心臓弁手術のため入院しているエリザベス・テイラーが、無事に手術を終えたことをファンに報告した。

「親愛なる友人たちへ。心臓手術は完璧でした。まるで新しい心臓をもらったようです」と自身のTwitterページに書き込んでいる。また、「皆さんの温かい気持ちとお祈りに感謝します。力になったと信じています」と付け加えた。

アクセス・ハリウッドによると77歳のエリザベスは糖尿病も患っているとの報道があったが、それもTwitterで否定したとのこと。「皆さんには本当の入院理由を教えました。メディアはそれに何か付け足さなければ気がすまなかったのでしょう。わたしが糖尿病だと報じていますが、これは完全なウソです」と書き込んでいる。退院の予定などは明らかにされていない。
(エリザベス・テイラー、無事に心臓手術を終えたことをファンに報告)

僧帽弁閉鎖不全症とは


そもそも僧帽弁とは、左心房と左心室の間の左房室口に存在する弁で、血液の左心室から左心房への逆流を防止する機能があります。この僧帽弁がうまく閉じなくなるのが僧帽弁閉鎖不全症です。

僧帽弁閉鎖不全症とは、僧帽弁構造組織(弁尖、弁輪、腱索、乳頭筋など)の機能異常により、僧帽弁の閉鎖が障害され、収縮期に左室から左房に血液の逆流が生じる状態です。

病因としては非リウマチ性が多く、感染性心内膜炎、変性、虚血、外傷、先天性などがあります。心筋梗塞や拡張型心筋症では左室の形態学的変化により収縮期に僧帽弁が左室心尖部側に牽引されることにより逆流が発生します。

腱索断裂や乳頭筋断裂による急性僧帽弁閉鎖不全症では、左房と左室が急激に増加した容量負荷を代償しきれず、左房圧が急激に上昇し肺うっ血を生じます。

一方、慢性僧帽弁閉鎖不全症では左房と左室は容量負荷を代償するため、左心機能が低下するまでは症状が出にくいです(慢性の僧帽弁閉鎖不全症は、狭窄症に比べて臨床症状が明らかでない場合が多い)。進行すると、肺うっ血と低心拍出に伴う労作時息切れや易疲労感が出現します。

僧帽弁閉鎖不全症の診断とは


上記のように、症状としては肺うっ血と低心拍出に伴う労作時息切れや易疲労感が出現することもあります。聴診上は心尖部の全収縮期雑音、?音分裂、?音、相対的僧帽弁狭窄による拡張期ランブル(Carey-Coombs雑音)が聴かれ、僧帽弁逸脱では収縮期クリックを聴取されます。

心電図では、左房負荷と左室肥大の所見、時に心房性期外収縮と心房細動がみられ、胸部X線写真では左第3、4弓の突出がみられることがあります。

心エコー断層法で左房・左室拡大の程度、左室駆出率、左室の代償性肥厚の程度を評価し、ドプラー法で逆流程度の評価、逆流発生部位を確認できます。僧帽弁閉鎖不全症の診断に最も有力なものはドプラ法です。

カラードプラにより直接逆流がみられます。長軸あるいは心尖部アプローチにより鮮明に描出される。逆流ジェットの左室内への深達度によって重症度が半定量的に評価されます。僧帽弁短軸断層像も逆流ジェットの局在を知るのに必要です。

また、経食道エコー法は、僧帽弁病変や腱索断裂などを詳細に観察でき原因精査に有用です。

僧帽弁閉鎖不全症の治療とは


僧帽弁閉鎖不全症の治療としては、以下のようなものがあります。
内科的治療は、慢性の高度逆流があり症候性であれば利尿薬や血管拡張薬を用います。血管拡張薬は逆流量減少・心拍出量維持・肺うっ血の軽減に有効です。

心房細動を合併していれば僧帽弁狭窄の場合と同様にジギタリス製剤、カルシウム拮抗薬、β遮断薬を用いて心拍数のコントロールを行いつつ、ワーファリンによる抗凝固療法を行います。また、抜歯や手術の際には必ず抗菌薬の前投与を行い、感染性心内膜炎の予防をはかります。

慢性の僧帽弁逆流では、症状が出現した場合あるいは無症候性でも左室機能不全の出現時(左室駆出率60%未満または左室収縮末期径45mm以上)には手術を施行すべきと考えられています。

術式として僧帽弁置換術と僧帽弁形成術があります。僧帽弁形成術は自己弁を温存する術式で、術後の抗凝固療法が不要であり、術後合併症も少ないです。限局する僧帽弁逸脱は僧帽弁形成術のよい適応ですが、後尖逸脱のみならず、前尖逸脱でも限局性であれば適応となります。リウマチ性などで高度の弁組織障害がある場合は僧帽弁置換術が選択されます。

上記のケースでは、カテーテルによる経皮的治療(クリッピング術)が行われています。弁の真ん中を、カテーテルにつけたクリップで閉じる方法がとられています。こうしたものは、ご高齢の方など、人工心肺を用いた開胸術による手術に耐えられない方にとって非常に有用であると考えられます。

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