読売新聞の医療相談室で、以下のような相談がなされていました。
重いものを持った拍子に膝を痛め、「内側靱帯損傷」と診断されました。寒くなると痛みます。何か予防法はありませんか。(40歳女性)

この相談に対して、順天堂東京江東高齢者医療センター副院長の黒沢尚先生は、以下のようにお答えになっています。
靱帯とは、関節の骨と骨をつなぐものですが、球技などで人と激しくぶつかるなどの強い衝撃が加わらない限り、簡単には損傷しません。重いものを持ち上げた程度で損傷することはあまりなく、靱帯損傷が痛みの原因ではない可能性もあります。

ほかに考えられる原因としては、膝にかかる衝撃を吸収する役割がある軟骨や半月板がすり減ったりもろくなったりして起こる、「変形性膝関節症」や「半月板損傷」などがあります。

寒い時に痛くなる理由ははっきり分かりませんが、いずれにしても、その時だけしか痛くならないのであれば、症状はそれほど重くないと思われます。

外力によって、膝関節に過度の運動が強制された外傷の中で、脱臼などがなく骨同士の位置関係が保たれているものを「捻挫」と総称します。この中には靭帯、半月、関節軟骨などの損傷が含まれます。

これら外傷は、その後の診察・検査により損傷部位が明らかになれば、たとえば前十字靭帯損傷といったような特定の解剖学的部位名を伴った診断名で表現されるようになります。

膝関節の主要な支持機構として、前十字靱帯、後十字靱帯、内側側副靱帯、外側側副靱帯があります。

内側側副靱帯(MCL)は、膝関節内側支持機構の主役となっています。内側側副靱帯の損傷は、膝外反や下腿外旋などの強制により生じます。スポーツ外傷では、フットボール、ラグビー、サッカー、柔道などのコンタクトスポーツでの受傷が多いですが、スキー中の転倒により受傷することも多く、ノンコンタクトスポーツでもしばしば損傷します(膝靱帯損傷中の約40%を占め、その約70%が単独損傷)。

その症状では、膝内側の疼痛や可動域制限が主訴となります。ですが、その程度と損傷の重傷度は必ずしも一致せず、比較的軽度の損傷でも疼痛や腫脹が強い場合があります。

靱帯損傷の程度はAmerican Medical Associationにより、次のように分類されています。
掬戞微小断裂はあるが不安定性は生じない
凝戞肉眼的な小断裂はあるが、連続性は保たれる。不安定性を認めるがend pointが存在する。
慧戞Т袷潅芭。著明な不安定性を認める。

損傷靱帯の重症度を診断するのは、皮下出血や腫脹の程度です。皮下出血が早期よりある場合や腫脹の著明な場合は、靱帯断裂を考えます。前距腓靱帯は内がえし時外果前縁に靱帯の緊張を触れることが可能なため、受傷直後の腫脹が少ない時期では断裂を確認できます。触診でわからない場合は踵骨を前方に引き出し、前方移動不安定性がないかを確認します。単純X線写真は、骨折との鑑別のため必要となります。

治療としては、以下のようなものがあります。
薬物治療や手術を考える前に、まず、痛みの再発を予防するために、脚の筋肉を強くする運動をしてみてください。脚の筋肉を鍛えることで、膝にかかる負担を少なくし、痛みを軽くすることができます。

家庭で簡単にできるのは「脚上げ体操」と呼ばれるリハビリです。

まず、あおむけに寝るか、いすに浅く腰掛けるかします。片方ずつ膝を伸ばし、かかとを床より10 cm持ち上げます。そのままの状態を保ち、5秒間たったら下ろします。これを20回繰り返して1セットとします。朝と晩にそれぞれ1セットずつ行ってください。

また、ウオーキングも良いリハビリになります。1回20分以上、週2回以上歩いてください。いずれにしても痛い時は無理をしないで下さい。

損傷後、あまり時間が経っていないならば、掬戮梁蚕に対しては、局所冷却および圧迫包帯のみで様子をみます。凝拌蚕は、ヒンジ付き装具を装着させ可及的に早期に全荷重歩行を許可し、関節可動域訓練および大腿四頭筋強化訓練を行います。

慧拌蚕においては、まず検査などで十字靱帯とくに前十字靱帯損傷合併の存在を否定する必要があります。単独損傷と診断した場合は、硬性膝装具を使用し、疼痛に合わせた松葉杖による部分荷重を指導します。

基本的に、合併靭帯損傷がなければ、筋力訓練などによる保存的治療で対応しうるものが多いです。ただ、,慧拌蚕では保存的治療で外反不安定性が残存し、再建術が必要となる可能性があることもあります。

まずは、整形外科の専門医に診ていただき、診断をはっきりさせてからリハビリなどの助言をいただくのがいいのではないでしょうか。

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