厚労省が平成19年に行った調査によると、糖尿病が強く疑われる人は国内に890万人、可能性が否定できない人は1320万人。合わせて、国民の約6人に1人に糖尿病の傾向が見られる。

しかし、糖尿病は合併症を起こさない限りは自覚症状がほとんどないため、患者の理解は低い。同じ調査で「糖尿病が強く疑われる」人の約4割が、「ほとんど治療を受けたことがない」と回答している。

加えて、治療中の患者でも、合併症が起こらないように状態をコントロールし続けるのは簡単ではない。血糖値だけでなく、血圧や悪玉コレステロールなどの値を正常にし、患者の生活スタイルに合わせた治療が必要だ。高田さんのように、認知症を発症すると、コントロールはさらに難しくなる。

日本糖尿病学会の渥美義仁理事は「糖尿病は医師が薬を調整すれば足りるといった病気ではない。患者の食事や運動、生活などあらゆる要素が治療にかかわってくる。100人いれば100通りの治療があり、選択肢の多い医師にかかる必要がある」と、医師の専門性を重視する。

しかし、患者数に比して、専門医は多くない。現在は約3900人で、単純計算では、1人の専門医が約5700人を見なければならない。専門医は同学会のホームページで検索できるが、地域にいない場合もあり得る。

治療に専門性が不可欠なこともあり、専門医資格の取得要件は厳格。結果的に「専門医でなくても、糖尿病患者に適切な治療のできる医師は意外に多い」(東京都内の専門医)ともいわれる。しかし、この「隠れた糖尿病医」を探すのは難しい。

では、患者が医師を探す目安は何か。渥美理事は「専門医以外に、日本糖尿病協会の登録医制度があり、糖尿病の治療に携わる地域の医師が多数、登録しているので参考にしては」とアドバイスする。

ただ、専門医ほど登録条件が厳しくない。患者も自分に合う医師を根気強く探す必要がありそうだ。
(「糖尿病」専門医の選択がポイント 状態、飛躍的改善へ)


糖尿病とは、インスリンの絶対的もしくは相対的不足により引き起こされる、持続的な高血糖状態を指します。自己免疫的機序により発症する1型糖尿病と、それ以外の原因による2型糖尿病に大別できます。

1型糖尿病は、自己免疫的機序により、膵臓のインスリン産生を行っているβ細胞の傷害によって起こると考えられます。故に、絶対的なインスリンの不足(産生自体が難しくなるため)が起こってきます。

臨床的には突然発症するかのように見えますが、発症に至るまでに、比較的長期にわたり、β細胞が序々に破壊されるという過程が存在します。1型糖尿病の基盤として、免疫現象に深く関わっているHLA分子の多型に代表される遺伝因子が関係しているといわれています(基盤には、免疫現象に深く関わっているHLA分子の多型に代表される遺伝因子および環境因子が存在するといわれています。このような自己免疫性1型糖尿病に対して、必ずしも自己免疫的機序が証明しえない症例も少なからず存在します)。

一方、2型糖尿病とは、生活習慣が大きく関わっており、慢性的な高血糖状態やインスリン抵抗性(インスリンが多く分泌されていても、効かない状態)により、相対的なインスリン不足状態を指します(分泌自体はあっても、作用が追いつかない状態)。その後、インスリン分泌不全も起こってくる可能性があります。

上記で言う「糖尿病」とは、後者の2型糖尿病のことを主にいっていると考えられます。2型糖尿病治療としては、基本的に以下のようなことを行います。
治療の基本としては、食事療法と運動療法を柱とする生活習慣の改善です。肥満、特に内臓脂肪の蓄積は、高血糖のほか、高血圧、高脂血症をも併発する状態(メタボリック症候群)を引き起こし、心血管疾患のリスクを増すため、体重の減量だけでなくウエスト周囲径の減少も念頭に置いて行い、禁煙指導も重要です。

食事療法としては、標準体重=(身長m)2×22(kg)を計算し、これに25〜30kcalを乗じて1日の摂取カロリーとしますが、これは患者の生活活動度や肥満度、年齢によって適宜変える必要があります。栄養素のバランスをとるように指導し、脂肪の比率を25%以下とし、ショ糖摂取を減らし、食物繊維を十分に摂取します。

また、継続的な運動は肥満の軽減、インスリン感受性の改善、基礎代謝量の増加をもたらします。ウォーキングなどの有酸素運動は内臓脂肪燃焼に有効であり、1回20分以上週3回、できれば毎日行うようにします。

薬物療法は、十分な食事・運動療法を行っても血糖降下が不十分な症例において考慮します。αグルコシダーゼ阻害薬(ベイスン、グルコバイ)、速効型インスリン分泌促進薬(ファスティック、スターシス、グルファスト)などを用います。

インスリン抵抗性の存在が疑われるものとしては、インスリン抵抗性改善薬(チアゾリジン誘導体アクトス)、あるいはビグアナイド剤(メルビン、グリコラン、ジベトスB )を用います。また、インスリンの基礎分泌が低下して,空腹時高血糖をきたしているものについては、インスリン分泌刺激薬であるスルホニルウレア(SU)剤を服用します。

生活指導や経口剤投与を十分に行っても、高血糖が持続する場合、手術前や感染症時には、インスリン投与を考慮します。食後のインスリン追加分泌を補う速効型あるいは超速効型を各食前に、加えて早朝血糖が高いものには夜間のインスリン基礎分泌を補う中間型インスリンを眠前に行う1日3〜4回投与を行います。

生活習慣と大きく関わってくる疾患であるだけに、やはりまずはライフスタイルの見直しが第一となります。その上で、しっかりと薬剤などで加療を行う必要があると考えられます。そうした生活指導を含めた治療を行える医師の存在が、糖尿病治療には必要となっているようです。

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