X JAPANのリーダーでドラマーのYOSHIKIが28日午前0時(現地時間27日午前8時)に、米ロサンゼルスで頸椎の外科手術を受けることが26日、分かった。1カ月ほど前から手足に重度のしびれが出るなど、演奏に支障を来すまでに持病の頸椎椎間板ヘルニアが悪化。ついにYOSHIKIが、手術に踏み切ることになった。

ついに手術を決断した。頭を激しく振り回し、ドラムセットをたたき壊すほどにパワフルなドラムプレーの代償として、YOSHIKIは10年以上前から椎間板ヘルニアと戦い続けてきた。X時代には、2度の長期療養を経験。数年前からは、ドラム演奏の際にコルセットの着用を徹底しており、首の症状は限界寸前だった。

関係者によると、今年5月末の台湾公演後は、左手の感覚がほとんどない状態だったという。7月には右手にまで強いしびれが現れ、ロスの病院で診断を受けた。MRIや筋電図検査などの結果、重度の「頸椎椎間孔狭窄症」と判明。変形した骨が手足の神経を圧迫しているといい、現地で頸椎椎間孔の切除手術を受けることになった。

術後数週間はベッドの上で安静、その後1カ月以上のリハビリが必要。ただ、手術を受けても症状が改善する確率は50%。数カ月たっても改善が見られない場合は、別の外科手術を受ける可能性もあるという。

これまでも、ヘルニア改善のためにあらゆる努力を尽くしてきた。米ロスの自宅に東洋医学の名医を呼び、海外公演先に酸素カプセルを持ち込み、首回りの筋肉トレーニングも欠かさなかった。だが、昨年のX JAPAN復活ライブからファンに元気な姿を見せたいとコルセットを外し、激しいプレーを続けた。無理がたたり昨年6月には一時、全国ツアーの無期限延期を発表。YOSHIKIの体は確実に限界へと近づいていた。

YOSHIKIは公式携帯サイトで「前向きな方向に向かうと……自分は信じています。X JAPANの再結成を決めた時からこうなる覚悟はできていました」とつづっている。10月10日に控えるフランス公演も開催する予定という。
(YOSHIKI 持病悪化で首を手術へ)

頚椎椎間板ヘルニアとは


椎間板は、隣接する脊椎の椎体と椎体の間にあるものです。円盤状をしており、周辺部の線維軟骨性の線維輪と、中央部のゼリー状構造の髄核からなっています。機能としては、脊柱において、椎体と椎体の間のクッションとして働いたり、椎体の運動の支点の役割をしています。

椎間板ヘルニアとは、この椎間板に異常な外力が加わり、線維輪を破って中心の髄核が流れ出ることによって生じます。結果、脱出した椎体の部分が神経根を圧迫して、腰痛や坐骨神経痛(下肢痛)などを生じます。

20〜40歳台の男性(スポーツ活動なども激しくなる、思春期頃から罹患者が増加する)に多いといわれています。一般的には、寛解と増悪を繰り返すようです。一般に中腰での労働、重量物の挙上、くしゃみなどを誘因として発症することが多いですが、何ら誘因のない場合もあります。

椎間板ヘルニアは、頚椎、胸椎、腰椎のどこにでも発生する可能性があります。ですが、特に後縦靱帯、脊椎骨の構造の差から、頸椎より腰椎に生じやすく、胸椎にはまれなものであるといわれています。

特に、L4/5間(第4腰椎と第5腰椎の間)、L5/S間(第5腰椎と仙椎の間)のヘルニアがほとんどを占めます。したがって、神経根としてはL5(第5腰椎)、S1(第1仙椎)の障害が最も多く、膝以下から足部の疼痛、知覚障害や筋力低下などが主立った症状となります。末梢神経では、S1を主とする坐骨神経、深腓骨神経、浅腓骨神経、脛骨神経などに添った疼痛があり、坐骨神経痛などがよく起こるようです。

頚椎では、腰椎で観察されやすい「変性の少ない椎間板でのヘルニア発生」がみられにくいです。椎間板内の水平裂、軟骨板に達する垂直裂、軟骨板の断片化と進み、軟骨板を含む椎間板組織片が後縦靱帯深層を穿破し、その結果として頸椎椎間板ヘルニアとなります。

そのため、腰椎に比べておおよそ10年遅いといわれています(腰椎のヘルニアは、10〜20歳代でも発生します)。したがって、頚椎のヘルニアは中高年齢層で生じることが多いです。10歳代の例は皆無であり、20歳代も稀です(ただ、頚椎の椎間板変性は20歳代ころに始まっているといわれています)。

神経根症を来すヘルニアの椎間板高位はC6-7椎間が最も多く、次いでC5-6、C7-T1、C4-5椎間の順です。脊髄症では、C5-6椎間が最も多く、次いでC4-5、C3-4、C6-7椎間の順です。

頸椎椎間板ヘルニアの診断

頸椎椎間板ヘルニアの症状としては、多くが手指のしびれで発症します。両側同時の発症もありますが、左右いずれかに生じて、まもなく両側性となる例が多いです。続いて、手指のもつれ、箸使い、書字、ボタンはめが困難といった手指の巧緻運動障害が現れます。

やがて、足のひきずり、もつれといった痙性歩行が出現し、足先あるいは下肢、体幹に及ぶしびれ、さらに排尿障害が加わります。下肢の感覚障害は、しびれでなく、冷える、ほてるといった温度覚の異常で自覚されている場合が少なくないです。

発症後早期に、頚椎を後屈すると上肢あるいは下肢への電撃性ショック、あるいは四肢の脱力、体幹の熱感といった症状が再現されることが多いです。

神経学的所見では、上肢に筋力低下、腱反射低下、知覚障害がみられます。加えて、Hoffmann徴候、下肢腱反射の亢進、下肢の知覚障害がみられます。稀に、下肢症状で発症する場合があります。

診断にあたっては、神経学的所見や疼痛部位と、単純腰椎X線、MRIなどによるヘルニアの高位と横断位が一致した場合に、診断が確定されます。

ヘルニアの腫瘤は、単純X線像では描出されません。ですが、神経根症あるいは脊髄症があり、側面像で椎間板腔に狭小化の所見がなければ、ほぼヘルニアが脊柱因子であると考えられます。

MRIでは、ヘルニアが最もよく描出されます。脊髄に変形がみられ、T2強調像で脊髄内に高輝度領域が見られればヘルニアが原因と診断できます。

頸椎椎間板ヘルニアの治療

頸椎椎間板ヘルニアの治療では、以下のようなものがあります。
神経根症であれば、まず保存的治療を行います。軽症例では日常生活上の指導に加えて消炎鎮痛剤を投与することで、良好な改善が期待できます。重症例では、頚部の安静をとらせるために入院させ、Glisson牽引を行い、硬膜外あるいは神経根のブロックを併用する場合があります。それらの中間の例では、頚椎カラーによる固定が有用です。

一般に症状の改善は治療後4ヶ月までに著しく、その後に少ないです。したがって、4ヶ月を経て頚部〜上肢、手指にかけての痛み、しびれが強く残存し、就労能力あるいはQOLが損なわれていれば、手術の適応となりえます。

脊髄症であれば、ほとんどで保存的治療が無効なために手術が適応されます。手術では、一般に前方除圧固定術が行われ、確実で安全なヘルニア摘出に、縦・横幅ともに広い掘削溝が望ましいです。

こうした治療などが行われます。手術後もしっかりと静養なさって、再び元気な姿を拝見できれば、と思われます。

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