今週初めに右目の下に黒いアザをつけたメラニー・グリフィスの姿が目撃され、何が起きたのか? とさまざまな憶測がされたが、皮膚がんの治療によるものとスポークスマンが発表した。

USマガジン.comによると、52歳のメラニーは前がん状態の細胞を除去するために手術を受け、それがアザの原因だとスポークスマンは説明。ごく初期の段階だったため、大きな心配はないという。
(顔にアザのメラニー・グリフィス、皮膚がんの治療だったことを発表)

皮膚癌とは


皮膚悪性腫瘍は、悪性黒色腫(melanoma)と非黒色腫性とに大別されます。
悪性黒色腫(メラノーマ)とは、メラニン色素を作る細胞であるメラノサイトが癌化によって生じる悪性腫瘍です。多くは黒褐色の病変として皮膚に生じてきます。ホクロと似た形状であるため、放置や診断において見逃されるケースもあります。

発生様式としては、正常メラノサイトが直接癌化する場合と、既存の異型母斑(dysplastic nevus)、色素細胞性母斑が癌化する場合と、2つの過程を経て生ずる可能性があります。早期より血行性リンパ行性転移を起こし、極めて予後の悪い癌です。

国内で年間1,500人〜2,000人が発症し、転移すると90%が5年以内に死に至るといわれており、転移を生じやすく、きわめて悪性度の高い腫瘍であることが分かるかと思われます。発生頻度は人種差が大きく、人口10万に対して白人10〜20、日本人1〜2、黒人1以下と、かなりの開きがあります。

頻度としては、世界的に増加傾向が著しいがんの1つであるといわれています。その誘因の1つに、過度の紫外線照射が挙げられています。ちなみに、皮膚以外にも口腔・鼻腔粘膜、脈絡膜、脳軟膜からも発生します。

病型は、悪性黒子型、表在拡大型、結節型、末端黒子型の4型があり、粘膜型を区別することもあります。日本人では掌蹠、爪甲部の末端黒子型が40%を占めていますが、最近体幹や下腿に発症する表在拡大型が増加傾向にあります(白人では体幹や四肢に好発し、表在拡大型が大多数を占める)。

非悪性黒色腫の皮膚悪性腫瘍としては、以下のようなものがあります。
非悪性黒色腫の皮膚悪性腫瘍では、有棘細胞癌、基底細胞癌、Merkel細胞癌および表皮内癌であるBowen病、Paget病が重要となります。

有棘細胞癌は、高齢者の日光露出部(顔面・手背)に生じ角化性病変を呈する老人性角化腫、熱傷瘢痕部潰瘍、慢性放射性皮膚症病変部などに続発した腫瘤や潰瘍です。ニオイが特徴的であるといわれています。

基底細胞癌は、下眼瞼下、鼻部、上口唇の中央部潰瘍を黒い小結節が取り囲む腫瘤となっています。黒色(85%)が特徴的といわれています。

Merkel細胞癌は、高齢者の頬・上眼瞼に好発する隆起性腫瘤です。紅色が特徴であるといわれています。

Bowen病は、境界鮮明な紅斑角化あるいはびらんを呈します。ステロイド外用に反応しない湿疹病変はBowen病を考えます。腫瘤が生じたら癌化を考慮します。

Paget病は、乳房・外陰・肛囲などの紅斑、びらん局面となります。湿潤となっているのが特徴です。腫瘤発生は癌化を考慮します。

皮膚癌は切除が原則となります。ですが、高齢者が多いので第二次選択(凍結療法、放射線など)を余儀なくされる例が少なくありません。

皮膚癌はやはり整容的にも問題となるため、手術を躊躇される方もいらっしゃるかと思われます。ですが、命に関わる問題であるため、早期発見・早期治療が望まれます。

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