女優の美保純さん(49)がメニエール病の悪化のため、主演する予定だった舞台「BUG」を降板する。代役は女優の西山水木さん(51)。

所属事務所が3日、明らかにした。メニエール病はめまいや耳鳴りなどが重なる病気。美保さんは20代後半から患い、数日前からめまいがひどくなったという。
(<美保純さん>病気で舞台降板)

メニエール病とは


メニエール病とは、迷路障害(平衡機能をつかさどる内耳の部分であり、三半規管と耳石器からなる部分を迷路といいます)により、反復性にめまい、耳鳴、難聴を示す疾患を指します。

内リンパ水腫が原因(内耳にリンパ液がたまりすぎていることが原因)であるといわれており、内耳の内リンパ水腫が、球形嚢と蝸牛管に著明に、前庭半規管には軽度にみられます。内リンパ水腫は内耳の循環障害によるとの説が有力で、感染後、外傷後、自己免疫疾患などでもみられます。発症年齢は男性で40歳代、女性で30歳代にピークをもちます(小児のメニエール病はきわめて稀)です。

メニエール病は種々のストレスに対応できず、自らを蝕む心身症としてもとらえられており、性格や行動特性が発症に深く関わっている、という見解もあります。

めまい、耳鳴り、難聴を主症状とし、これらが関連して反復出現します。耳閉感、音が響くなどといった症状もあります。難聴,耳鳴は一側性の場合と両側性の場合があります(一側性の約40%が長期的には両側性に移行)。そのほかの症状としては、聴覚過敏、複聴を伴うことが多いです。症状の悪化時には肩こり、頭重感をしばしば訴えます。

メニエール病の診断


めまいは発作性、突発性、回転性(目の前がグルグルと回るような感じ)で、吐き気、嘔吐、冷や汗を伴うことも多いです。発症時間は数分のこともあり、数時間のこともあります。また、1日に何回となく起こることがあります(めまい発作は数時間から1日程度のものが多く、数日間もめまいが持続する場合はほかの疾患を考えます)。意識障害や麻痺、知覚障害はありません。患側耳を上に側臥位で臥床していることが多く、身体を動かすとめまいは増強します。

ちなみに、めまいは、その性質から
・回転性めまい(vertigo)
天井や自分がぐるぐる回るように感じるめまい
・非回転性のめまい(dizziness)
「浮動性めまい」とも呼ばれる。小さな地震を経験したとき、あるいは船に揺られているような、といわれる身体のふらつきや動揺感を主体とする。
・立ちくらみ型めまい(faintness,lightheadedness)急に立ち上がったときに、フワーっとする気が遠くなる感じ
このように症状の性質は分けられます。

また、メニエール病になる前の症状(前駆症状)として「急性低音障害型感音難聴」とよばれる低音域が聞こえにくくなる難聴が起こっているということが指摘されています。急性低音障害型感音難聴は、耳の聞こえを司る内耳の蝸牛に異変が起き、聴覚に障害が生じます(人の話し声などは中音域が中心で、低音の聞こえにくさには、中々気付きにくいといわれています)。

典型例では、症状や経過など病歴のみで診断可能となりますが、純音聴力検査で低音域を中心とした感音性難聴を確認すれば診断はより確実になります。確定診断のためには、グリセロールテストや蝸電図検査を施行することが望ましいとされています。

グリセロールテストとは、メニエール病の病態である内リンパ水腫を判定するための検査法です。純音聴力検査を施行した後にグリセリンを経口あるいは経静脈的に投与し、その約3時間後に再度純音聴力検査を行い、グリセリン投与前後の聴力変動を観察します。グリセリンの利尿作用により内リンパ水腫が一過性に減圧され、その結果として聴力が改善されるという原理に基づきます(2つ以上の周波数において10dB以上の聴力改善を認めた場合にグリセロール検査陽性と判定)。

鑑別診断としては、外リンパ瘻、自己免疫性内耳障害、聴神経腫瘍、前下小脳動脈領域の病変があります。特に中枢神経系の疾患が疑われる場合は、CT、MRI検査が必要となります。

メニエール病の治療


メニエール病の治療としては、以下のようなものがあります。
治療としては、薬物療法が中心で、一部の難治例のみ手術的治療の対象となります。発作期の治療としては、発作期は臥位で安静をとらせ、点滴治療を行います。グリセオール、プリンペラン、7%メイロンなどを混注して点滴します。

めまい発作の予防としては、精神的、肉体的過労、睡眠不足などストレスとなる要因を排除するように生活指導し、極力投与薬は行いません。投薬した薬剤は聴力の悪化時や耳鳴、耳閉感の増強した場合に服用するように指導します。イソバイド(利尿薬)やメリスロンなどを内服します。

手術治療は、薬物治療無効例が対象となります。めまいの制御と難聴の進行を阻止するためには、内リンパ嚢開放術が選択されます。めまいの制御が主目的の場合には、アミノ配糖体の鼓室内注入、前庭神経切断術が選択されます(ただし、両側罹患例や高齢者には適応はないとされる)。

ストレスが大きな原因とされ、肉体的・精神的な過労や睡眠不足はメニエール病を誘発しやすいとされています。あまりストレスを溜め込まないようにすることが重要であるといわれています。

【関連記事】
有名人の症例集(2009〜)

メニエール病−突然のめまいや耳鳴り、吐き気など