世界的に、透析や腎移植を必要とする末期腎不全の患者さんが増加傾向にあり、医療経済の面でも大きな問題になってきているそうです。

日本では、透析導入原疾患の第1位は、慢性糸球体腎炎を抜き、糖尿病性腎症となっており、第3位には腎硬化症が入っているとのこと。そのため現在、慢性腎臓病(CKD=Chronic Kidney Disease)への対策の重要性が叫ばれているそうです。

CKDの早期発見に、検尿(尿蛋白=たんぱく、血尿)は簡単で有効な方法だとか。CKDは、腎臓の障害(尿蛋白など)、もしくは腎機能低下(正常の約60%以下)が3ヵ月以上持続するものをいうそうです。

CKDの発症には、糖尿病、高血圧、脂質異常症など生活習慣病による動脈硬化が関与しており、昨年から各市区町村で実施されている特定検診の目的であるメタボリック・シンドロームの予防が重要とのこと。また肥満、運動不足、飲酒、喫煙、ストレスなどの生活習慣もCKDの発症に関与しており、発症、進展の抑制には生活習慣の改善が重要となるそうです。
([コラム]慢性腎臓病への対策の必要性について)


慢性腎臓病(chronic kidney disease;CKD)は、糖尿病や高血圧による腎臓障害、IgA腎症などの慢性糸球体腎炎、多発性嚢胞腎など沢山の原因による慢性に経過する腎臓病の総称で、2002年に米国腎臓財団(national kidney foundation: NKF)で提唱された概念です。

定義としては、以下のいずれかのような状態が3ヶ月以上持続する人とされます。
1.以下によって規定される腎障害の存在
a)病理組織学的異常
b)腎障害を示唆する血液・尿異常、画像検査異常が確認される。
2.糸球体濾過値(GFR)が60ml/min以下であること

このように、NKF-K/DOQI Clinical Practice Guidelinesでは、CKDとは腎機能障害がある、または3ヶ月以上糸球体ろ過率(GFR)が60mL/分/1.73m^2以下である場合と定義しています。また、CKDの原疾患は問わず、腎障害は、血液・尿・画像検査などのデータや病理学的所見により判断するとしています。

単に、腎機能が悪くなっている、ということを指すのではなく、糸球体濾過値が60%未満に低下すると、心筋梗塞などの心血管イベント発生の危険性が増すという結果が出ています。

また、治療との関連で、GFRの値をもとに5ステージに分類し、それぞれの臨床アクションを提示しています。これまでさまざまな病期分類があり、臨床の現場で混乱がみられたものを画一的に定義することにより、CKDの早期発見・早期治療とともに医師・患者・家族の良好な関係を醸成することに生かされていくものと期待されます。

糖尿病や高血圧、肥満、高脂血症などのメタボリックシンドロームは心臓病を引き起こす重要な原因となりますが、これらにより腎臓が侵され慢性腎臓病になると飛躍的にその危険性が高まると考えられます。

これら生活習慣との関連性は、以下のようなものが指摘されています。
CKDと心筋梗塞の関連メカニズムは、はっきりと分かっていませんが、腎臓の機能が低下すると、血液中に様々な老廃物が溜まり、血管の内皮細胞を傷つけていくと考えられます。

結果、全身の血管では動脈硬化が進行してしまいます。そうなると、ますます腎臓の機能も低下し、動脈硬化も進むという悪循環になってしまいます。そしてついには、心臓の冠状動脈で血栓が発生し、心筋梗塞を起こしてしまうと考えられます。

心筋梗塞は、腎機能が50%を下回った時点で起きやすくなるとも言われています。腎臓病の症状が出るのは、腎機能が30%以下に低下してきたときであるといわれています。

つまり、腎機能の低下による症状が出始める前に心筋梗塞を起こしてしまうことがあるといわれています。アメリカの調査では、慢性腎臓病患者の4人に1人が、心筋梗塞などで死亡していることが報告されています。

腎機能低下を指摘されている場合、このように心筋梗塞のリスクが上がることが考えられます。そのため、「症状がでてないから」と慢心せず、しっかりと減塩などを心がけたライフスタイルの改善を行うことが重要となります。

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