俳優の勝野洋(59)とタレントのキャシー中島(57)夫妻の長女で、ジュエリーデザイナーの勝野七奈美(かつの・ななみ)さんが7日午前0時20分、肺がんのため都内の病院で死去した。29歳。東京都出身。昨年11月に同い年のヒップホップダンサー(29)と結婚、その3カ月後にがんが見つかり闘病していた。勝野夫妻は遺体に寄り添い、悲しみに暮れている。

七奈美さんは、勝野とキャシー夫妻、ダンサーの夫、弟で俳優の洋輔(25)にみとられながら、静かに息を引き取った。妹で女優の雅奈恵(27)は前日6日にフラダンサーとしての仕事でタヒチに出発しており、立ち会えなかった。

遺体はこの日、都内の病院から東京・世田谷区の自宅に戻り、勝野とキャシーはその顔を見つめ、寄り添ったまま動こうとしなかった。関係者は「夫妻はずっと遺体のそばにいます。悲しみに暮れながらも気持ちの整理をし、ひたすらその悲しみを乗り越えようとしているようだった」と明かした。

七奈美さんが異変に気付いたのは今年2月。せきが止まらないため「まさか肺炎?」と思い病院で検診すると、肺がんが見つかった。

その後は抗がん剤と放射線治療のほか、民間療法も試しながら入退院を繰り返した。一時は「病室で元気よくストレッチをするほど経過が良好だった」(知人)が、6月に入ってから食事の量が減り、家族も心配していた。それでも体調は安定していたが、亡くなる前日の6日になって容体が急変した。

両親から目鼻立ちのはっきりした美ぼうを受け継いだ七奈美さんは98年にタレントデビュー。その後、NANAMIの名でモデルとして活躍。最近はジュエリーデザイナーとしてマルチな才能を発揮していた。

通夜、葬儀は親族のみで執り行う意向。事務所は勝野夫妻について「しばらく取材に対応できる状態ではないです」と説明している。
(勝野洋とキャシー中島の長女・七奈美さん死去)


肺癌とは、気管支および肺実質から発生した上皮性悪性腫瘍で、一般にその生物学的特徴から、小細胞癌と非小細胞癌に分けられます。非小細胞癌とは、主に腺癌、扁平上皮癌、大細胞癌からなります。

肺癌は非小細胞癌(腺癌、扁平上皮癌、大細胞癌)が約85%、小細胞癌が15%を占めます。病因は喫煙による影響が最も強く、発症危険率は喫煙本数と比例するといわれています。喫煙指数(1日に吸う本数 × 年数)が800を超えると肺癌の危険が高くなるといわれています。

肺癌の場所による分類としては、区域気管支より中枢側に発生したものを中枢型、末梢側に発生したものを末梢型といいます。中枢型には扁平上皮癌と小細胞癌が目立ち、男性例が多く、喫煙との関連が高いです。一方、末梢型では腺癌が目立ち、女性が比較的多く、喫煙との関連は低いといわれています。

勝野さんの場合、小細胞肺癌だったそうです。小細胞癌は、原発性肺癌の15%を占め、きわめて悪性度が高く、発見時にすでに遠隔臓器への転移や肺門縦隔リンパ節転移をみることが多いといわれています。

小細胞肺癌は、重喫煙者で男性に多いです。多くは肺門型(縦隔のある中心部付近に発生しやすいです。ちなみに肺門とは、左右の肺の内側面中央にある部分で、第5から第7胸椎の高さに相当する)で、区域枝から亜区域枝の上皮の基底膜近辺に発生し、気管支粘膜下を長軸方向に浸潤増殖するという特徴があります。

化学療法や放射線療法に対する感受性が、他の組織型と比較して高いなど、非小細胞癌との相違点があるため、区別されます。

日本の臓器別癌死亡率の1位(肺癌は男性で第1位、女性で第2位)であり、罹患率・死亡率は男性のほうが女性より高く、女性の3倍から4倍になります。年齢別にみた肺癌の罹患率・死亡率は、ともに40歳代後半から増加し始め、高齢ほど高くなります。肺癌は喫煙と深い関係があり、40歳以上のヘビースモーカーで血痰を訴えた場合は原発性肺癌を疑います。

肺癌の症状としては、他の癌腫と同様に早期では無症状のことが多く、進行期になると多彩な症状を呈することになります。

勝野さんの場合、初発症状は咳だったようです。全国肺癌登録4,931例の分析によると、やはり症状としては咳がもっとも多く、49.3%となっています。その他、痰(23.7%)、血痰(19.0%)、胸痛(15.8%)、呼吸困難(6.3%)、やせ(5.8%)、発熱(4.8%)、嗄声(4.0%)の順で症状がみられますが、無症状の方も17.5%いらっしゃいます。

肺門型(気管が肺に入る入口付近)の肺癌では咳・痰などの症状が出やすく、肺野型(肺門から離れたところにできた癌)では無症状・健診発見が多いと言われています。

小細胞肺癌のように肺門型であると、咳、痰が早期からみられ、血痰も早期にみられることがあります。また、進展するにつれ喘鳴、呼吸困難をみることがあります。区域あるいは肺葉性の閉塞性肺炎を起こすこともあり、発熱、せき、痰などの肺炎症状を呈することもあります。

胸郭内隣接臓器への浸潤、転移によるものとしては、胸痛や胸水貯留(原発巣の胸膜直接浸潤、癌性リンパ管症による胸膜リンパ流のうっ滞)、Horner症候群(交感神経圧迫による顔面の発汗、瞼の下垂、神経損傷のある側の瞳孔縮小などがみられる)、患側上肢や胸部の激痛、運動麻痺(Pancoast腫瘍)、横隔膜麻痺、不整脈、心タンポナーデ、上大静脈症候群(頭頸部や上肢の浮腫、表在静脈の拡張が起こる。上大静脈への浸潤による)などが起こります。

胸郭外他臓器転移に伴うものとしては、脳や脊髄転移で悪心・嘔吐、構音障害、小脳失調、片麻痺、痙攣などが起こります。腹部臓器転移としては腹痛、脊髄転移では下半身の知覚運動障害、疼痛、失禁などが起こりえます。骨転移では疼痛が生じ、ペインコントロールが重要となります。

治療としては、以下のようなものがあります。
肺癌の治療法としては、主に3種類のものがあります。外科療法、放射線療法、抗癌剤による化学療法です。治療法の選択は、癌組織型、進展度(staging)、performance status(一般全身状態)、肺肝腎などの主要臓器機能、合併症の有無、により左右されます。

小細胞肺癌は、早期に転移をみることが多く、放射線治療の観点から一照射野か否かの基準として、「限局型」(limited disease; LD)、「進展型」(extensive disease; ED)の分類が用いられることが多いです。化学療法と放射線療法が基本となります。

病期分類にて?、?、?A、?B期の症例を限局型(LD:limited disease)とし、?期あるいは対側肺門リンパ節転移、癌性胸水による?B期を進展型(ED:extensive disease)と分類して行われます。

小細胞肺癌の場合、?期などのきわめて早期の場合のみが手術の対象となりますが、頻度的にきわめて少なく、手術後に抗癌剤による化学療法が必要とされます。

放射線療法は、全身状態がよく、70歳以下で、限局型が対象であり、抗癌剤(シスプラチン CDDP+エトポシド VP-16など)との同時併用治療が行われます。放射線治療の総線量は50〜55Gyであり、成績として、中間生存期間が14〜18ヶ月、2年生存率30〜40%、5年以上生存率は15〜20%となっています。

また、1回1.5Gy1日2回照射(AHF:accelerated-hyperfractionation法、加速多分割照射法)、総線量45Gyと化学療法の併用で良好な成績が報告されています。

さらに、小細胞癌は脳へ転移する場合が多く、LD症例で化学療法および放射線治療によりCRとなった症例では、脳へ転移するのを防ぐ目的で脳放射線治療(予防的全脳照射)が行われます。

抗癌剤治療は、小細胞肺癌では有効であり、多くの場合癌は縮小し、消失することもあります。ですが、小細胞肺癌は早くみつかっても既にほかの臓器へ転移していることが多く、治療がよく効いた後も再発する場合も多いです。

カルボプラチンCBDCAもしくはシスプラチンCDDPと、トポテシンCPT-11もしくはエトポシドVP-16などの組み合わせなどで、まずは開始し(1st line)、効果があれば4週(28日)で1コースと考え、4コース行います。

その後、再発や治療中に効果ないと考えられれば、薬剤を変更して治療を行っていきます。その他、カルセドAMR 単剤なども選択肢として考えられます。

まだ29歳という若さで亡くなってしまったということで、ご両親もさぞかし悲しまれたことと思われます。ご冥福をお祈りしたいと思います。

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