「鉄欠乏性貧血」のため6月の舞台「ゼブラ」を降板した女優・檀れい(37)が14日、名古屋市内で仕事復帰となる御園座9月公演「細雪」(1~25日)の製作発表会見に出席した。衣装の着物姿で登場した檀は「体調もだいぶ良い状態に回復しています」と報告。隣に座った共演の中越典子(29)と時折、笑顔で談笑するなど、元気な姿を見せた。

久しぶりの公の場。最初こそ、緊張のためか、やや顔をこわばらせていたが、会見が進むにつれて檀れいの顔に笑みが戻った。再び、大好きな舞台に立てる喜びが表れていた。

アクシデントは5月末に起こった。6月9日初日の東京・日比谷シアタークリエの舞台「ゼブラ」のけいこ中に体調不良を訴えダウン。「鉄欠乏性貧血」と診断され、ドクターストップで緊急降板が決定。その後は、自宅で療養。この日の会見に臨んだ。

冒頭のあいさつで「私事ですが、心配をおかけしました。体調もだいぶ良い状態に回復しています。まだまだ万全とはいきませんが、9月の御園座に向けて頑張っていきたい」と“復帰舞台"となる「細雪」への意気込みを語った。

同作品は谷崎潤一郎原作の大阪・船場の4姉妹の物語。1966年に初演され、上演回数は1200回を突破した名作。昨年6月に帝国劇場でキャストを一新。檀は、三女・雪子役。長女・鶴子役の高橋惠子(54)、次女・幸子役の賀来千香子(46)、四女・妙子役の中越典子らとの絶妙な掛け合いで大ヒットとなり、今回が待望の再演になる。

9月の名古屋は暑いが体調は大丈夫か、との質問に「すべて、(病院の)先生と相談して大丈夫、と言われましたので」と檀が答えれば、高橋も「(劇場は)クーラーが利いてますし…」と助け舟を出すなど、役柄同様、姉妹のように息もピッタリ。中越も「久しぶりに4人そろって大興奮しています。家族のよう」と再会を喜んだ。
(檀れい復帰「鉄欠乏性貧血」で舞台降板から1か月半)


貧血とは、末梢血液中の赤血球数(RBC)、ヘモグロビン(Hb)濃度あるいはヘマトクリット(Ht)値が低下した状態を指します。一般には、成人男性でHbが14 g/dl未満、成人女性で12 g/dl未満、高齢者では男女ともに11 g/dl未満を貧血としています。

検査結果からは、赤血球カウント、HbおよびHt値から平均赤血球容積(MCV)が計算され、これらの数値などから、疾患の鑑別を行っていきます。
MCV(fl) = Ht(%)/RBC(106/μl) × 10
この計算式で求めることができます。MCVの減少、正常、増加はそれぞれ小球性、正球性、大球性の貧血症を表しています。

小球性貧血の代表は鉄欠乏性貧血であり、貧血症のなかでは最も頻度が高いです。慢性疾患に伴う二次性貧血も小球性貧血に属し、成人の貧血のなかで頻度は高いほうです。また、鉄芽球性貧血、サラセミア、先天性無トランスフェリン血症などが頻度は低いがこの群に含まれます。

正球性貧血の群の中には、溶血性貧血、出血後の貧血、腎性貧血など多くの疾患を含みます。頻度は低くなりますが、再生不良性貧血、骨髄異形成症候群なども含まれます。

大球性貧血は、巨赤芽球性貧血と非巨赤芽球性貧血とに大別されます。巨赤芽球性貧血はビタミンB12や葉酸欠乏に基づきます。非巨赤芽球性貧血は肝疾患、アルコール中毒、甲状腺機能低下症などに随伴する貧血であり、頻度はこちらのほうが高いです。網赤血球が相対的に増加する、急性出血後や溶血性貧血でもみられます。一部の再生不良性貧血や骨髄異形成症候群でも、大球性貧血を呈することがあります。

貧血を起こす原因疾患を診断することで、治療方針や予後が異なってきます。鉄欠乏性貧血でも、月経過多や消化管腫瘍による慢性出血などといった鉄欠乏の原因を追及し、対処する必要があります。

貧血の症状としては、酸素供給が滞ることによる組織の酸素不足・低酸素血症に基づくものと、生体の代償作用が働いて酸素不足を補う機序に基づくものとがあります。

低酸素血症による症候としては、末梢血液中のHb濃度が減少する結果として末梢組織で低酸素血症をきたし、易疲労感(疲れやすい)、めまい、皮膚・粘膜の蒼白などの症候が現れます。「仕事の能率が上がらない」「なんとなく気力がない」などと訴えることがあります。

生体の代償作用が働いて酸素不足を補う機序としては、長期間にわたって貧血が続くと慢性心不全を引き起こし、そのために労作時の動悸、息切れ、浮腫が現れるようになります。

貧血症状の発現には、貧血の程度と貧血が生じる時間的な要因(短時間に貧血が生じるほうが症状は強い)によります。また、個人の心肺の代償能力や基礎疾患などにも左右されます。貧血は診断名というより症状名であり、原因疾患が必ず存在するので、その原因を明らかにする必要があります。

こうした問診と身体診察所見、検査結果などを調べて鑑別診断を進めていくことになります。

まずは問診を行い、貧血の自覚所見を調べます。倦怠感、易疲労感、めまい、傾眠、頭痛、集中力低下などは酸素欠乏に基づく症状であり、動悸、頻脈、頻呼吸、息切れは代償的機序に基づきます。

ですが、長期に貧血が続くと動悸や頻脈を感じなくなってきます(心拡大や心拍出量の増大で代償するから)。動悸、息切れが強いと、逆に貧血が短期間に生じたことを示唆し、急速に貧血症状をもたらすものとしては、出血か溶血があります。

過去に貧血症と診断されたか、治療法はどうか、その効果はみられたかは重要な情報となります。若年時に貧血があれば、先天性の貧血を疑わせます。また、血縁者に黄疸、胆石症、摘脾術を受けたなどの家族歴があれば、先天性溶血性貧血が疑われます。

不満足な食事、過剰な飲酒は巨赤芽球性貧血に関連します。薬剤は、骨髄抑制や薬剤起因性溶血性貧血を引き起こす可能性もあります。

さらに、大便の色や月経量も参考になります。黒色のタール便は上部消化管からの出血を示唆します。閉経前の女性に関しては、月経の量について問診することも、成人の貧血のなかで鉄欠乏性貧血を疑う上で参考になります。

鉄欠乏性貧血の治療としては、以下のようなものがあります。
鉄欠乏性貧血は、日本人女性の1割前後の罹患率があるといわれており、特に生理を有する期間の女性では、その頻度はさらに高いと考えられています。

そもそも、鉄欠乏性貧血は、鉄の供給量、需要量、喪失量のバランスが負に傾くことによって生じる貧血です。

つまりは、鉄含有量の少ない食物をとる(偏食が問題となります。実は、食事から摂取する必要のある鉄の量は1日あたり1 mgと少ない)、消化管における鉄吸収の障害といった供給の不足、あるいは思春期の急激な成長、妊娠に伴う胎児への鉄補充といった需要量の増大、さらには慢性出血の持続といった喪失量増加のいずれかの要因によって生じると考えられます。

このように、治療を開始するに当たって,鉄欠乏を生じた原因について十分に検討する必要があります。特に、男性や閉経後女性に関しては消化管出血や婦人科疾患の有無について検索し、原因となる疾患を有する場合は、それに対する治療が最も重要となります。貧血に対する治療法は鉄剤投与ということになりますが、投与法には経口と静注とがあり、経口投与が原則(経口摂取が難しかったり、経口による摂取では間に合わない場合、もしくは消化管に吸収障害があれば、静注を行います)となります。

Hb値は通常6〜8週で正常化しますが、その後も貯蔵鉄の回復のため血清フェリチン値を目安として3ヶ月ほど内服治療を継続します。

経口鉄剤で貧血が改善しない場合には、鉄剤が処方通り内服されていない場合や、鉄喪失量が多い場合、鉄吸収が悪い場合などが考えられます。また、体内鉄蓄積が十分回復した後に短期間で再び出現を認める場合は、原因の検索とそれに対する対応が必要となります。

まずはしっかりと原因検索を行い、その上で生活スタイルの見直し(特に、食生活)などを行って、さらには治療を行っていただければ、と思われます。

【関連記事】
貧血によるふらつきにより転倒、右手負傷−浜崎あゆみさん

溶血性地中海貧血−難病のため、生きるために壁土を食べた少年