前宮城県知事で慶応大学総合政策学部教授の浅野史郎さん(61)が4日、白血病のため入院した。慶応大によると、当分の間休職するという。

抗がん剤による治療と骨髄移植が必要で、浅野さんがライフワークにしている障害福祉分野で長年交流のある人たちがホームページやメールを通じて骨髄バンクへの理解と協力を求めている。

浅野さんは、数年前にウイルスによる成人T細胞白血病と判明し、経過観察を続けていた。今年に入り、検査で急性化したことが判明。骨髄移植が必要で、化学療法を続けながら、適合するドナーを待つという。
([浅野史郎氏]前宮城県知事 白血病のため入院)


成人T細胞白血病(ATL)とは、レトロウイルスであるヒトT細胞白血病ウイルス儀(human T lymphotropic virus type; HTLV-)感染によって引き起こされる、末梢性T細胞の白血病・リンパ腫です。

HTLV-気離ャリアは国内に約120万人いるといわれており、九州・沖縄でその半数を占め西日本に多いと言われており、この中から年間約700人が成人T細胞白血病ATLとして発症します。

HTLV-気蓮∧貽中の感染リンパ球などを介してヘルパーT細胞に感染し、レトロウイルスRNAがプロウイルスDNAとして細胞DNAに組み込まれます。当初は、多クローン性にゆっくりと増殖しますが、DNAの変異が蓄積されると悪性のクローンが出現し、単クローン性に増殖してATLが発症します。

この経過は長く、発症は40歳以降が多いといわれています。細胞増殖の病態から、くすぶり型、慢性型、リンパ腫型、急性型の4病型に分類されます。くすぶり型や慢性型の経過中に、急性型へ移行することを急性転化といいます。

急性型は、
.螢鵐兩畆霏
肝脾腫
H蘓
で魴豕總多(≧10,000/μL)
ゼ鞜膾挧Δ魎泙爛螢鵐儼郎挧α加(≧4,000/μL)
Τ吠儼舛涼しい特徴的な白血病細胞の出現(≧5%)
LDH増加(≧正常上限値×1.5)
total protein<6g/dL、bilirubin>1.0mg/dL、alkaline phosphatase上昇、ALTまたはAST>50のいずれか1つ
補正Ca値>11mg/dL
組織学的または細胞学的悪性リンパ腫像

この10項目のうち、イ泙燭廊Δ魎泙5項目以上あれば「急性型」と診断されます。また、リンパ腫型は末梢血に異常細胞が増加していないものを指します。

臨床症状としては、リンパ節腫大や紅斑、丘疹、皮下結節などの皮膚浸潤症状がみられたり、腹痛、下痢、食欲不振など不定の症状がみられることもあり、検診の血液検査で発見されることも多いです。

診断としては、末梢血に異常リンパ球(核の切れ込みや分節の著しい flower cell と呼ばれるATL細胞の出現が特徴的)を認め、もしくはリンパ節生検でリンパ腫の所見(びまん性大細胞型や多型細胞型などの組織像)を示し、その細胞がCD4陽性T細胞の性質を示し、血清の抗HTLV-宜蛎里陽性ならばATLと考えられます。サザンブロット解析で、HTLV-汽廛蹈Εぅ襯DNAの単クローン性の組み込みを検出すれば確実となります。

治療としては、以下のようなものがあります。
治療の対象となるのは急性型、リンパ腫型です。そのため、浅野さんも急性転化を起こし、治療を行わざるを得ない状況になったようです。ただ、慢性型でも急激な末梢血の異常細胞数の増加、血清LDH値、可溶型IL-2レセプター値の上昇、リンパ節、肝臓、脾臓の腫大、消化管や肺、皮膚への細胞浸潤の増強がみられた場合には急性型、リンパ腫型に準じて治療を開始します。

治療は種々の多剤併用化学療法(CHOP-V-MMV療法など)が試みられており、どの治療法でも多くの例で初回の反応は概ね良好であるといわれていますが、寛解期間が短く4〜6ヶ月で再燃すると化学療法に抵抗性となるため、生存期間の延長には至らず、ATLの予後はきわめて不良であるといわれています。

寛解に至れば同種骨髄移植などが考慮されますが、移植が可能な時期は寛解に達した6ヶ月以内に限られます。

また、ATLではしばしば高度の高カルシウム血症を合併します。これは、主に腫瘍細胞が産生する副甲状腺ホルモン様ペプチド(PTHrP)によるため、まず腫瘍細胞増殖の抑制(化学療法)が不可欠となります。化学療法とともにビスホスホネート製剤を使いますが、さらに生理食塩液の点滴と利尿薬、カルシトニン製剤を組み合わせて用います。

浅野さんの状態が現在、果たしてどのような状態なのか詳細は不明ですが、是非とも治療をしっかりとなさって、再び元気な姿を拝見できれば、と望まれます。

【関連記事】
末期の白血病である8歳男児のため、奔走した両親

本当は怖い微熱−急性前骨髄球性白血病

白血病の再発予測検査とは-WT1の検出