ホジキンリンパ腫。悪性リンパ腫の一種で、首の付け根、脇の下、そして足の付け根などにあるリンパ節がガン細胞に侵される病気です。ガン腫の肥大、体重の減少、発熱などの症状が出ますが、放射線治療や抗ガン剤を用いた科学治療により、現代医学下において治癒する確率がどんどん高くなっている疾患でもあります。

ミネアポリスに住む13歳の少年も、このホジキンリンパ腫と診断されたひとり。抗ガン剤投与が最善だという医師の判断で、数回に渡る治療スケジュールが組まれました。

しかし最初の投与が終わった時点で、少年と両親が、以降の治療を拒否してしまったのです。確かに米国には「Patients' Bill of Rights(患者の権利宣言)」という観念があり、それには「良質な医療を受ける権利」「(医療サービス等の)選択自由の権利」といった内容のほか「自己決定の権利」も約束されています。患者さんがこの治療はイヤだといえば、医療機関は基本的にその意思を無視することは出来ないのです。少年のように未成年者が患者の場合は、法定代理人(この場合は両親)が代わりに医療における決定を下します。

しかしながら、もし少年がこのまま抗ガン治療を拒否し続ければ、ガンが進行して命にかかわってしまう可能性大です。先の権利宣言の中には、

「患者の意思に反する医療処置や治療は、法律が認めるか、または医の倫理の原則に値する場合は行われても良い」

とあります。よって病院側は、子どもへの治療を拒絶している両親の決定は「子供の養育を放棄したネグレクト」の可能性があるとして、裁判所の判断を仰いだのです(少年自身の意思は、未成年者のために法的効力はありません)。その結果、裁判所も「ガンの進行が手遅れでない場合」という条件付きながら、少年に対する治療を、強制的に行っても良いという判断を下しました。両親には今後、親権剥奪の決定が下りる可能性もあるそうです。

しかし、治療を拒否する人物に投薬をするとなると、それはそれで一苦労。少年は、

「もし強引に化学治療をするのなら、パンチで応戦する」

と言っているそうで、抵抗は必至のようです。少年の意思を尊重すべきだ、との意見ももちろんあるでしょう。しかし、病院側としてはまだまだ将来のある13歳の命を救いたい。今回のように強い態度に出たのも、「患者の尊重」と「医の倫理」という重大なふたつの狭間で悩んだ挙げ句の決定だったのではないでしょうか。
(13歳の少年がガン治療拒絶、裁判所の判断次第では「強制的治療」へ。)


悪性リンパ腫は、リンパ節や全身のリンパ組織(胸腺、脾臓、扁桃腺、リンパ管など)に存在する、リンパ球系細胞の悪性腫瘍です(腫瘍の起源や、腫瘍化の過程も単一ではありません)。

若年者にもみられますが、30歳以上では年齢とともに増加します。男女比は2:1で男性に多いです。日本の悪性リンパ腫の発生率は10万人当たり約5人であり、欧米の約12人に比べて低いです(この理由としては、節性リンパ腫であるHodgkin病と濾胞性リンパ腫の発生率が低いためです。節外性リンパ腫の占める割合が相対的に高くなっています)。

病理組織学的所見から、Hodgkin(ホジキン)病と非Hodgkinリンパ腫(NHL)とに大別されます。ホジキン病は、リード-ステルンベルグ(Reed-Sternberg)細胞の出現する特徴のあるリンパ腫です(ただ、その起源はまだ分かってません)。

Hodgkin(ホジキン)病は、悪性リンパ腫全体の5〜10%を占めます。好発年齢は若年者と中・高年者の2相性です。WHO分類では、結節性リンパ球優勢型と古典型に大別され、古典型はさらに結節硬化型、混合細胞型、リンパ球豊富型、リンパ球減少型に分類されますが、結節硬化型の頻度が最も高いです。

ホジキンリンパ腫は頸部に発生することが多く、連続性に進展します。しばしば縦隔に巨大腫瘍をきたし、若年成人にみられる前縦隔の腫瘤は、大きくなると圧迫により上大静脈の還流を障害し上半身の著しい腫脹をきたすことがあります(上大静脈症候群)。

症状としては、首、腋の下、足のつけ根などのリンパ節の多い部位に無痛性のリンパ節腫脹がみられます(無痛性のリンパ節腫脹を初発症状として医師のもとを訪れることが多い)。Hodgkin病のリンパ節腫脹は、頸部、腋窩、鼠径部の順に多いです。非Hodgkinリンパ腫では、これらの表在リンパ節以外にも、眼瞼、鼻腔、扁桃、皮膚、甲状腺、乳房、睾丸、皮下軟部組織などに腫瘤をつくることがあります。

発熱、盗汗(ひどい寝汗)、体重減少がみられることがあり、この3つは病期分類でB症状と呼ばれ、重要視されています。全身掻痒感などがみられることもあります。場合によっては、腫瘍による圧迫や浸潤による症状、部位により浮腫、嚥下障害、呼吸困難、食欲不振などがみられることもあります。

診断にはリンパ節生検が必須となります。病変の検出にはCTスキャンと核医学検査〔ガリウムシンチグラフィー、ポジトロンエミッション断層撮影(PET)〕が主体となります。骨髄生検は2ヶ所から行い、これらの検査結果からAnn Arbor臨床病期分類に従って鬼から鹸に分類します。全身症状(10%以上の体重減少、38℃以上の発熱、盗汗)がある場合はB、ない場合はAとします。

進行期ホジキンリンパ腫の予後不良因子は、〃貔競▲襯屮潺鵝4.0g/dL、▲悒皀哀蹈咼鵝10.5g/dL、C棒、で齢≧45歳、ド卒鹸、η魴豕綽堯15,000/μL、Д螢鵐儺紊寮簑仗堯600/μLまたは<8% の7項目です。

治療としては、以下のようなものがあります。
標準的な治療法の選択肢としては、
1)放射線療法
3)化学療法(抗がん剤)
3)生物学的製剤:抗CD20抗体(成熟B細胞の性格を示す悪性リンパ腫に効果的)
4)経過観察
5)造血幹細胞移植:自家移植、同種移植

などがあります。

標準療法としては、化学療法や放射線療法が中心です。ホジキン病の化学療法は4剤併用のABVD(アドリアマイシン,ブレオマイシン,ビンブラスチン,ダカルバジン)療法が用いられます。

病期A、Aで巨大腫瘍を伴わない早期の症例では、ABVDを4コース実施した後、診断時に病変の存在したリンパ節領域に放射線照射を行います。照射線量は30〜40Gy(グレイ)です。

病期B、B、掘↓犬泙燭狼霏膽鞜腓鯣爾進行期の症例では、ABVDを6〜8コース実施します。第7、8コースはブレオを省く(総投与量180mg以下とする)。縦隔の巨大腫瘍に対しては、化学療法終了後に放射線照射(照射線量30〜40グレイ)を追加します。

初回治療に抵抗性を示す症例や、初回治療終了後1年以内に再発した症例では、ABVDと非交差耐性の薬剤の組み合わせや、持続点滴などの投与方法を工夫したサルベージ療法を実施します。サルベージ療法が奏効した症例では、自家造血幹細胞移植を併用した高用量化学療法を行います。

上記のケースでは、本人および両親により、治療を拒否されてしまったようです。どのような事情があったのか、詳しくはわかりませんが、担当した医師も頭を抱えたことと思われます。

たしかに、つらく厳しい治療になることはわかりますが、是非とも治療を受けられて、再び元の生活に戻っていただきたいと願わずにはいられません。

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