体調不良で生涯最後の全国ツアーを中止した歌手の吉田拓郎(63)が、17日放送のニッポン放送「わが青春の吉田拓郎!坂崎幸之助のオールナイトニッポンGOLD」(後10・00)に出演する。このほど電話による収録を行ったもの。7月4日の東京公演以来の肉声で「元気です!」と語り、ギターで曲作りを始めていることも明かした。

拓郎は張りのある声で、パーソナリティーを務めた「THE ALFEE」の坂崎幸之助(55)に自宅で安静にしている現在の状況について「長時間乗り物で移動したりステージで2時間半〜3時間半歌うのはきついが、日常生活には問題ないので、通常の生活を送っている」と語った。

6月21日に生涯最後のツアー「Have A Nice Day」を名古屋でスタートさせたが、7月8日の大阪公演を中止。同22日に3日後の静岡公演で復帰する意向を示したが、翌23日、リハーサルで現地に向かう途中に再び体調を崩し、都内の病院で「慢性気管支炎の急性増悪」と診断され、残りの公演も無念の中止となった。

拓郎は「(公演は)最悪の結果となってしまい、チケットを買って待ってくれていた全国の皆さんに申し訳ないことをした。この場を借りておわびしたい」と謝罪。一方、「今月はまだ家から一歩も出ていない。お酒は一切飲んでいない。作曲にはもってこいの状態」と静養生活を前向きにとらえ、「次のアルバムへ向け、ギターで曲作りを始めている」とも明かした。

さらに「歌うことが終わったわけではない。この秋は曲作りに専念する。アルバムを作りたくてウズウズしているし、レコーディングをしたい。70年代のようなライブをやりたいので、何人かに電話してみようと思っている」と語った。
(拓郎ラジオに出演へ!無念の公演中止を謝罪)

慢性気管支炎とは


気管支炎とは、ウイルスや細菌などの微生物の感染、アレルギー、喫煙・大気汚染ガスなどの吸入などに起因する気管支粘膜の炎症を指します。症状の時間経過により、急性気管支炎と慢性気管支炎に分類されます。

慢性気管支炎とは、気道の粘液の過剰分泌が持続する病態であり「痰を伴う咳が1年間に少なくとも連続して3か月以上、少なくとも2年以上にわたる」と定義される臨床症状に基づく疾患名です。ただし、同様の症状を示す気管支拡張症、肺結核などの他疾患は除外されます。

また、肺気腫は慢性気管支炎とともに,喫煙といった共通の病因があることや、両疾患に重なりが多いことなどから、両者は慢性閉塞性肺疾患(COPD)と一括されています。2001年に発表されたCOPDのガイドライン(GOLD;Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease)では、肺気腫、慢性気管支炎と分けずCOPDという統一病名を使っています。

病因として喫煙が最も重要となっています。その他の発症寄与因子として大気汚染、職業的曝露、乳幼児期の反復した下気道感染、低栄養などに加えて未知の生物学的素因が推定されています。

一般に慢性の経過をたどり、感染を契機に急性増悪をきたすことがあります。長期間にわたりしばしばこうした増悪、緩解を繰り返します。喫煙者に多い慢性気道炎症疾患であり、喫煙をやめることが重要です。

慢性気管支炎の診断

せき、痰が持続性(少なくとも3ヶ月以上)に、また慢性に2年以上みられることが基本的診断条件となります。労作性呼吸困難、喘息発作は感染による急性増悪時以外は軽度です。喘息症状、気道過敏はあっても軽度のことが多いです。

身体所見ではやせを特徴とする肺気腫とは異なり、肥満傾向を示すことが多い(blue bloater型)です。肺聴診所見でcoarse crackleを広範に聴取します。咳のあと、聴診所見の性状が変化することも特徴の一つです。

胸部X線検査では、通常は異常所見を認めないことが多いですが、感染を繰り返したり、病状の進行した場合には肺紋理の増強、気管支の壁肥厚、トラムライン(tram line)、輪状陰影(ring shadow)、索状影などが出現します。

肺機能検査では、ほぼ正常なものから閉塞性障害を示す場合まであります。特に肺気腫を合併した例では、1秒率の低下がみられ、肺拡散能は低下します。

喀痰検査では、急性増悪時の起炎菌としては Haemophilus influenzae、Streptococcus pneumoniae が多いです。

COPDの重症度は予測値に対する1秒量の割合(%1秒量)で決定されます。80%以上がステージ1(軽症)、50%以上80%未満をステージ2(中等症)、30%以上50%未満をステージ3(重症)、30%未満をステージ4(最重症)と定義されます。

慢性気管支炎の治療

慢性気管支炎の治療は、以下の通りです。
安定期のCOPDの管理においては、すべてのステージにおいて禁煙・インフルエンザワクチン接種が勧められます。タバコ煙・排気ガス・有機粉塵などCOPDを惹起させる物質からの回避はCOPD管理の基本的な戦略です。インフルエンザワクチン接種によって急性増悪の頻度が減少し、増悪してもその程度が軽減されることが証明されています。

ステージごとには、
ステージ1:症状のあるときのみ短時間作用型の気管支拡張薬を使用する。
ステージ2:呼吸リハビリテーションおよび長期作用型の気管支拡張薬を単剤もしくは多剤使用する。
ステージ3:増悪を繰り返す場合は吸入ステロイド薬を使用する。
ステージ4:呼吸不全がある場合は、酸素療法・非侵襲的陽圧換気療法・外科療法などを検討する。
などの治療を検討します。

抗コリン薬は、気道平滑筋の弛緩作用によって、エアトラッピングに伴う肺の過膨張を改善し、運動時の呼吸困難感を軽減して運動耐容能を増大させる効果があります。特に、長期作用型抗コリン薬は、気管支平滑筋に特異的なM3レセプターに選択性が強いため排尿障害などの副作用が比較的少ないこと、1日1度の服薬でよいことなどの長所があります。

長期作用型β2刺激薬による吸入薬は、気管支拡張作用があります。テオフィリン薬は、気管支拡張効果以外に低用量でも抗炎症効果が報告されています。

吸入ステロイド薬は、急性増悪の頻度を減少させ、β2刺激薬との併用で相乗的に閉塞性障害を改善させると報告されています。

喀痰調整薬は、慢性的な喀痰を調整するとともに、急性増悪の頻度を減少させる効果も報告されています。

ステージ4の低酸素血症を有する患者に対しては、在宅酸素療法が行われます。特にCOPDに対する在宅酸素療法は、生命予後の改善、肺高血圧症の予防、入院治療日数の改善などが報告されています。

急性増悪の原因としては、最も多いものでウイルス・非定型病原体・細菌などによる気道感染症があります。そのほか、心不全・自然気胸・呼吸筋疲労など、原因は多彩であり、基礎疾患・原因に応じた適切な対処を行います。

まず始めに気管支拡張薬の投与を開始もしくは増量し、この場合、感染の徴候があれば抗菌薬,心不全の徴候があれば利尿薬の投与を開始します。また、全身ステロイド薬の投与が有効です(経口の場合、40mgのプレドニゾロンを10〜14日間投与)。数日間に非改善もしくはさらに悪化するようであれば入院管理を検討します。

急性増悪時には、早めに非侵襲的陽圧呼吸(NIPPV)を装着することが、血液ガスの改善・院内死亡率の減少・挿管下人工呼吸への移行率の減少・入院日数の減少などに有効です。

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