以下は、最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学で扱われていた内容です。

E・Mさん(40)は、中学生の頃からの「頭痛持ち」。肩がこると、後頭部にかけて締め付けられるような鈍い痛みに悩まされ、マッサージや温かいお風呂にゆったり浸かることで痛みを和らげていました。

そんな彼女の頭痛が微妙に変わってきたのは、8年前。子育ても一段落し、パート勤めを始めたころ、後頭部が鈍く痛む頭痛や、右のこめかみにズキズキと脈打つ鋭い痛みに悩まされるようになりました。今回はマッサージやお風呂では治まらず、痛みはひどくなるばかり。痛む範囲も広がり、病は悪化の一途を辿っていきました。

具体的には、以下のような症状がみられていました。
1)後頭部に重く鈍い痛み
以前は後頭部に重く鈍い痛みがみられており、マッサージや体を温めることで対処しており、そうしたことで痛みは和らいでいました。

2)こめかみにズキズキと脈打つ痛み
上記のような「後頭部に重く鈍い痛み」ではなく、今度はこめかみ辺りにズキズキとした脈打つ痛みを感じるようになりました。この痛みは、マッサージや体を温めることで増悪していました。

3)一度治まるも、2週間後、再びこめかみにズキズキとした痛み
以前の対処法が効かず、こうしたズキズキとした頭痛が続いていました。

4)1ヶ月の半分以上、激しい頭痛
2週間以上、激しい頭痛が続いており、近くの病院を受診しました。痛み止めを処方されましたが、頭痛に悩まされ続けるのは変わりませんでした。頭痛が始まり痛み止めで症状を緩和することはできても、また痛くなってくるような状態が続いていました。
そんな中、テレビ番組で「頭痛外来」の存在を知った彼女は、獨協医大の頭痛外来を受診することにしました。

そこで詳細な症状などに関する問診票を記入し、受診したところ、彼女の頭痛は「片頭痛および緊張型頭痛の複合型頭痛」であることが明らかになりました。

頭痛は、大きく分けて一次性頭痛(原発性頭痛)、二次性頭痛(続発性頭痛)、神経痛・顔面痛などと3つに分けられます。

一次性頭痛は片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛に代表され、いわゆる慢性の頭痛といわれるものです。それぞれの有病率は片頭痛8.4%、(20代女性に限ると約20%)、緊張型頭痛22.3%、群発頭痛0.07−0.09%と報告されており、頻度の高い疾患であるといえます。

二次性頭痛(続発性頭痛)は、脳、血管、鼻、眼、関節、歯などの器質性疾患に起因する頭痛です。原因は多く、生命の危険も存在するところから、特に注意深い診察が必要とされます。

一次性頭痛の代表的なものの1つが片頭痛です。片頭痛とは、拍動性頭痛(ズキンズキンと脈打つような痛み)を主体として、これにさまざまな随伴症状を伴う発作性頭痛です。こうした痛みが月に1〜2回、多い人では週に1〜2回発作性に起き、数時間から3日間ほど続きます。前兆を伴うものと伴わないものがあります。

片頭痛の特徴としては、「若くして発症し、女性に多く、主に片側性(両側性もありうる)に繰り返す拍動性の頭痛」です。悪心・嘔吐といった随伴症状を伴いやすく、体動、光、音で痛みが増強します。発作間欠期には症状は示しません。

約3割に視覚異常や麻痺や感覚障害などの前兆を伴う症例(前兆を伴う偏頭痛)があり、しばしば家族歴を有します。中でも、代表的前徴は視野の中心付近から始まるキラキラ光る境界をもつ暗点(閃輝暗点)です。前徴は5〜10分にわたって徐々に進行し、60分以内に治まり、引き続いて頭痛が出現します。

前兆を伴わない片頭痛は、最も多いタイプ(50〜80%)で、明らかな前駆症状を伴わず発現します。頭痛が4〜72時間持続します。日常の動作で増悪することがあり、光過敏、音過敏を認めることがあります。

誘因として空腹や寝不足、寝すぎ、アルコール、月経周期、経口避妊薬、運動、入浴、外出(騒音、暑さ、乾燥、日光での誘発)、匂い、ストレスなどが挙げられます。

こうした誘因をしっかりと把握することで、頭痛がおこることを回避することができるかもしれません。その意味で、上記のように記録を残しておくことは重要です。

ちなみに、国際頭痛学会による診断基準では「4時間以上持続する頭痛発作が過去に5回以上あったこと」を条件としています。具体的な症候上の診断基準としては、「(丗性、拍動痛、日常生活に支障がある、体動により頭痛が増悪する、の4項目のうち2項目を満たし、悪心あるいは嘔吐、光・音過敏、のうち1項目を満たすもの」とされています。

緊張型頭痛とは、ストレス頭痛ともいわれ、精神的あるいは身体的ストレスによって起こる頭痛と考えられています。持続的な頭痛で、徐々に始まり、1日中あるいは毎日続いて起こる頭痛です。頭部全体を締めつけられるような、頭全体が重く圧迫されるような不快な頭痛で、常々頭痛にとりつかれているように感じます。一般には後頭部に強く、頭部、後頸部の筋の持続的な収縮を伴い、長時間続くことが多いです。

緊張型頭痛によく伴う症状としては、目の疲れ、耳鳴り、めまい、肩こり、疲れやすさなどがあります。片頭痛は体を動かすと頭痛がひどくなるのに対し、緊張型頭痛は体を動かしたほうがかえって気がまぎれて頭痛を忘れることがあるといった特徴があります。

そして、もう一つ群発頭痛と呼ばれるものがあります。1,000人に1人と比較的まれな頭痛ですが、20〜40代男性に好発する短期持続性の一側頭痛が眼窩部、眼窩上部または側頭部にみられ、頭痛と同側に流涙・鼻漏などの自律神経症状を伴うのが特徴です。

発作は数週−数か月間群発し、群発期間は年に数回から数年に1回のこともあります。就寝中に多く、飲酒により誘発されます。片頭痛と異なり、発作中は激しい頭痛にもかかわらず不穏と興奮を呈し、多くの患者は横になることができず歩き回るような状態になります。

厄介なのが、これら3つのうち、2つをあわせ持つ「複合型頭痛」です。中でも最近の研究で近年急増していると考えられているのが、片頭痛と緊張型頭痛をあわせ持つ「片頭痛および緊張型頭痛」です。

E・Mさんの頭痛は、血管の収縮と拡張というまったく逆のメカニズムによって起きる痛みが混在していました。彼女がしばしば感じていた肩こりからくる後頭部の痛みは、緊張型頭痛が出ていた時の症状。だからこそマッサージや入浴でこりを解消すれば、血流が良くなり痛みはなくなりました。

一方、30歳を過ぎて新たに加わった、こめかみにズキズキと脈打つような痛みは片頭痛が出た時。そうとも知らず、E・Mさんは、マッサージやお風呂など今までのやり方で、これに対処。その結果、血流が良くなり血管がさらに拡張し、痛みが増してしまいました。自分に現れている頭痛のタイプを知らなかったために、間違った対処法を行い、逆に悪化させてしまったのです。

これらに対する治療としては、以下のようなものがあります。
緊張型頭痛の治療としては、NSAIDsを中心とした治療が行われますが、慢性の使用が問題となる場合もあります。予防的投与としては抗うつ薬である塩酸アミトリプチリン(トリプタノール)の併用を行うことがあります。

ほかにも抗不安薬、筋弛緩薬が用いられていることもあり、エチゾラム(デパス)は保険適用となっています。また、肩こりを伴う症例など頭痛体操、ストレッチ、低い枕などの生活指導も有効である場合があります。

片頭痛の軽症例にはNSAIDsまたはエルゴタミン製剤に適宜制吐薬を併用します。トリプタン系薬物とは、セロトニンという1Bと1D受容体に選択的に作用して血管の拡張と炎症を抑える薬です。いずれも発作初期の服用で有効です。

エルゴタミン製剤については有効性も確認されていますが、ほかの内服薬に比し吐き気の副作用が多いためナウゼリン(胃腸機能調整薬)との併用が有用であるといわれています。吐き気の強い場合はNSAIDsの坐薬が使われることもあります。

中等から重症なものには、初めからトリプタン系薬剤を用います。ある程度頭痛が強くなってからでも効果がありますが、1錠当たりの薬価が高いというデメリットがあります。また、前兆期には使用できず、冠動脈疾患などを有する患者さんでは使用できません。

発作頻度が高いときや、発作が重度のときが多い場合には、予防治療を併用することもあります。ただ、すぐに効果が発現しない場合もあるので、有効性は少なくとも2ヶ月の投与をする必要があります。Ca拮抗薬(テラナス)やβ遮断薬(インデラル)、抗てんかん薬(デパケン)、抗うつ薬(トリプタノール)などが用いられます。

片頭痛の治療薬であるトリプタン製剤は、注射薬や錠剤、点鼻薬があり、医師の処方薬で、鎮痛薬が効かない頭痛にも効果があるといわれています。

最も手軽で、広く使われているのは錠剤です。ただ、効き始めるまでに30分ほどかかるため、重症の患者では、飲むタイミングが遅れると効かないことも多いです。吐き気がひどいと、飲んだ錠剤を吐くこともあります。

そんな時に効果的なのが注射薬です。注射後、5〜10分で効き始めます。ですが、片頭痛は体を動かすと悪化するため、痛みがひどい時は、注射のために医療機関に行くのは難しいです。そこで、自宅で使えるよう、トリプタンの一つ「スマトリプタン」(商品名イミグラン)の自己注射薬も発売されています。

慢性的な頭痛に悩まされている方は、是非とも専門外来などを受診されて、一度はしっかりと精査などをされた上で、しっかりと加療なさることが望まれます。

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