外反母趾というと、なんとなく「ヒールの高い靴を履く女性がなりやすい」と誠に勝手ながら思っていました。ところが! 外反母趾になりやすいのは、なにも女性だけではないのだそう。

「ハイヒールを履くことがない男性でも、外反母趾になる可能性はあります」と話すのは、『超簡単足指トレーニングであきらめていた外反母趾が治った!』などの著書で知られる“外反母趾研究所”の古屋達司先生。

先生いわく、外反母趾を放置していると足にタコができやすいだけでなく、症例写真などでよくみられる、親指が極端に曲がった形になってしまう危険性もあるとか。う〜ん、それは非常に困る! というわけで、お話を聞きました!

「外反母趾は足指の筋肉が衰え、親指から小指にかけてみられるアーチが崩れることで起きる、足のひずみ。近年の靴の発達や生活習慣(姿勢など)による影響で足指の筋肉があまり使われず、外反母趾になってしまう人が増えつつあります」(古屋達司先生)

とはいえ、自分が外反母趾かどうかってちょっとわかりにくいかも……。古屋先生、外反母趾かどうかがわかるチェック法を教えてください。

<外反母趾チェック法>
■裸足になって立ち上がったときに、足指が床についているかどうかをチェック
「足が歪んでいると、足の裏は床についているのに足指が浮いて床につかない状態になります。足を床に置き、足指がちゃんと床につくかどうかをチェックしてみてください」

今すぐにチェック! あなたの足指は、ちゃんと床についてる……?

■足音をチェック
「外反母趾になりやすい人は、かかとから親指にかけて体重移動がうまくできず、足裏をペタペタさせて歩く、ペンギン歩きになっています。まず自分がペタペタと足音を立てていないかどうかをチェックしましょう」

わかりづらければ、家族や友人にチェックしてもらうのもOK!

■人差し指の付け根にタコができやすいかどうかをチェック
「親指から小指にかけてのアーチが崩れると、歩く際に人差し指の付け根あたりが靴とこすれやすくなり、タコができることがあります。普段から人差し指の付け根あたりにタコができやすいようであれば、外反母趾を疑ってください」

足裏にタコができちゃうと、靴とこすれて痛いんですよね。あれ? ってことは私も外反母趾の疑いが!? とか?

「足指の筋肉はランニングやウォーキングで鍛えられる筋肉とは違うものなので、スポーツをしているからといって外反母趾にならないとは限らない」と古屋先生。最後に、外反母趾ケア法を聞きました!

<ケア方法>
■かかとから足指の体重移動を意識して!
「人は1日約7000歩も歩いているといわれています。ですから、普段の歩き方を意識するだけで大きな効果が期待できるのです。かかとから足指への体重移動を意識するだけでも足指の筋肉を鍛えることができ、ペンギン歩き改善にもなりますよ」

■立つときは、1本の棒をイメージ
「外反母趾になりやすい人は、かかとにばかり体重をかけてしまうクセがあるため、体を少し後ろへ反っているような立ち姿になっていることがあります。立っているときは親指の裏を意識し、体の重心を前方へかけるようにしてください」

■足指の第3関節を動かす!
「足指の第3関節(指先から3番目の関節、指のつけねの奥の部分)を動かすことで、親指から小指にかけての筋肉を鍛えられます。足指でタオルやペンをつかんだりして、第3関節の曲げ伸ばしをこまめに行うようにしましょう」

外反母趾とは


外反母趾とは、母趾が外反(親指が外側に反る)し、第1中足骨が内反(親指の足の中央部の骨が内側に反る)する疾患です。女性に好発することから、発症にはハイヒールなどの靴の影響や関節弛緩性の関与が示唆されています。

原因としては、ハイヒールなど先細の靴、性(9対1で女性に多い)、遺伝的要素(母、祖母に外反母趾が多い)の3つが主立ったものです。

母趾が第2趾と比較して長いエジプト型の足趾や、扁平足でも生じやすく、関節リウマチや麻痺足などの疾患に伴って発症することもあります。また、外的成因としては窮屈な靴の着用も原因となります。

母趾周囲筋群のバランス異常を生じており、荷重により変形は増大します。発症は若年化しており、年齢とともに変形が徐々に増悪します。また、片側性の外反母趾や、老年期に起こる外反母趾の原因には、不顕性の単麻痺を起こす帯状疱疹やすべり症など腰椎の疾患があります。

外見から診断できますが、正確には足部の荷重位での背底像X線写真で診断します。第1中足骨と第1基節骨の長軸がなす角を外反母趾角(HV角)と言い、15°までを正常、25°までを軽度、40°までを中等度,それ以上を重度としています。第1中足骨と第2中足骨の長軸がなす角度を(M1M2角、IM角)と言い、10°までを正常としています。

疼痛の部位診断も重要でし。最も一般的な痛みは、母趾中足趾節(MTP)関節の痛みです。骨頭は内側に突出し、靴による圧迫で関節包が肥厚し有痛性腱膜瘤(バニオン)を生じます。また、母趾の回内により、MTP関節内側底部に胼胝(タコ)を生じることもあります。母趾に力が入りにくいために、足底の第2・3中足骨頭部に胼胝を伴う中足痛を生じることもあります。母趾以外の槌趾変形や内反小趾による疼痛も合併しやすいです。

外反母趾の治療


外反母趾の治療としては、以下のようなものがあります。
まずは保存的な治療を行います。それにあたっては、靴の指導をまず行います。履いたときに足趾が動かせるよう広いトーボックスをもち、足が靴の中で前に滑らないように足背部を押さえる構造がついた靴を選択するべきと考えられます。また、ヒールは3cm以下にします。

母趾MTP関節の拘縮を取り除き進行を予防するために、母趾を内反するようなストレッチングを行うことも重要です。母趾を広げる体操は、若年例では特に有効です。装具療法は疼痛には有効ですが、変形矯正に大きな効果は期待できません。足底挿板は、中足痛を伴った例に有効である。スポーツ選手などには、母趾を内反させるテーピングを指導します。

疼痛があり、保存治療が無効で変形矯正を希望すれば手術適応になります。現在の手術法の主流は第1中足骨骨切り術で、骨切り部位は遠位(Mitchell法、Chevron法など)、骨幹(Scarf法など)および近位(Mann法など)に分かれています。これらは、重症度に合わせて術式を選択します。

外反母趾角が30度までの症例では、侵襲の少ない遠位骨切り術で良好な成績が期待できます。母趾MTP関節が亜脱臼し、かつ母趾に内反ストレスをかけても整復されない重症例では、軟部組織解離術を追加したり、骨切り部位を近位や骨幹部に変えます。母趾MTP関節の関節症性変化が著しい場合は、関節固定術を選択することもあります。

合わない靴を履いていると、外反母趾になってしまいがちなようです。症状や、自分の足をご確認の上、もし外反母趾が疑われたら整形外科などを受診されてアドバイスを仰ぐことも望まれます。

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