大病を克服した阿覧が、玉乃島を送り出して2敗をキープ。好調の要因を聞かれ「7番勝ってるんだから、全部いい」と笑みを浮かべた。

わずか1年で失意のどん底からはい上がってきた。08年12月に口腔(こうくう)がんを患っていることが発覚。すぐさま腰部の肉を口の中に移植する手術を受けた。「2週間、飯を食えなかった。体重が7キロ落ちた。でも医者に“治る"って言われたから頑張った」。腰の手術あとにまわしが触れると激痛が走ったが、不屈の闘志で休場することはなかった。

一時は137キロまで落ちた体重も、今では156キロに回復。2月には昨年結婚したマリーナ夫人(22)との間に、長男が誕生する。「名前はサルマッツに決めてるんだ。自分が相撲を頑張ってる姿を、子供に見せたいよ」。心身ともに充実する25歳のロシア人力士が、初場所の台風の目になる。
(口腔がん克服!阿覧が初場所台風の目だ)

口腔癌とは


口腔癌(悪性腫瘍)の発生頻度は全身悪性腫瘍のうち2〜4%程度であるといわれています。上皮性のものがほとんどで、扁平上皮癌が約80%を占めます。その他に、腺様嚢胞癌、粘表皮癌、悪性リンパ腫などさまざまな悪性腫瘍が生じます。

部位別発症は舌が最も多く、次いで、下顎歯肉、口底、上顎歯肉、上顎洞などの順となっています。

原因としては喫煙、食習慣、生活習慣、不良歯牙や不適切な義歯による慢性的な刺激と口腔内の不衛生が発症が関連していると考えられています。

口腔癌は皮膚癌同様に直視できる部位にて生検が容易に可能です。画像診断は単純X線写真、造影CT(頸部−胸部)、MRI、頸部エコー、および上部消化管の重複癌の検索にGIF(上部消化管内視鏡検査)を従来行っていましたが、現在では癌細胞の糖代謝の特徴を利用したPET-CTもルーティンに行われているようです。

また、舌癌は口内炎と誤診されやすく診断が遅れる場合があり注意が必要です。歯肉癌も歯周病と誤診されやすく抜歯をされている症例が多く、悪性新生物における抜歯のような外科的侵襲は腫瘍細胞が播種されるため禁忌であり注意が必要です。

口腔癌の治療


口腔癌の治療としては、以下のようなものがあります。
治療としては外科的療法、放射線療法、化学療法あるいはそれらを併用した療法が行われています。また部位的特殊性から口腔、顔面の形態、機能を保つために再建外科手術が行われ、集学的治療がなされます。

早期癌[T1およびT2の表在型(30mm程度まで)の舌癌など]では、手術単独を行いますが、生検せず切除する場合もあります。

また、いずれの場合も必ずルゴール液を用いて不染域を確認して安全域をとり切除し、術中ゲフリール(迅速診断)は行います。手術を拒否される症例には組織内照射を選択します。頬粘膜癌で表在性のものは外照射とモールド照射(小線源を口腔内シーネに装着)を組み合わせて行います。

進行癌[Stage III、IVの進行癌]に対しては、術前治療(化学療法、もしくは放射線化学療法)を行い手術する場合が多いです。

切除後の再建は舌、口底などの再建にはほとんどが血管柄付遊離皮弁であり、ボリュームがさほど必要でない場合は外側大腿皮弁を、切除範囲が大きくボリュームが必要な場合は腹直筋皮弁を多く用います。

下顎骨再建には、長さが必要な場合が多く、また術中の体位変換の必要がないことから腓骨皮弁を用いますが、下顎骨内側に死腔ができやすいため、その危険性が大きい場合は大胸筋皮も併用することもあります。

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