以下は、ザ!世界仰天ニュースで扱われていた内容です。

イギリス人女性、ロビーナ・ハッチングさんは6人兄弟の末っ子として生まれた。父親はとても厳格で、いつも子供たちを厳しくしかりつけていた。彼女は、転校したばかりの学校にはなじめず、家でもいつも父に見張られているという緊張感から、ストレスをためていった。

ある日、母親が自分の髪の毛をぬいているロビーナを見かけた。両親は彼女に髪の毛を抜くのをやめるように注意したが、両親の目の届かない場所で髪の毛を抜き続けた。髪の毛を抜きたいという制御不能の衝動にかられ、気が済むまで抜き続け、やめたいと思ってもどうしても我慢ができずに続けてしまうのである。

大人になると、髪の毛を抜かないよう、いろいろな方法を試したが、だめだった。そんなある日、アルバイト先で知り合った男性と付き合うことに。彼は彼女の癖のことも理解をしてくれた。後に結婚。2人の子供に恵まれた。

だが、彼女が持つ癖のことでいろいろと夫婦間に問題が生じ、離婚。それから、女手一つでの子育てでのストレス。抜毛はとまらなかった。そんなある日、子供がいじめられて帰ってきた。理由は彼女の髪のこと。子供のために何とかしよう。

それから、医師に相談をした。そこで「抜毛症」ということがわかった。後日、抜毛症を含む女性の髪の悩みを専門に扱うイギリス初のクリニックに訪れた。そこで徹底的に調べられた結果は、もう髪が生えない部分が多いということだったが、エクステンションを使用することによって、自分の髪に直接触れることなく、抜く衝動を抑えられるということで、エクステンションをつけることになった。現在のロビーナさんは、数年前に知り合った男性との間に新たに2人の子供に恵まれ、現在4人の母。

髪を抜くことを完全にやめられる日も近いと感じている。

抜毛症とは


抜毛症(Trichotillomaniaトリコチロマニア)とは、身体の毛、主として頭髪を引き抜く症状で、女子により多くみられます。

ほとんどが学童ですが、稀に成人例もあります。脱毛斑で来院する頻度は、円形脱毛症の1/10〜1/20程度ですが、抜毛行為自体は学童期の癖としてかなり多いものとみられています。

患児なりの精神的ストレス(例えば家庭や学校での人間関係、特に母親との心の葛藤など)が引き金となり、抜毛行為を開始します。通常、知能低下はなく、むしろおとなしい内向的な性格の児が多いです。

脱毛巣は頭部の利き腕側に分布しますが、生え際は抜かないことが多いです。ときに眉を抜いてしまうこともあります。

脱毛巣の性状が診断に重要で、脱毛巣の形は不整で、どこか直線的な辺縁をみることが多いです。脱毛巣内に短い切れ毛が不規則に残存しますが、いずれも丈夫な成長期毛で太さは正常で、抜けやすさもありません。患児さんの部屋、特に机の周りなどに抜かれた毛髪がみられるかを家人に尋ねることも診断に重要です。爪咬み症を伴うことが多く、食毛症もときにあります。

抜毛症の治療とは


抜毛症の治療としては、以下のようなものがあります。
多くの場合、抜毛行為を指摘し、それを患児自身が認めると、以後、行為を中止して改善します。抜いていることを知っても、叱責しないことが大切です。通常、薬物療法は不要です。

知能低下や精神障害のある児では、なかなか抜毛行為を中止できないことがあり、その場合、精神科専門医にコンサルトする必要があります。

必要があれば、付き添いの家人とは別室で尋ねます。抜毛行為は患児の一種の癖によりますが、叱責しても解決せず、母親や周囲の人が暖かく患児に接することが大切であることが重要です。

ロビーナ・ハッチングさんのケースでは、病院に受診するのを止めてしまったこともあり、『抜毛症』という認識もあまりなかったようです。悩んでいる方は、精神科を受診され、しっかりと治療を受けることが必要であると考えられます。

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