米ツアーから参戦したS・ルイス(24)が練習後に神戸医療センターを慰問した。

11歳の時に背骨が左右にゆがむ脊柱側湾症と診断され、18歳の時に手術。歩くこともままならない状態から復帰し、プロデビューとなった昨年の全米女子オープンで3位に入った。

自身と同じ病気の子供たちに対してボランティア活動を続けており、日本でも「悩みや不安もあると思うけど、世の中は終わりじゃない。やりたいことをやれば他の子たちと何も変わることはない。心配しないで」と訴えた。
(自身もかつて…ルイス 病気の子供を激励)

脊柱側湾症とは


脊柱側弯症とは、脊椎が回旋を伴いながら側方に弯曲した状態を指します。大きく分けて機能性側湾と、構築性側湾があります。

痛みや脚長差、不良姿勢などの原因で側弯が生じているものは、原因が取り除かれれば側弯は消失するものを機能性側弯といい、側弯自体は治療の対象にはなりません。一方、曲がって元に戻らなくなったものを構築性側弯といい、これらがいわゆる側弯症です。

脊柱側弯症には特発性、先天性(脊椎の分節異常や形成異常)のほかに神経・筋原性疾患(脳性麻痺や二分脊椎、筋ジストロフィーなどに合併)、マルファン症、多発性神経線維腫症、骨系統疾患などさまざまな疾患で発症します。

最も頻度が高いのは特発性側弯症で、側弯全体の70%を占め、上記のように大部分は思春期の女子に発症します。その頻度は女子では男子の約7倍で、思春期女子の2%前後となっています。骨格が未成熟な例は進行しやすくなっています。

症状としては、変形に起因する外見上の問題と心理的ストレス、腰背部痛、神経症状などで放置して高度弯曲になると呼吸器に影響を生じます。

脊柱側湾症の診断


診断は肩の高さや肩甲骨の高さの左右差、ウエストラインの非対称、前屈させたときに肋骨や腰部の筋肉が片側性に盛り上がるハンプ(hump:肋骨隆起、腰部隆起)などで行います。確定診断には、脊柱立位X線が必要となります。

正面および側面の全脊柱X線像は、側弯や後弯などの脊柱変形を診断する際の基本的画像検査となります。上記の角度は、レントゲン写真などで測定を行う側弯の程度を示すCobb角(カーブを構成する椎体の最上位のものと最下位のものの成す角)だと思われます。

計測上10度以上あれば側弯症と診断しますが、経過観察が必要なのは20度以上、装具治療(主に進行防止目的)は30度前後、手術(矯正と進行防止目的)は40〜45度以上から考慮されます。弯曲が40度未満の場合は骨格が成熟すると進行は止まりますが、40度以上では進行することがあり注意が必要となります。

脊柱側湾症の治療


脊柱側湾症の治療としては、以下のようなものがあります。
特発性側弯症に対する治療方針は、側弯度(Cobb角)の程度により段階的に決められ、思春期側弯症ではおよそ45〜50°以上が手術療法の適応とされています。手術計画としては側弯の高位、カーブパターンにより手術アプローチに基づく手術方法、固定範囲が決められます。

手術法は手術アプローチにより前方法、後方法、前後法に分けられます。前方法ではカーブ内の椎間板を切除し、椎体凸側にスクリューを刺入するとともに,各スクリューをロッドで連結し、矯正固定を行います。一方、後方法は固定端両端および中間部でpedicle screwあるいは椎間関節、椎弓、横突起などに挿入したフックを用い、これらにロッドを連結して矯正を行います。

手術の時期については、中学・高校生のある程度成長が進んだ時期で、かつ側弯度があまり進行していない時期が理想であると考えられます。ですが、10歳未満の成長期前にすでに進行し、手術適応となる例もあります。ただ、このような例では後方固定後に身長が著しく伸びることにより、前方椎体のみが成長して、椎体の回旋が増強するという問題もあります。

【関連記事】
脊柱側湾症の少女−夢をかけて手術へ

脊柱側弯症と腰痛に悩む17歳女性