阪神に新加入した城島健司捕手(34)が20日、兵庫県武庫ノ台GCで行われた「第3回川崎病チャリティーゴルフコンペ・オークション」(デイリースポーツ社、神戸新聞社など後援)に参加した。これまで慈善活動に力を入れてきた城島は、新天地でも病気などで苦しむ子供たちに夢と希望を与える『スーパーマン』としての活動、城島シートの設置などを誓った。

子供たちに希望を与えたい。自身も3児の父親だからこそ、無関心ではいられなかった。「僕も子供がいるんで、川崎病に苦しむ子供たちは身近なもの。周りにはこの病気を知らない人もいるので、少しでも興味を持ってもらえたら」。こう語る城島の表情は、グラウンド上では見せない優しさに満ちあふれていた。

川崎病は、4歳までの乳幼児期にかかる原因不明で治療法が確立されていない難病だ。年間1万人を超える患者数が確認され、そのうちの5%が心臓に障害を起こし、死に至るケースもある。

城島自身は、マリナーズの森本アシスタントトレーナーから難病と闘う子供たちのことを知り、3年前から支援してきた。毎年、イチローやデレク・ジーターら賛同するメジャーリーガーから集めたグッズでオークションを行い、ゴルフコンペと合わせた収益金を全額、川崎病支援研究所へと寄付している。
(城島 難病の子供に勇気与える!!)

川崎病とは


川崎病は、主に4歳以下の乳幼児に好発し、全身の血管炎を特徴とする原因不明の急性熱性疾患です。別名「小児急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群」(mucocutaneous lymphnode syndrome:MCLS)とも呼ばれます。その名の通り、主要症状は以下の6つです。
1)5日以上続く原因不明の発熱(ただし治療により5日未満で解熱した場合も含む)
2)両側眼球結膜の充血
3)四肢の末端が赤くなったり堅く腫れる(手足の硬性浮腫、膜様落屑)
4)皮膚の不定型発疹
5)口唇が赤く爛れる、いちご舌、口腔咽頭粘膜のびまん性発赤
6)無痛性の非化膿性頸部リンパ節腫脹

以上6つの主要症状のうち、5つ以上を満たすものを本症と診断します。
ただ、上記の診断基準に合致しなくとも、経過中に断層心エコーもしくは心血管造影法で冠動脈瘤が確認され、他の疾患が除外されれば本症とする場合もあります。

特異的に冠動脈をおかし、拡大性病変(冠動脈瘤)を形成することが多いです。ですが、心血管系以外にも胆嚢腫大、脳炎はじめ多くの全身の合併症も起こすこともあります。重症例では冠状動脈拡大性病変(冠状動脈瘤)の形成がみられ、急性心筋梗塞による突然死の原因となります。

初発症状は発熱であることが最も多く、同時あるいは3〜4日のうちに他の主要症状が出現してきます。6ヶ月未満の乳児では、頸部リンパ節腫脹や口唇の発赤、四肢末端の硬性浮腫などは軽度のことが多く、診断する際に迷うことがあります。

1987年以降、日本では年間5,000〜6,000人の発症がみられており、男女比は 1.3〜1.5:1で男児に多いです。年齢分布は4歳以下が80〜85%を占め、特に0歳後半から1歳が最も多いです。

冠状動脈瘤の形成は10〜15%にみられ、1%が巨大動脈瘤(内径 8 mm以上)を形成し、死亡例は 0.1%です。再発例は 2〜3%に、同胞例は 1〜2%にみられます。

川崎病の診断


「診断の手引き改訂第5版」(厚生労働省川崎病研究班作成改訂5版)に従って診断を行います。本症は、主として4 歳以下の乳幼児に好発する原因不明の疾患で、その症候は以下の主要症状と参考条項とに分けられます。
A 主要症状
 1)5日以上続く発熱(ただし、治療により5 日未満で解熱した場合も含む)
 2)両側眼球結膜の充血
 3)口唇、口腔所見:口唇の紅潮、いちご舌、口腔咽頭粘膜のびまん性発赤
 4)不定形発疹
 5)四肢末端の変化:(急性期)手足の硬性浮腫、掌蹠ないしは指趾先端の紅斑、(回復期)指先からの膜様落屑
 6)急性期における非化膿性頸部リンパ節腫脹
6つの主要症状のうち5つ以上の症状を伴うものを本症とする。

ただし、上記6主要症状のうち、4つの症状しか認められなくても、経過中に断層心エコー法もしくは、
心血管造影法で、冠動脈瘤(いわゆる拡大を含む)が確認され、他の疾患が除外されれば本症とする。

B 参考条項
以下の症候および所見は、本症の臨床上、留意すべきものである。
 1)心血管:聴診所見(心雑音、奔馬調律、微弱心音)、心電図の変化(PR・QT の延長、異常Q 波、低
電位差、ST-T の変化、不整脈)、胸部X 線所見(心陰影拡大)、断層心エコー図所見(心膜液貯留、
冠動脈瘤)、狭心症状、末梢動脈瘤(腋窩など)
 2)消化器:下痢、嘔吐、腹痛、胆嚢腫大、麻痺性イレウス、軽度の黄疸、血清トランスアミナーゼ値上昇
 3)血液:核左方移動を伴う白血球増多、血小板増多、赤沈値の促進、CRP 陽性、低アルブミン血症、α2グロブリンの増加、軽度の貧血
 4)尿:蛋白尿、沈査の白血球増多
 5)皮膚:BCG 接種部位の発赤・痂皮形成、小膿疱、爪の横溝
 6)呼吸器:咳嗽、鼻汁、肺野の異常陰影
 7)関節:疼痛、腫脹
 8)神経:髄液の単核球増多、けいれん、意識障害、顔面神経麻痺、四肢麻痺

<備考>
1)主要症状A の5は、回復期所見が重要視される。
2)急性期における非化膿性頸部リンパ節腫脹は他の主要症状に比べて発現頻度が低い(約65%)
3)本症の性比は、1.3〜1.5:1で男児に多く、年齢分布は4歳以下が80~85%を占め、致命率は0.1%前後である。
4)再発例は2〜3%に、同胞例は1〜2%にみられる。
5)主要症状を満たさなくても、他の疾患が否定され、本症が疑われる容疑例が約10%存在する。この中には冠動脈瘤(いわゆる拡大を含む)が確認される例がある。

全国調査では、診断を確実A、確実B、容疑例に分類しています。
主要症状6つのうち5つ以上を満たす「確実A」か、4つと冠動脈瘤が確認されれば「確実B」が確定診断された例です。それより症状が少ないが他疾患は否定的で川崎病が最も疑われる場合は「容疑例」とされます。いわゆる「不全型」に関する明確な定義はまだなく、確実Bと容疑例のいずれかまたは両方を意味していることが多いです。

川崎病の治療


川崎病の治療としては、以下のようなものがあります。
川崎病における血管炎の炎症反応を可能な限り早期に終了させ、冠動脈瘤発生を最小限にすることが治療の主目的となります。

まず、抗炎症療法として、炎症を抑える作用を期待して解熱するまでアスピリンを投与します。解熱後は炎症時に増加する血小板に対しての抗血小板作用を期待して、3〜5mg/kg/日内服を行います。軽症例ではこのアスピリン単独療法でも効果が期待できます。肝障害に注意して用いて、肝障害が出現したら、フロベン顆粒3〜5mg/kg内服などを行います。

免疫グロブリン投与も用いられ、第7病日以前の免疫グロブリン投与が効果的であるといわれています。一方、免疫グロブリンは血液製剤であり、投与前に保護者の承諾の署名を必要とする薬です。

投与基準としては、いわゆる原田のスコア(白血球数≧12,000/mm3、Hct<35%、血小板<35万/mm3、アルブミン<3.5g/dL、CRP≧3+ or 4.5mg/dL、男児、年齢<1歳のうち、4項目以上を満たすときに投与適応)が用いられています。

急性期に冠動脈瘤の発生がなかった場合は、急性期に冠動脈瘤のみられなかった例でも、急性期後2〜3ヶ月はまだ、血小板凝集能が亢進していることが多いので、抗血小板療法を続けることが勧められています。

冠動脈瘤,巨大冠動脈瘤が発生した場合、基本的に冠動脈瘤が退縮するまで、抗血小板療法、抗凝固療法を継続する必要があります。ワーファリンは、PT INRが1.2〜2.0になるように投与量を調節し、可能ならば凝固分子マーカーであるD-dimer、TATなどを測定して調節します。

パナルジン細粒内服は、副作用として汎血球減少症、薬剤性血栓性血小板減少症、出血傾向が起こることがあるので、投与開始初期は2週間ごとに血液検査が必要です。

ペルサンチン錠、またはカプセルまたは、アンギナール散の内服の場合は、副作用として、高度の冠動脈狭窄症では、狭心症が悪化することがあるので、注意する必要があります。

冠動脈内径 8 mm以上の場合、アスピリン、チクロピジンやワルファリンなどを組み合わせて用います。重症例では、冠動脈バイパス手術も考慮します。

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