がんを告知された子どもたちのサマーキャンプ「スマートムンストン」を記録したドキュメンタリー映画「風のかたち」が、8月1日から公開される。

監修した聖路加国際病院の細谷亮太副院長は「友情、命、思いやり、そして生きること。大事なものが伝わると思う」と話している。キャンプは98年から毎年実施されている。
(<映画>がんの子のキャンプを記録…「風のかたち」8月公開)


小児がんと闘う子どもたちと医療関係者、ボランティアの活動を10年がかり(1999年〜)で記録したドキュメンタリーだそうです。タイトルは「風のかたち」であり、病に立ち向かい強く生きようとする子どもたちの姿を追ったものだそうです。

伊勢真一さんが、SMS(スマート・ムン・ストン)と呼ばれるグループの活動に同行し、小児がん患者の子どもたちの三浦海岸でのサマーキャンプに参加したことがきっかけで、このドキュメンタリー映画は生まれたそうです。

「毎年、その年の記録を一本ずつ完成させて来たのですが、子どもたちとの約束があって、途中経過とも言える毎年のドキュメンタリーを一般に観てもらうことが今まで出来ませんでした。しかし、今年、ようやくと一年目の記録とドクターたちを中心に追った記録が観てもらえることに成りました」(風のかたち公式HP)
ということのようで、撮りためてはあったそうですが、特別な理由により、公開することができない状態が続いていたようです。その作品が、ようやく公開される、とのこと。

闘病を行う子供自身、そしてそのご家族、医療従事者…果たして、そこにはどのような人間模様が描き出されているのか、是非とも観てみたいと思いました。

15歳以下におこる「がん」を小児がんと呼び、成人以降の癌とはやはり性質が異なります。病理学的には、癌(上皮から発生)よりも肉腫(筋肉などから発生)が多いと言われています。また、頻度が高いものとしては、白血病、脳腫瘍、悪性リンパ腫、神経芽腫、ウイルムス腫瘍などがあります。

たとえば、急性リンパ性白血病は2歳から5歳の子どもに、骨肉腫は10代の子供に多いといわれています。白血病と悪性リンパ腫を合わせると、小児がん全体の約4割を占めます。

小児がんでは、深部から発生するものが多く、早期発見が難しい傾向にあるといえます。そのため、がんの発生頻度からすれば、小児がんは少ないですが、子どもの死亡原因を考えると、小児がんは事故に次いで第2位となっており、十分に脅威となりうると考えられます。

こうした白血病も多いため、小児がんの治療としては、化学療法が有効なことが特徴的です。特に白血病では成人と違い、抗がん剤がよく効くことや、近年の治療法の発達などで、根治できるものも多くなっているといえます。たとえば急性リンパ性白血病は、1960年代から70年代初期に20-40%であった治療開始5年後の生存率は、今や75-80%となっています。

こうした疾患以外に、脳腫瘍も比較的多い疾患です。小児脳腫瘍とは、15歳未満に発症する脳腫瘍を指します。頻度は人口10万人につき2人弱であり、これは成人を含めた全脳腫瘍の約15%に相当します。

脳幹や小脳などに発生するテント下腫瘍が約6割を占め、神経膠腫の占める比率が成人の脳腫瘍に比して高いです。また、頭蓋正中に発生する腫瘍が多いため、脳室系を圧迫し水頭症を来すことが多いといわれています。

小児脳腫瘍の病理組織分類別の頻度は
\浦挧腫;astrocytoma(全小児脳腫瘍の20.0%)
⊃餡蠎陝medulloblastoma(17.0%)
F蓋咽頭腫;craniopharyngioma(11.4%)
ゆ細胞腫;germinoma(7.5%)
ゾ絨畆陝ependymoma(6.0%)
β新燥渦蠎陝glioblastoma multiforme(4.5%)

の順になっています。上位を占めるこれらの腫瘍のうち頭蓋咽頭腫以外は、すべて悪性腫瘍であり、頭蓋咽頭腫は先天性腫瘍です。成人と比較した場合に、小児では悪性腫瘍が多いのが特徴です。

悪性腫瘍のうち髄芽腫、多形膠芽腫は特に悪性度が高いです。髄芽腫、胚細胞腫は放射線感受性が高い悪性腫瘍です。

ただ、小児がんの治療が進歩しているとは言っても、死を迎えざるを得ない子供もいます。治療を進めていく上で、ご両親やお子さんも次第に病気について理解を深めていっていることは確かでしょうが、「治らない」という現実は、やはり受け入れることは難しいと思われます。

そこで、こうした状況において、どのような環境を整え、家族に向かい合うべきなのか、浜松医科大学助教授の本郷輝明先生は以下のように書かれています。
小児のターミナルケアにおいて、特に大切にしなければならないことは、以下の8点であるそうです。
1)根治的治療中と緩和ケアの時期とでは、患児・家族とのコミュニケーションやスタッフ間のコミュニケーションの在り方が質的に異なることを再確認し、「してあげること」よりは,患児と「一緒にいること」の大切さを強調し、患児がいちばん安らげる場所と時間を確保し、ともにいることの価値を見いだす。

2)最も大切にすることは患児の気持ちを聞くことであり、表出された気持ちはすぐカルテに記載して両親、スタッフで共有する。
 
3)痛みにとどまらず熱、便秘、全身疲労感、吐き気など患児の苦痛の軽減を迅速にはかる。

4)1日に何度でも手を握り横に座り、いつでも声をかけていいよという雰囲気を作る。

5)家に帰りたい要求があるときは実現させる。そのために必要なら地域の訪問看護ステーションに協力を依頼する。ただし在宅ターミナルケアの場合、今まで治療していたスタッフもある程度の関与は必要にならざるをえない。

6)状態を兄弟姉妹にも十分説明し、一緒にいることの大切さを理解してもらう。

7)旅立ちのときも心のこもったアレンジを行う。例えば、両親に抱くように促すとか、風呂が好きな子どもには入れてあげるとか、好きな音楽を流すとかである。

8)患児死亡後の家族支援(グリーフケア)を行う。定期的な追悼の会をもつようにする。あるいは亡くなった子を偲ぶ会を企画する。
やはり、「家に帰りたい」という思いを持つお子さんが多いのでしょうね。それまで家族と離れ、病院で過ごさざるを得なかった寂しさもあるのでしょう。

ですが、状態が悪く、帰宅が難しい(易感染性を示している患者さんなどでは特に)場合も考えられます。そうした場合も、ご家族やスタッフができるだけ寄り添い、声を掛け、独りにしない工夫などが必要になるようです。

もちろん、「長くはない…」と宣告されてしまい、悲しみのあまり、一緒に居るのが辛い場合もあるでしょうが、そんなときこそ、支えになってあげることが重要なようです。特に、ご家族同士で支え合うことが、なによりも必要であり、互いに思い合って闘病に臨んでいただければ、と思われます。

上記のドキュメンタリーは、全9巻であり、6巻以降が発売予定となっているようです。関心のある方々は、こうしたもので理解を深めていただければ、と思われます。

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