ロックバンド「T―BOLAN」の元ボーカル森友嵐士(44)が25日夜、東京・渋谷C・C・レモンホールで復活コンサートを行った。

ストレスにより声を失う「心因性発声障害」を患い、同バンドを99年に解散。約10年に及ぶリハビリの末に完治し、先月ソロ復帰した。ライブは95年3月、同バンドの全国ツアー最終公演以来で「やっと会えたな。復活までこんなに時間がかかるとは思わなかった」とファン2000人にあいさつ。同バンドの代表曲「マリア」など11曲を披露した。

復活を後押ししたプロボクサー亀田興毅(23)も見守り「(06年の)世界戦で君が代を無理やり歌ってもらって勇気をもらった。きょうは感動をもらった」と感激していた。
(「T―BOLAN」元ボーカルが10年ぶり復活)

心因性発声障害とは


声の諸要素としては、「声の音質」、「高さ」、「強さ」、「持続」があります。この声の諸要素の異常を総称して、音声障害といいます。

そもそも、声とは、声帯が振動して生じる音であり、声帯振動を駆動するのは肺から供給される呼気流です。声帯振動で生じた音(喉頭原音)は、咽頭、口腔、鼻腔など(声道)で共鳴を受けて口・鼻孔から放射されます。

周りの人が聞く声は、声道で共鳴を受けた結果であり喉頭原音とは異なるものです。話すときには、喉頭原音から共鳴によって母音を作るだけでなく、様々な子音が咽頭、舌、口蓋、歯などで形成されます。このような声をことばにする動作を「構音」と呼びます。

発声(声を出すこと)と構音(ことばを形成すること)の両者を区別して考える必要があり、声が出ていても、構音の障害(構音障害)や中枢性のことばの障害(失語症)のために「ことば」を出せないときも声が出ないと訴えることがあるので、患者の訴えが「声」の問題なのか「ことば」の問題なのかをまず最初に判定することが重要です。
 
音声障害の診断には、その音源である声帯の詳細な診断が不可欠となります。大きな病変は間接喉頭鏡で発見できますが、粘膜表面の細かい変化の検出は困難で、喉頭ファイバースコープ、喉頭硬性側視鏡、電子喉頭内視鏡検査を行います。

音声障害の中において、声そのものに異常がある病態が発生障害です。発声器官に、一般喉頭検査によって明視できるような器質的異常があって声の変化を生じているものを器質的音声障害と呼び、これによって原因が同定できないものを、機能的音声障害として分類します。

詳細な検査によっても発声器官に器質的な病変が認められないにもかかわらず、発声に異常があるものを機能的音声障害といいます。病因論的には、心因性のものと、声の乱用を含めて不適切な発声によるものの2つに大別されます。心因性による発生障害が、心因性発声障害です。

心因性発声障害の治療


心因性発声障害の治療としては、以下のようなものがあります。
まずは上記のような器質的な原因があることを鑑別診断で除外し、その上で心因性発声障害と考え、治療を行っていくことが重要です。

心因性発声障害であれば、心因的ストレスの原因を解明し、問題を解消するのが最もよい方法であると考えられます。しかしながら、その原因自体が不明なことも多いです。

そのため、心理的カウンセリングなども併用し根気よく治療していく必要があります。また、時にはマイナートランキライザー(ベンゾジアゼピン系薬などの緩和精神安定薬)も有効なことがあります。

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