂取は禁止します。塩分摂取が多いと体は水分を要求し、その結果尿量が増えるので、みそ汁などは禁止します。

さらに、夜中に起こさないことも重要で、夜起こしは夜尿の固定化につながり、抗利尿ホルモンの分泌低下を引き起こし夜間多尿の原因にもなります。寒さ対策も重要で、寒さは夜間尿量増加と膀胱容量低下の原因になるので、十分な保温に努めます。

排尿抑制(がまん尿)訓練は、膀胱型夜尿症に対する行動療法で、尿意があっても可能な限り排尿をがまんさせる訓練も行われます。

夜尿症は機能的膀胱容量の過少(排尿機能未熟型)や、抗利尿ホルモンの夜間分泌不全(多量遺尿型)です。したがって、前者には抗コリン薬( 塩酸プロピベリン)が、後者には抗利尿ホルモン薬(酢酸デスモプレシン)が理にかなっていますが、いずれの病型でも軽症例は三環系抗うつ薬が有効なことが多いです。

夜尿アラーム療法とは、下着に付けた高感度センサーが夜尿出現時の少量の尿を感知し、ブザー音で覚醒・排尿を促すという方法があります(有効率は80%以上とされます。国内でも、ちっちコールという名前で販売されています)。

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