1960年代から70年代にかけてのフォークブームを巻き起こした米国の伝説的グループ「ピーター・ポール&マリー」の女性メンバー、マリー・トラバースさんが16日、入院中のコネティカット州の病院で死去した。72歳だった。

ここ数年は白血病と闘っていた。同グループはベトナム反戦など社会問題に目を向けたメッセージ性の強い曲が多く、若者らの人気を博した。
(PP&Mのマリー・トラバースさん死去)

白血病とは


白血病では、何らかの原因で、血液幹細胞のあるレベルで異常クローンが発生します(白血病化leukemic transformation)。そのクローンの白血球が無限に増殖した結果、正常血液細胞の増殖が抑制され、代わって末梢血中に通常は認められない白血球(白血病細胞)が出現してきます。

また、病状が進行すれば、骨髄をはじめとする全身諸臓器に白血病細胞の増殖浸潤を来すこともあります。赤血球減少による貧血症状、白血球、特に好中球減少による感染症状、血小板減少による出血症状と胎生期の造血組織である肝臓、脾臓やリンパ節への白血病細胞の浸潤による腫大などがみられてきます。

白血病細胞は、その発生母地から骨髄性とリンパ性に二大別されます。さらに、それぞれ細胞の未成熟なものを急性、成熟しているものを慢性と呼んでいます。

そのため、急性白血病の血液像は病的幼若白血球と少数の成熟細胞の2群からなり、両者の中間型が認められません(白血病裂孔)。これに対し、慢性白血病では白血病裂孔は認められず、少数の幼若細胞から成熟細胞まで各成熟段階の細胞が切れ目なく続いており、全体としてピラミッド型を示します。

急性白血病/慢性白血病の両者は臨床症状のうえでも相違が認められ、前者は比較的激烈であり、後者は比較的軽微となっています。

白血病の診断


白血病の診断としては、以下のように行っていきます。
白血病の診断は、臨床症状、血液検査に加え、確定診断には骨髄検査が必須となっています。

急性白血病の場合、急速に進行する貧血症状がみられます。明らかな出血部位のない場合、骨髄機能不全を考慮します。発熱や出血症状もみられ、下腿や衣類との摩擦部を中心に点状出血や紫斑が認められることもあります。これらの出血症状を認めたら、血算、PT、aPTT、フィブリノーゲンそしてFDPを測定します。

脾腫、肝腫、リンパ腫大、中枢神経症状などの臓器症状は、比較的発病から時間が経過した場合が多いです。歯肉の腫脹、皮膚浸潤や痔核(肛門部の浸潤)をみることもあります。

検査では、白血球数とその分画、赤血球数、血小板数、網赤血球数などの検査が行われます。急性白血病の初期には、白血球数は正常ないし減少している場合も多いので白血球分画も必ず検査します。白血球数が少なくても、多くの場合は白血病細胞が末梢血の中に観察されます。

慢性骨髄性白血病では、白血球増多が進行すると、微熱、盗汗、体重減少がみられることがあります。慢性リンパ性白血病では、表在リンパ節の腫大で気づくことが多いです。ともに進行すると、脾腫が出現し、時に巨脾となります。

確定診断として必要となる骨髄穿刺に関しては、1999年に提唱されたWHO分類では、AMLは骨髄における芽球比率が20%以上であることと定義されています(従来のFAB分類では30%以上)。

骨髄穿刺にて芽球の形態学的検査、ペルオキシダーゼ染色などの細胞化学的検査、細胞表面マーカー、染色体検査、遺伝子検査などを行い白血病細胞の生物学的特徴を明らかにします。

WHO分類は形態学的異常に加え、遺伝子異常や臨床的特徴を考慮して分類されています。すなわち、芽球増加に加え2〜3系統の血球形態異常を有するAML(急性骨髄性白血病)、治療関連AML、急性混合型AMLなどが加えられ、従来のFAB分類の病型も残すものとなっています。

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