病気療養中だった女優、佳那晃子(53)が19日、東京・渋谷のセルリアンタワー能楽堂の語り舞台「高野聖」(中村翫雀演出)で舞台に復帰する。泉鏡花の名作の朗読劇で、山に住む妖艶な美女など4役を務める。

「4年ほど前、ネフローゼ症候群にかかり、半年ほど入院しました。体重が15キロ減り、筋肉も落ちて階段を上るのも困難になった。女優業をあきらめ、普通に生きようと思ったこともありました」と佳那は振り返る。

昭和49年に映画デビューし、「犬神家の一族」「魔界転生」などでつやっぽい演技を見せてきた。テレビドラマにも多数出演した。病気療養中も旅番組などに顔を出すことはあったものの、「舞台に出る自信がなく、やっと正常値に戻り、完治しました」。まずは1日だけの舞台で、復帰の船出となる。
(佳那晃子が朗読劇で舞台復帰 「高野聖」で妖艶な山の女など4役)

ネフローゼ症候群とは


ネフローゼ症候群は、高度の蛋白尿(3.5g/日以上)と低蛋白血症(血清総蛋白6.0g/dL以下または血清アルブミン3.0g/dL以下)によって惹起される臨床症候群です。

簡単にいってしまえば、何らかの原因で腎臓の機能が異常をきたし、血液中の水分をコントロールするタンパク質が、尿として排泄され減少する疾患です。

症状としては、高度な蛋白尿、浮腫(眼瞼や下肢)、低蛋白血症、高脂血症(高コレステロール血症)などがあります。さらに重症化してくると、強度の全身倦怠感、皮膚の蒼白化や無気力、食欲不振、腹水・胸水などをみることもあります。

浮腫および高脂血症は、しばしば合併します。アルブミンなどの血中タンパクが排泄されるため、血中タンパクが減少し、血漿膠質浸透圧が低下する。このため、全身に浮腫を形成する傾向が現れてきます。

浮腫が高度になると、腔水症による呼吸困難や腸管浮腫による下痢を生ずることもあります。また血管内脱水と凝固能の亢進から血栓症を誘発することもあります。

高脂血症は、低アルブミン血症などによる肝のリポ蛋白の合成亢進と異化障害によって起こります。凝固能異常には、血小板凝集能亢進、凝固因子の増加、線溶系の低下などが関与しているといわれています。

原因としては、すべての一次性糸球体疾患および種々の二次性糸球体疾患が、ネフローゼ症候群の疾患になりえます。

一次性ネフローゼ症候群の80〜90%は、組織学的には微少変化型(MCNS:minimal change nephrotic syndrome)で、10〜20%はいわゆる腎炎性ネフローゼ症候群で、IgA腎症、膜性腎症、膜性増殖性糸球体腎炎、巣状糸球体硬化症などが挙げられます。

成人における一次性ネフローゼ症候群における原因疾患で、頻度の高い順としては、
・微小変化型ネフローゼ症候群(36.7%)
・膜性腎症(33.5%)
・びまん性増殖性糸球体腎炎(13.5%)
・巣状増殖性糸球体腎炎(8.9%)
・膜性増殖性糸球体腎炎(5.5%)
となっています。

二次性ネフローゼ症候群としては、糖尿病(細動脈の硝子化、糸球体に結節性病変)、アミロイドーシス(アミロイド物質がコンゴーレッド染色で染まる)、SLE(係蹄壁の肥厚:wire-loop lesion,血管腔の閉塞:hyaline thrombus、ヘマトキシリン体)、結節性多発性動脈炎(細血管壁のフィブリノイド壊死と細胞浸潤、糸球体の虚脱、半月体形成)などが原因となります。

ネフローゼ症候群の治療


ネフローゼ症候群の治療としては、以下のようなものがあります。
原則として、入院加療を要します。ネフローゼ症候群の予後および治療法は、原因疾患により異なることから、腎生検による原因疾患の同定が治療方針の決定に重要となります。確定診断が得られるまでは対症療法を行う。二次性糸球体疾患が原因の場合は、原因疾患の治療を優先します。

治療目標は、腎予後の改善が明らかである完全寛解か不完全寛解?型(尿蛋白は持続するが、血清蛋白が正常化し臨床症状が消失した状態)まで寛解導入することです。

副腎皮質ステロイド薬を中心に治療し、治療反応性により1)ステロイド反応性、2)ステロイド依存性、3)ステロイド抵抗性、に分類されます。ステロイド抵抗性の中には、種々の免疫抑制薬を併用しても寛解導入できない難治性ネフローゼ症候群が含まれます。

対症療法としては、入院後、安静、塩分制限(5-7g/日)および軽度の蛋白制限食(0.8g/kg標準体重)により、尿蛋白はある程度軽減することが多いです。

低蛋白血症が進行し全身性浮腫と腔水症が認められる症例や血管内脱水による急性腎不全のため進行性に腎機能が低下する症例に対しては、膠質浸透圧を上げる目的でアルブミン製剤を投与しながら、利尿薬を投与します。利尿薬は経口では腸管浮腫のため吸収が阻害されるので、静脈内投与を行います。大量の胸水・腹水を伴う高度浮腫があり、内科治療に抵抗性の場合はECUM(extracorporeal ultrafiltration method)などを行います。

一次性ネフローゼ症候群の主な原因疾患は、1)微小変化型ネフローゼ症候群、2)膜性腎症、3)巣状糸球体硬化症などがあります。いずれの原因疾患に対する治療においても、副腎皮質ステロイド薬が第1選択薬となります。

また、微小変化型ネフローゼ症候群が原因疾患の場合は、ステロイド・パルス療法後にシクロスポリンを処方することも可能です。ステロイド薬の副作用を避けたい場合には有効となります。

ステロイド抵抗例、難治性ネフローゼ症候群では、4週間以内に寛解導入が不可能であった場合、ステロイド・パルス療法を2〜3週間隔で3クール行います。この間、経口投与も併用します。

また、補助療法としては、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)やアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)などを用います。これらは、降圧作用のほかに、蛋白尿軽減作用や腎保護作用があります。膜性腎症に対しては、尿蛋白量を減少させる目的で使用します。

さらに、低アルブミン血症が持続し、ステロイド薬を多量投与している場合は、血栓症を予防する目的で抗凝固療法を実施します。

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