ストレスやライフスタイルの変化が原因で、今や日本人の5人に1人が不眠に悩んでいる。加えて、今は寝苦しい猛暑の季節。

公私に忙しい独身男が、夏バテになったら最悪だ。そこで、毎晩グッスリできる快眠法を、情報サイト「オールアバウト」の睡眠ガイドも務める医師の坪田聡氏に聞いた。実践できれば間違いなく、地球が終わっても眠り続けていられるはずだ。

・快適な温度と湿度
夏なら室温26度、湿度は50~60%がベストです。外気の湿度が80%を超える真夏の夜は、エアコンなしで窓を開けて寝ても、快眠にはつながりません。

・大画面はご法度
眠る1〜2時間前からは、やや暗めの白熱灯の下で過ごす。眠る直前まで500ルクス以上の光を浴びると、睡眠ホルモンのメラトニンが減ってしまうためです。青白い光を浴びやすい大画面のテレビやパソコンは避けましょう。

・寝具は馬と羊に限る
真昼の熱がマットレスにこもると、いくら掛け布団を薄くしても寝苦しい。マットレスは通気性が高く、熱がこもらないものを選ぶこと。中素材に馬毛やラムウールを使ったタイプは、熱がこもりにくい。

枕は、首の自然なカーブに合っていればベストですが、夏は頭部を冷やすとよく眠れる。副交感神経が刺激されてリラックスできるからです。氷枕や、頭に張る冷却シートが効果的です。

・グッスリ眠るために日光に当たる
いくら暑いからといって、クーラーの効いた部屋にこもりきりはNG。前出のメラトニンの分泌バランスが崩れます。メラトニンは、人間が太陽の光を浴びてから約14時間後から分泌が始まる。深夜0時に程よい眠気が欲しいなら、朝8時過ぎまでに日光を浴びるといい。

・寝酒は逆効果
寝る前の酒は、確かに寝つきをよくしてくれます。でもアルコールは、睡眠中の抗利尿ホルモンの分泌を抑えてしまい、トイレで起きやすくなる。結果的に眠りが浅くなってしまうのです。

・夏なら水シャワー
通常は38〜39度のお湯で20~30分半身浴をするとよく眠れますが、暑い夏には効果が薄い。それよりも、水シャワーがいい。浴室で立って、腰の横の部分に水を5~10分間当てて両脚を冷やせば、副交感神経の活動が優位になってリラックスでき、熟睡できます。

これだけやれば夏バテ知らず。夏の眠りを制する者はシングルライフを制する。
(地球が終わっても…グッスリ寝られる快眠術)

睡眠障害とは


睡眠障害は発現頻度がきわめて高く、誰でも一度は経験があるのではないでしょうか。睡眠障害には不眠だけではなく、睡眠に関連したさまざまな症状が存在し、その症状は、
1)睡眠の開始と維持の障害(不眠症)
2)睡眠の過剰(過眠症)
3)睡眠のタイミングの異常(概日リズム睡眠障害)
4)睡眠時に起こる異常行動(睡眠時随伴症)

の4つに分けることができます。

中でも、不眠は一般臨床でも頻度の高い訴えの1つです。睡眠の質または量が不足している場合を不眠症といいます。不眠をきたす原因は多様であるので、各種不眠の特徴を把握することは不眠症の治療には重要です。

不眠は、入眠障害(眠りにつくまでに時間がかかる)、中途覚醒(眠りについても、途中で睡眠が妨げられる)、早朝覚醒(朝早くに目が覚めてしまう)、熟眠障害(睡眠時間はとれていても、熟睡感がない)の4つのタイプに大別されます。まず、患者の不眠がどのタイプであるのか、あるいはこの中のいくつのタイプが混在しているのかを見極める必要があります。

また、不眠の原因はさまざまであり、さらにいくつかの原因が重複して存在することも少なくありません。そこで、適切な治療を行うためには鑑別診断を行う必要があります。

不眠を引き起こしうる原因としては、寝室環境や不規則な生活習慣による生理的原因、痛み、痒み、頻尿、咳などによる身体的原因、降圧薬、ステロイド薬やインターフェロンなどの薬理学的原因、うつ病や神経症などの精神医学的原因、心理的要因のため不眠が生じ、眠れないことを過度に恐れるため入眠を焦り、かえって緊張が高まり眠れない精神生理性不眠(心理学的原因)などがあります。

さらに、中高齢者では睡眠時無呼吸症候群(夜間睡眠中に呼吸が停止し、昼間の眠気や中途覚醒、熟眠障害を呈する)、周期性四肢運動障害(睡眠中の下肢のぴくんぴくんとけいれんする不随意運動で中途覚醒、熟眠障害を呈する)、むずむず脚症候群(就床後に下肢がむずむずする異常感覚を生じ入眠障害、中途覚醒を呈する)などとの鑑別が特に重要となります。

不眠の治療

不眠症の治療としては、以下のようなものがあります。
不眠の原因となるような身体疾患や精神疾患が存在する場合は、それら基礎疾患の治療を行います。また、薬物使用の有無を確認し、不眠の原因となる薬物が判明したときは原則的には投与を中止すべきとなっています。

一方、よりよい睡眠を上手にとるための生活習慣(睡眠衛生)を整えてもらい、それでも改善されなければ睡眠薬内服による加療を行います。睡眠のための生活習慣としては、
1)同じ時刻に毎日起床する。休日も2時間以上遅くまで床で過ごさない。そうすれば夜眠くなる時刻も一定になってくる。
2)起床後に光を浴び、逆に夜は照明を暗くする。
3)規則正しい3度の食事、規則的な運動習慣を心がける。
4)就寝前4時間のアルコール、カフェイン摂取や就寝前1時間の喫煙は避ける。
5)就寝前の入浴、音楽、軽い読書、香りなどのリラクセーションを心がける。
このような生活習慣をしていただき、改善するかどうかみていただきます。

睡眠薬は、従来のバルビツール酸系睡眠薬と異なり、ベンゾジアゼピン(BZ)系睡眠薬が主に用いられています。ベンゾジアゼピン(BZ)系睡眠薬は、耐性や依存性を生じにくく、自殺目的や誤って大量に服薬してもそれだけで生命を失う危険性はきわめて小さいなど、安全性の高い薬剤と考えられています。

睡眠薬は、消失半減期を指標として、不眠の型、診断名、年齢、全身状態や生活状況によって使い分けます。朝の目覚めが悪かったり、日中も気だるさが残る、中途覚醒してしまう、などの症状があれば、医師と相談の上で睡眠薬の変更をしていただくなど、調整してみてはいかがでしょうか。

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