コーヒーを飲むと「肝がん」にかかるリスクが低くなるという調査結果が出た。コーヒーはほかにも、子宮体がんや大腸がん発症のリスクをおさえるともいわれる。そのメカニズムまではよくわかっていないが、コーヒーの摂取で、「がんリスク」が緩和される傾向にあるのは間違いないようだ。

国立がんセンター予防研究部は2009年7月16日、コーヒー摂取と肝がんとの関連に関する調査結果を発表した。それによると、コーヒーを日常的に摂取したグループは、摂取しないグループに比べて肝がんのリスクが低くなることがわかった。同研究部では、これまでもコーヒー摂取と肝がん発生率に関する調査はしていたが、肝炎ウィルス感染状況を踏まえた点が新しい。肝炎ウィルスは、肝がんを引き起こす主要な要因とされている。

男女18815人(男性6414人、女性12401人)を対象に、13年にわたる追跡調査を実施した。研究班は、研究開始時の質問票をもとに、コーヒー摂取量によってグループわけをした。「コーヒーをほとんど飲まない」グループは33.6%、「1杯未満」が30.6%、「1杯〜2杯」が27.1%、「3杯以上」は8.7%だった。

その結果、「コーヒーをほとんど飲まない」人が肝がんを発生する割合を「1」とした場合、「1日1杯未満」では「0.67」、「1日1〜2杯」は「0.49」、「1日3杯以上」は「0.54」だった。そして、肝炎ウィルスの感染者への調査でも、同様の結果――「1日1杯未満」では「0.56」、「1日1〜2杯」は「0.40」、「1日3杯以上」は「0.78」となった。

いずれにしろ、コーヒーの摂取によって、肝がん発生のリスクが低くなる傾向にあるようだ。なお、調査期間中、肝がんを発生したのは、110人(男性73人、女性37人)だった。

実は、コーヒーには子宮体がんや大腸がんのリスクをおさえるほか、生活習慣病の改善、心臓疾患の予防にも効果がありそうだという調査結果が、日本国内や欧米で発表されている。

国立がんセンター予防研究部では、コーヒーに含まれる成分のうち、クロロゲン酸やカフェインが主な要因として挙げられる、と推測している。肝がんの場合、これらの成分が肝機能酵素活性を改善したり、肝細胞炎症を軽減させたりしたのではないか、と考えられるという。もっとも、その具体的なメカニズムは今のところ、正確にはわからないそうだ。

日本コーヒー協会の西野豊秀専務理事も、「食生活と病気の関係を調べていくと、(コーヒーを摂取した場合)そのような良好な関係にあることがわかっています」として、次のように指摘する。

「コーヒーには、実は、きわめて多様な成分が含まれているので、具体的に、どの成分が人体に作用しているのかまではわからないようです。また、コーヒーに含まれる微量の成分同士が関係し合っているのではないか、とも考えられているようです」
(「肝がん」に罹るリスク コーヒー飲むと減る)

肝癌とは


肝癌とは、肝臓に発生する悪性腫瘍の全てを指し、原発性肝癌と転移性肝癌に大別されます。

原発性肝癌には肝細胞由来の肝細胞癌、胆管細胞由来の肝内胆管癌(胆管細胞癌)、胆管嚢胞腺癌、混合型肝癌(肝細胞癌と胆管細胞癌の混合型)、肝芽腫、未分化癌、その他に分類されます。

原発性肝腫瘍では、肝細胞癌と胆管細胞癌が95%を占め、中でも肝細胞癌が最も頻度が高くなっています。肝細胞癌は原発性肝腫瘍の中では最も頻度が高く、肝細胞癌と胆管細胞癌の比は約26:1です。

原因としてはB型肝炎ウイルス(HBs Ag陽性15%前後)およびC型肝炎ウイルス(HCV陽性75%前後)の長期にわたる持続感染が大多数を占め(肝炎ウイルス感染の関与が9割以上を占めている)、原発性肝細胞癌の9割がなんらかの肝病変を併発しています。その他の病因としては、アルコール性肝疾患、自己免疫性肝疾患、Wilson(ウィルソン)病、ヘモクロマトーシス、Budd-Chiari(バッド-キアリ)症候群、α1アンチトリプシン欠損症、原発性胆汁性肝硬変などが挙げられます。

肝癌の診断

肝癌に特有の症状は少なく、肝炎・肝硬変などによる肝臓の障害としての症状が主なものです。通常は併存した肝硬変の症状、検査所見を示します。日本の肝癌は、肝炎ウイルスの感染にはじまることが大部分であり、日本では80〜90%に肝硬変(主として乙型)を併存しています。

早期肝癌では、特有の症状は乏しく、併存した肝病変の症状を呈します。肝炎・肝硬変のために医師の診察を受ける機会があり、肝癌が発見されるというケースが多くみられるようです。

進行すると、上腹部ないし右季肋部の疼痛と肝腫大を示します。また、黄疸、腹水による腹部膨満、浮腫などがみられます。その他、発熱や腫瘍の腹腔内破裂の際は、急激な腹水の出現と血圧低下をきたします。

また、腫瘍随伴症候群として、稀ですが低血糖や赤血球増加症、高コレステロール血症、高Ca血症(腫瘍のホルモン様物質の産生、腫瘍代謝の異常など)をきたすことがあります。

身体的所見としては、肝硬変に基づいた所見以外に、腫瘍が著しく増大すると、肝腫大、腫瘤触知、圧痛、血管雑音がみられることがあります。腫瘍による下大静脈の圧迫がもたらされると、下肢のみの浮腫や腹壁の上行性の副血行路がみられます。

肝細胞癌では慢性肝炎や肝硬変の病態を反映し、ASTやALTなどの酵素が上昇していることが多いです。白血球や血小板は肝障害に伴う脾機能亢進症の状態を反映します。肝細胞癌が進行すると血清ビリルビンやALP、LDHが上昇することがあります。

肝細胞癌の腫瘍マーカーとしては、AFPとPIVKA-兇あります。AFPは肝硬変でも上昇しますが、時間経過とともに上昇するようであれば肝細胞癌が疑われます。AFPとPIVKA-兇蓮△箸發僕枩率は約半数であり、両者の併用が望ましいと考えられます。

腹部長音波検査は、小腫瘍の検出に優れており、1cm前後またはそれ以上の径をもつ実質性の限局性異常を認めれば、悪性腫瘍を疑います。腹部単純CT検査では、low densityな腫瘍として描出されます。肝細胞癌は、急速静注法(ダイナミック CT)の早期相では腫瘍内部の結節が種々の濃度に造影され、後期相では腫瘍全体が再度low densityとなります。

MRI検査では、一般にT1強調画像で低信号、T2強調画像で高信号を示すことが多くなっています。血管造影が行われた場合、腫瘍血管の増生や腫瘍濃染が認められます。

腫瘍径2 cm以上の肝細胞癌は各種画像検査にて多数が診断に至りますが、腫瘍径2 cm 以下の鑑別診断不可能例には腫瘍生検は不可欠な検査となっています。

肝癌の治療

肝癌の治療としては、以下のようなものがあります。
治療方針としては、エビデンスに基づき構築された肝細胞癌治療アルゴリズムに沿って基本的には行われます。

原則的には肝機能、腫瘍条件が許す限り、局所制御効果の最も高い肝切除が第1選択となります。肝切除後の5年生存率は50〜60%程度といわれています。切除の適応と術式は、腫瘍の位置、数と肝機能により決定されます。

具体的には、手術適応は遠隔転移がなく、肝障害度AまたはBで腫瘍の占拠範囲が術前評価により耐術可能な切除範囲内にあること、となっています。腫瘍数や腫瘍径、占拠部位、血管侵襲の有無とともに、術前の肝機能評価が重要となります。

他にも、以下のような治療法があります。
経皮的エタノール注入療法(PEI)は、超音波映像下に細径針を用いて腫瘍を穿刺し純エタノールを直接注入することにより、癌部を瞬時に凝固壊死させる治療法です。腫瘍径3cm以下の小肝細胞癌で、3病巣以内の場合に適応となります。

経皮的ラジオ波照射熱凝固療法は、穿刺針を用いてラジオ波照射による熱凝固作用により腫瘍を凝固壊死させる療法のことです。腫瘍径3cm以下の肝細胞癌に対して治療回数1回で完全壊死が高率に得られる利点があります。

経カテーテル肝動脈塞栓療法(TAE)は、カテーテルを腫瘍支配動脈に選択的に挿入し、ゼラチンなどで塞栓して、腫瘍を阻血性壊死に至らせる治療法です。通常、門脈本幹ないし一次分枝に腫瘍栓がなく、多発病巣を有する症例に適応となります。

コーヒーを飲むのも良いのかとは思いますが、予防としてはまず、原発性肝細胞癌は肝炎ウイルスの関与が9割以上に認められることから、ウイルス性肝炎、肝硬変患者はハイリスクグループとして厳重に経過観察を行うことが重要であると考えられます。

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