読売新聞の医療相談室で、以下のような相談がなされていました。
55歳の夫は20年以上前から脂質異常症で、大学病院で「LDLレセプター欠損症」と診断されました。狭心症や脳梗塞などを患いました。服薬はしていますが、心配です。(50歳女性)

この相談に対して、帝京大病院内科科長である寺本民生は以下のようにお答えになっています。
血中には、通称「悪玉」と呼ばれるLDLコレステロールがあります。体内の細胞が活動するためにはLDLが必要で、細胞は血中からLDLを取り込んでいます。これで、血中のLDLの量も正常に保たれます。

ところが、細胞がLDLを取り込むためのレセプター(受容体)が先天的に欠損している人がいます。これがLDLレセプター欠損症で、別名「家族性高コレステロール血症」と言います。

細胞は、自分でもコレステロールを作ることができるため、血中からLDLを取り込めなくても活動できますが、その分、血中にはLDLがたまってしまいます。このたまったLDLは血管の壁に沈着して動脈硬化の原因となります。

LDLレセプター欠損症の方は、40〜50歳ぐらいで狭心症や心筋梗塞を引き起こすと言われています。

高コレステロール血症とは、血中のコレステロール値が増加する状態を指します。空腹時の総コレステロール(TC)値が220mg/dL以上、LDLコレステロール(LDL-C)値が140mg/dL以上の場合を指します。

脂質であるコレステロールは、血液中ではトリグリセリドやリン脂質などの脂質やアポ蛋白とともにリポ蛋白粒子を形成しています。リポ蛋白には、カイロミクロン(CM)、VLDL(超低比重リポ蛋白)、IDL(中間比重リポ蛋白)、LDL(低比重リポ蛋白)、HDL(高比重リポ蛋白)が存在します。

LDLはいわゆる「悪玉コレステロール」、HDLは「善玉コレステロール」といわれ、LDLはその値が高いと問題となり、後者は少ないことが問題となります。現在、HDLはコレステロールの逆転送にかかわると考えられており、低HDL血症は粥状動脈硬化のリスクファクターの一つとされています。

総コレステロール値は、LDL、HDL、VLDL中のコレステリルエステルの総和となっています。つまり、総コレステロール値が基準範囲内であっても、LDLの値が高い(その際、HDLが少ない状態であるとも考えられる)、という状態も考えられ、注意が必要となります。

高コレステロール血症は、それ単体では自覚症状を伴わいません。ですが、高HDL-C血症以外の高コレステロール血症は、虚血性心疾患や脳梗塞、閉塞性動脈硬化症といった動脈硬化性疾患の最も重要なリスクファクターであると考えられています。

そのため、これら疾患の予防または再発予防のために、高コレステロール血症の治療を行うことは非常に重要です。

遺伝的にコレステロール値が高値をとることが明らかにされている代表的な原発性高コレステロール血症には、家族性高コレステロール血症(aまたはb型)、家族性複合型高脂血症(況燭泙燭廊厳)、家族性祁森盪薹貍匹あります。

家族性高コレステロール血症(FH)は早発性動脈硬化症を発症しやすい常染色体優性遺伝形式をとる疾患です。家族歴の聴取を行うとともに、アキレス腱肥厚や角膜輪の存在、腱黄色腫や結節性黄色腫の存在などから診断します。

特に、家族性高コレステロール血症(aまたはb型)は、家族性にみられるリポ蛋白質過剰症のうち、低密度リポ蛋白質(LDL)受容体活性低下を原因とするものを刺します。

血中コレステロール値(TC)が上昇するa型と、LDLに加え超低密度リポ蛋白質(VLDL)も上昇し、TCおよび血清トリグリセリド値が上昇するb型に分類されます。

異型(ヘテロ)接合体は、脂質変化は軽度で、血中のTCは正常の2倍で、中年期(50歳以下)に虚血性心疾患に罹患する場合が多く、頻度は500人に1人で、日本では25万人以上の存在が推定されています。一方、同型(ホモ)接合体は、100万人に1人と稀で血中のTCは正常の4倍、幼児期より動脈硬化が認められ、16歳までに動脈硬化で死亡するといわれています。

治療としては、以下のようなものがあります。
治療は、血中のLDLを下げるスタチンという薬を飲んだり、体内から血液を取り出して特殊な装置にLDLを吸着させて取り除く「LDL吸着療法」を行ったりすることが必要です。

目標値はLDL140 mg/dLですが、100以下が理想です。場合によりスタチンを限度いっぱいまで使うこともあります。

2年前にはコレステロールが吸収される小腸で、その作用を抑える薬「エゼチミブ」という新しい薬が発売されました。スタチンと併用すると、より効果があるとされています。

脂質異常症に詳しい内科医のいる医療機関を受診し、相談してみて下さい。

治療としては、相談者のようなヘテロタイプ(と考えられる)では食事療法および薬物療法が主体となります。まずは食事療法、運動療法などによるライフスタイル改善が重要となります。カロリー制限・栄養素配分などに加え、1日3食の配分をほぼ均等にし、間食をしないなどの食生活の改善も重要です。

また、薬物療法としては、陰イオン交換樹脂、HMG-CoA(ヒドロキシメチルグルタリルCoA)還元酵素阻害薬(スタチン)、プロブコールが適応となります。このようなHMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)、陰イオン交換樹脂、プロブコールのいずれか単独、あるいは適宜併用にてコントロールを図ります。

エゼチミブ(ゼチア)は、腸管からのコレステロールの吸収を抑制する作用を持ちます。コレバイン(イオン交換薬)と比較して服用しやすく、便秘、肝機能異常などの副作用が少なく、フィブラート系薬剤との併用も十分可能となっています。

このように難治性のb型高脂血症などの場合にフィブラート系薬剤とスタチン系薬剤との併用が必要となりますが、腎機能の低下例では、注意深い観察が必要となります。

また、フィブラート系やスタチン系薬剤では、特徴的な副作用である横紋筋融解症などがみられ、筋肉痛や褐色尿を呈する以前に、足がつる,¥、筋肉に張りがあるなどの軽微な初期症状を示すことがあります。このような症状が見られた場合は、お気を付けください。

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