ロッテや大リーグのヤンキース、阪神などで活躍した伊良部秀輝投手が2010年1月18日のブログで、「ボールを置くことにしました」と現役引退を表明した。

伊良部は、阪神でプレーした05年にも引退を表明。現役を退いていたが、09年4月、アメリカ独立リーグのチームに入団し、復帰を果たした。同年8月には四国・九州アイランドリーグの高知ファイティングドッグスに入団したが、9月に右手首腱鞘炎のため退団していた。

伊良部は、腱鞘炎と診断された後、セカンドオピニオン、サードオピニオンを求めアメリカの病院で診断を受けたが、手術か無期限のリハビリが必要と診断されたため、引退を決めたという。
(伊良部秀輝、現役引退を表明 「ボールを置くことにしました」)

腱鞘炎とは


腱鞘炎とは、腱鞘の炎症のことで、急性のものと慢性のものとがあります。

急性の腱鞘炎は、手指感染創からのブドウ球菌や連鎖球菌の連続感染による屈筋腱鞘炎が多く、指のびまん性腫脹や伸展時疼痛を主訴とします。腱鞘に沿う圧痛と指節間や中手指節間関節の軽度屈曲位拘縮を認め、治療としては抗生物質投与のほか、膿瘍に対しては切開排膿を行うこともあります。

慢性のものは、反復する機械的刺激により慢性炎症性反応として起こることが多く、腱鞘の肥厚、瘢痕化や腱と腱鞘の間の狭小化の結果、腱と腱鞘との間の滑動が障害されるものであります。

代表的なものとして、指屈筋腱に起こるばね指と、長母趾外転筋腱および短母指伸筋腱に起こるドゥ・ケルヴァン腱鞘炎(de Quervain synovitis)があります。

ばね指は腱鞘入り口部における腱の肥厚と腱鞘による絞扼によるもので、母指、中指、環指(くすり指)に多いです。

一般的なのは、慢性の腱鞘炎であると思われます。ラケット・クラブスポーツに多いです。握力の発揮によりA1靱帯性腱鞘部、手関節安定化にはたらく長・短橈側手根伸筋腱や尺側手根屈筋腱に多いです。

これらは第2・3中手骨基部や豆状骨の停止部での慢性炎症を呈することもあります。炎症部には必ず圧痛があり、A1部での腱鞘炎では滑膜性腱鞘の腫脹により靱帯性腱鞘で腱の通過障害を呈し、指の屈伸に際して痛みを伴うこともあります(弾発現象といいます)。

腱鞘炎の治療


腱鞘炎の治療としては、以下のようなものがあります。
治療としては薬物療法や理学療法に加え、ステロイドホルモンの局所注射などの保存療法を行います。

局麻剤を混ぜたステロイド注入により、効果をみることにより診断的治療となることもあります。局麻剤の効果が注入直後より出現すれば診断として腱鞘炎が疑われます。

保存療法に抵抗性のものには手術が行われ、腱鞘切開術がしばしば行われることもあります。

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