以下は、ザ!世界仰天ニュースで取り上げられていた内容です。

北海道に住む由佳さんは、長年自分のことを「ダメ人間」と責め続けていた。それが脳の障害によるものと気付くまで…。

小さい頃、誰とも会話をしないで過ごす事が多かった由佳さんだが、いつしか文字が読めるようになる。それは、気に入った事には凄い集中力を発揮するため、同じ本を何度も読み続けた結果だった。4歳になる頃には小学校低学年程度の漢字はすべて読めるようになった。また、心配していた口の重さも治り、由佳さんはとてもおしゃべりな女の子になって、友達もたくさん出来た。

ところがこの頃、由佳さんは人生で初めての壁にぶつかる。折り紙の端と端を揃えるという簡単な作業が出来ない。ハサミを使うとまっすぐに切れず、どうしてもギザギザになった。皆うまく出来るのに自分だけ出来ない。子供心に大きなショックを受けた。さらに小学生になると、不器用で落ち着きのない由佳さんの行動はエスカレート。授業中もじっとしていられなくなった。そして、相変わらず手先を使う事は大の苦手。特に嫌だったのは「書き取り」。マス目の中にうまく字をおさめて書く事が出来ない。そして、うまくいかないと全く集中力がもたなかった。

それでも成績は問題なく、どの教科も平均点以上を取った。その後、4年生になった由佳さんの突飛な行動はなりをひそめ、目立つ問題行動もなくなり両親は安心したが、小さなトラブルは毎日あった。そして中学生になった頃から由佳さんは、忘れ物が目立つようになる。もちろん、由佳さんも気をつけようとメモを取った。しかし、メモした事自体をすっかり忘れてしまうのだった。由佳さんは、自分でも忘れっぽい事を自覚していたが、この時はそれ程深刻に考えていなかった。また片付けが大の苦手で、部屋はいつも散らかしっぱなし。人間関係にも変化が。毎日一緒に登下校した仲良しの友達も、ある程度付き合ってその子の事がわかってしまうと、突然、衝動的に違う友達と付き合いたくなり頻繁に友達を替えた。
注意欠陥/多動性障害(attention-deficit/hyperactivity disorder;ADHD)とは、不注意と多動性、衝動性の一方あるいは両方が、7歳以前から学校および家庭で同年齢の小児と比較して多くみられ、年齢相当の学業成績や対人関係を保てないものを指します。

主たる3症状は、不注意、多動、衝動性があります。年齢に期待される行動コントロールが著しく不良で、学校などの場面で不適応を生じるに至った小児が治療の対象となります。主症状以外には、不器用や学習障害が高頻度に併存します。

さらに後年には、周囲を故意に苛立たせたり、大人の権威に反抗をする反抗挑戦性障害や、行為障害といった破壊的行動障害への移行がしばしば認められます。その一方で、不安障害や不登校、抑うつなどの併存も多いこともしられています。

有病率は学童期で3〜5%で、男児に多く女児の4〜9倍みられます。病因は不明ですが、遺伝素因を含む中枢神経系の障害が推定されています。

具体的な症状としては、「不注意」については細かく注意ができず、不注意な過ちが多い、注意集中が持続できないといったものがみられます。「多動」では、手足をそわそわ動かし、椅子の上でもじもじする、座っていなければいけないところで席を立つ、などがあります。「衝動性」としては質問が終わる前に出し抜けに答える、順番が待てないなどがみられます。

やがて社会人になると、本当の苦労が始まる。由佳さんは、保険会社に事務員として就職したが、夢のOL生活は最初からつまずいた。何度やってもコピーは曲がってしまう。書類をキチンと揃えて閉じる。そんな簡単で単純な作業が全く出来なかった。しかも、当時はまだパソコンでの事務処理がなかったので、伝票の数字を台帳に手書きで書き写すのだが、由佳さんはこの作業が大の苦手だった。仕事が遅く、おまけによく間違えた。書類は訂正印だらけで数字が読めず、上司に叱られた。やがて、由佳さんの作業の遅さとミスの多さは社内でも問題になり、先輩から監視を受けるようになった。

そこで由佳さんは、朝6時に起きて、まだ誰もいないオフィスへ来て仕事を始めた。しかし、さっぱり仕事ははかどらない。一つが終わらないうちに次の仕事が気にかかり、そちらに手を伸ばしてしまうからだった。それでも由佳さんは向上心だけは人一倍あったので、自己啓発の本を何冊も読み、スキルアップのための講習会にも出かけた。しかし、結果は何も変わらなかった。

ある日の朝、由佳さんは朝礼中に倒れた。慢性胃炎…体も心も限界だった。その後、辞表を出して会社を辞めた。将来に大きな期待をしていた両親は、由佳さんを責めた。しかし、由佳さんは反論が出来ず、22歳で新しい仕事を探し始めた。

次に転職したのは、化粧品の販売。笑顔とトークで、すぐに売り上げがショップで一番になった。実績をオーナーから認められ、とても嬉しかった。仕事が評価され、店長になると、苦手な事務仕事が増えた。さらに店員のシフト管理もする事になったが、そもそも自己管理の出来ない由佳さんが、他人の管理なんて出来るわけがなかった。結局、由佳さんはこの仕事も諦めた。由佳さんは28歳半ばとなり、「皆が簡単に出来ることが、自分にはなぜ出来ないのだろう」と絶望感に打ちひしがれた。

そんな時、由佳さんはある男性と出会い結婚。北海道から男性が暮らす横浜へ移り、新婚生活を始めた。新婚旅行から帰って来た由佳さんが、まずやらなければならなかった事は、自分と夫の荷物の整理だった。段ボールで10個以上。しかし、由佳さんは段ボールをあけて中身を確かめても、どこにどれを片付けていいか、さっぱりわからなかった。そして夜、夫が帰ってくると、部屋の中は足の踏み場もない状態。結局、荷物が片付くまで1週間もかかった。

さらに、専業主婦になった由佳さんだが、家事の要領が全く分からなかった。朝、夫を起こすのを忘れる。朝ごはんとお弁当と作るのに何時間もかかってしまう。夫を送り出してから洗濯を始め、掃除機をかける。ところが、掃除をしているうちに、つい洗濯機を回している事を忘れてしまう。由佳さんは、毎日ただひたすら家事に追われたが、その実家事は一向にはかどっていなかった。結婚して1年後、2人に女の子が誕生。子育てが加わって由佳さんは、ますます忙しくなり、部屋の中は、それまでに増して散らかるようになった。そして、この頃から夫婦仲がどんどんと悪化。そんなある日、些細な事で喧嘩。そして、夫が「出て行け」と言った時、由佳さんはなぜかホッとした。次の日の朝、由佳さんは子供と一緒に家を出た。結婚生活は2年あまりだった。

その後、由佳さんは札幌でシングルマザーとして生活を始めた。事務の職も見つけた。この頃にはパソコンも普及し、苦手な作業も幾分減った。しかし、部屋の中は相変わらず散らかり放題。「娘には不自由な思いをさせたくない。でも…。」由佳さんは、33年間の自分の人生を振り返って、何一つまともに出来ない自分が惨めだった。
一般的なADHDの場合、小学校3〜4年生くらいになると、著しい多動や不注意は改善してくるといわれています。ですが、それまでに著しい不適応を生じた場合、上記のような抑うつといった二次的な障害に結びつきやすいので、いかにして小学校低学年の不適応を減ずるのかというところにまずは治療の中心を置く必要があります。

治療に関しては、以下のようなものがあります。
そんなある日、由佳さんは書店で「片づけられない女たち」という本を偶然見つけた。そこにはAD/HD(注意欠如/多動性障害)という、当時、日本でも注目され始めた発達障害の事が書いてあった。

「忘れっぽい」「衝動的」など…読めば読むほど自分の事を書かれているような感覚に陥った。すぐに心療内科を訪ねて診察を受けた結果、由佳さんは「AD/HD」と診断されたのだ。

AD/HDの全容はまだ解明されていないが、その原因は脳の神経回路の発達特性障害だとされている。この診断結果を聞いた由佳さんは、心が晴れるような感覚を味わった。早速両親に自分がAD/HDである事を打ち明けた。しかし父は一言、「怠け者の言い訳だ」と言った。無理もなかった。自分だってこんな障害があることを初めて知ったのだから。由佳さんはAD/HDについてインターネットで情報を集めた。しかし、当時、AD/HDは子供特有の発達障害という認識が根強く、大人を対象としたホームページは見つからなかった。

そこで、由佳さんはAD/HDに苦しむ大人が助け合えるようなホームページを作ろうと考え、なんとたった一晩で日本初の「大人AD/HD」のホームページを作り上げた。そしてホームページでAD/HDに悩む人々と情報を共有し、お互いに励まし合った。するといろんなことが分かってきた。

自分は「出来る事」と「出来ない事」が人よりはっきりしているのだと。「出来ないこと」も、それを認識することで方法を工夫して、出来るように努力した。そんな由佳さんを見て、父も少しずつ理解してくれるようになった。由佳さんは「NPO法人 大人のADD&ADHDの会」を設立し、現在はAD/HDに悩む人たちの相談やセミナー活動などを通して、AD/HDの社会認知と支援活動に取り組んでいる。
行動・精神面の合併症予防(心の健全発達)という目的達成のために、具体的目標として、
’鵬的行動のコントロール
⊂霆錣琉堕蟆
H達支援
こ惱支援
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といったものがあります。まず行うべきことは、患児の破壊的行動のコントロールと保護者の養育意欲の回復にあります。

破壊的行動のコントロールは、薬物療法、環境調整、行動変容技法で行われます。ADHDの約8割は薬物療法が有効であるといわれています。

代表は塩酸メチルフェニデートですが、国内では保険適用外の薬物であるため、家族によく説明をして用いる必要があります。この薬物は作用時間が著しく短いため、学校から家庭に帰った後にはすでに薬効が切れており、また5%ほどにはリバウンドが生じるため、効果判定は担任教師に依頼する必要があります。

無効例には、アナフラニール(10mg1回)、デプロメール(12.5〜25mg1回)などの抗うつ薬、リスパダール(0.5〜1mg1回)などの少量の抗精神病薬が有効な例もあります。

また、ADHDに伴う行動障害は、親子関係に悪影響を与え、後年の情緒的な障害の契機となるため、「褒める回数を叱責よりも多くする」「必ず達成が可能なように目標を低く見積もり、できたという体験をさせる」などが重要です。

行動変容技法としては、問題行動を維持させている要因に注目し、その要因を変化させることを考えます。問題行動へのかかわりを少なくし、問題行動がないときのかかわりを多くするのが基本となります。

こうした治療を行うことが望まれますが、実際には正しい診断がなされず、見過ごされてしまうこともあるのではないか、と思われます。より周囲の理解などが広まり、障害をもつ方々が暮らしやすくなることが望まれます。

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