ついにセビージャのヘスス・ナバスがスペイン代表デビューへと動き出した。彼が抱えていた精神的な神経症、パニック障害。長期の遠征が多い代表では致命的とも言えるこの神経症にナバスは悩まされ続けていた。

2年前ルイス・アラゴネス監督は調子の良かったナバスをスペイン代表に招集しようとしたが、結局はA代表デビューには至っていなかった。「今なら代表に呼ばれても行くことができる。挑戦してみたい気持ちはあるが最終的に代表メンバーを決めるのは監督だからね」と語ったナバス。代表入りに意欲を示している。

ナバスがスペイン代表のユニフォームに袖を通したのはU-21の代表に招集された時。対フランス代表戦で1−1となる同点ゴールを決めている。それ以降、5試合に出場したものの、その後は精神的な問題として代表招集からは退いていた。同じくセビージャのカンテラ育ちで、現在はR・マドリーでプレーするセルヒオ・ラモスは、「もしナバスが招集されれば全面的にサポートするよ」とコメントしている。

右サイドを切り裂くドリブル突破で今シーズンも絶好調のナバス。ついに精神的な病を克服し、スペイン代表デビューとなるのか。デル・ボスケ監督が読み上げる次回のメンバーリストには注目だ。
(パニック障害克服でスペイン代表招集へ)

パニック障害とは

パニック障害とは、パニック発作が特別の原因なしに、突然出現する(予知できずに起こり、反復性)障害と言うことができると思われます。

一般人口における生涯有病率は、0.9%程度であるといわれ、患者さんの約7割は発作で救急外来を受診しているようです。男女ともに起きますが、女性の罹患率が2倍程度高いといわれます。好発年齢は、20〜40歳であるとのことです。

パニック障害とは


パニック発作は、動悸・頻脈、息苦しさ・過呼吸、死の恐怖が最も多く、そのほか悪心、めまい感、手足のしびれ、冷汗、気が狂う恐怖なども起こりえます。大きく分けて、突然の強い不安感(死ぬのではないか、気が狂ってしまうのではないかという恐怖)と自律神経症状(動悸、頻脈、呼吸困難、発汗、息切れ、胸腹部不快など)が起こる、と考えられます。

発作は反復性に生じ、慢性に経過していきます。症状の再発を恐れる「予期不安」を伴うことが多く、さらに発展して「広場恐怖」に至ることも多いです。

「予期不安」とは、不安がまた襲ってくるのではないかと予期しつつ怯える状態を指します。不安神経症や予期神経症に認められます。

典型例は、動悸、発汗、心悸亢進、胸内苦悶、窒息感、眩暈、嘔気など自律神経症状を伴う不安発作を経験した場合で、このまま気が狂うのではないか、あるいは死んでしまうのではないかという破局感、切迫感を感じます。

一端、そのような体験をすると、同様の発作が再来するのではないかと予期して不安におののく状態が起こってしまいます。これを予期不安と言います。

「広場恐怖」とは、助けが容易に得られない場所にいることへの恐怖を指します。特定の場所における恐怖(単一恐怖)や、特定の社会的状況における恐怖(社会恐怖)とは異なります。通常、パニック障害(急性不安発作)が起きた後に出現します。

1人で戸外や混雑の中にいたり、バスや電車で移動しているときに、広場恐怖が生じやすいです。このような状況を回避するため、1人では外出をせず友人や家族としたりする傾向があります。重度になると、家にこもりっきりとなってしまうこともあります。

パニック障害の治療


パニック障害の治療としては、以下のようなものがあります。
パニック障害の治療としては、まず疾患教育を十分に行い、発作そのものに生命の危険はないことを保証する(しっかりと納得してもらう)ことが重要です。

それでも不安状態がなかなか治まらない場合は抗不安薬(ジアゼパム)を静注することもあります。こうした発作が出現する時のために、抗不安薬(ワイパックスなど)を持参してもらうことも、安心につながるようです。

その他、薬物療法としては、様々な治療が有効性を認められています。薬物療法では、発作の抑制を目的に抗うつ薬(SSRIや三環系抗うつ薬・スルピリド)が用いられ、不安感の軽減を目的にベンゾジアゼピン系抗不安薬が用いられます。また、精神療法としては、認知行動療法などがあり、行われます。

SSRIであるパキシルや、不安の発作時に抗不安薬であるソラナックスを服薬することが多いようです。こうした薬物には明確な有効性があり、特に適切な患者教育と指導と併用した場合の有効性は極めて高いといわれています。

また最近は、新型抗うつ薬であるSSRIの有効性が語られることが多いです。基本的に、パニック発作が治療されれば、広場恐怖も時間とともに改善されることが多いようです。

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