テレビの歌謡番組や歌謡ショーでの名司会ぶりで親しまれ、11日に76歳で亡くなった玉置宏さん。かつてニッポン放送で1978年から18年間、「玉置宏の笑顔でこんにちは」を担当し、日本中に歌謡曲と明るい話題を届けていた。当時、編成管理部でこの番組を支えていたのが“アンコーさん"こと元同局アナウンサーの齋藤安弘氏。玉置さんが生放送中に倒れるというラジオ界空前絶後のアクシデントにも立ち会っていた。

「玉置さんが倒れたと聞いて、そりゃもうびっくりです。有楽町にあった当時の社屋の6階にあった第2スタジオに駆けつけた」と齋藤氏。

88年4月12日のことだ。午前9時から始まった番組も残すところあと1時間となった午前11時過ぎ、生放送中だった玉置さんが突然、ふっと机に突っ伏したのだ。周囲は騒然。スタッフの通報で丸の内消防署有楽町出張所の救急車が駆けつけ、玉置さんは日比谷病院に運ばれた。齋藤氏も付き添った。

「今だかつて、生放送中にパーソナリティーが倒れるなんてなかったから、そりゃもう大変でした。家族が駆けつけ、僕は病室の外で対応に追われていました」

診断の結果は胃かいようによる脳貧血。当初は1週間程度の入院で済むはずだったが、胃を5分の1切除する大手術となった。「結局、1カ月近く番組をお休みしたんじゃないかな」と齋藤氏。この事件のこともあったのか、番組は翌年から30分、終了時間が早まった。

同じアナウンサーとして大先輩。「僕らは『玉さん、玉さん』と呼んでいたけれど、畏敬の対象であり、目標でもあった」と振り返る。というのも「あの名文句の『1週間のごぶさたでした』も含めて、玉置さんはすべて完全原稿を用意していたというんです」と明かす。ラジオのパーソナリティーや歌謡ショーの端正な司会ぶりは決してアドリブではなく、練りに練った上で生み出されていたのだ。多くのアナウンサーや司会者が、あの名文句を超えようと頭をひねったが、誰1人成功しなかった。

「タキシードがものすごく似合う方。背筋がピンとして、品格のある話しぶりは、もう二度と現れない。唯一の存在でしょうね」と齋藤氏は先輩の死を悼んだ。

ニッポン放送は15日午前8時半から3時間、緊急特別番組「垣花正あなたとハッピー ありがとう玉置宏さん」を放送する。秘蔵音源や親しい人のインタビューを放送し、リスナーからのメッセージを受け付ける。
(生放送中に突然バタリ!周囲は騒然 玉置宏さん追悼秘話)

胃潰瘍とは


胃潰瘍とは、胃粘膜の一部が粘膜筋板を越えて欠損する疾患です。急性胃潰瘍と慢性胃潰瘍があります。通常、慢性潰瘍を呼ぶことが多く、多発してみられる急性潰瘍は急性胃粘膜病変と呼び区別されます。

胃は食べた物を殺菌・消化するために、胃酸や消化酵素ペプシンを分泌していますが、自分の胃粘膜は消化しない仕組みになっています。ですが、この仕組みが崩れて胃液が自らの胃粘膜を消化してしまうと胃潰瘍になると考えられています。

胃粘膜の攻撃因子としては、胃酸、胆汁の逆流、防御因子としては、粘液、重炭酸分泌があります。ヘリコバクター・ピロリ感染やストレス、消炎鎮痛薬などは攻撃因子と防御因子のバランスを崩し、潰瘍の発生に関与すると考えられています。

特に、アスピリンなど非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)による潰瘍をNSAID胃潰瘍といいます。NSAIDによる障害の機序としては、プロスタグランジン産生低下による粘膜血流低下や粘液産生低下などの要因が考えられています。

胃・十二指腸潰瘍の自覚症状として最も多いのが心窩部痛(みぞおちの痛み)であり、上腹部不快感、悪心・嘔吐、吐血(大量出血では新鮮血、中等量以下では黒色血塊もしくはコーヒー残渣様)、下血(タール便)、背痛などが主なものです。

心窩部痛は高位潰瘍では食後増強し、幽門に近いほど空腹時増強します。十二指腸潰瘍では空腹時痛が多いです。高齢者では無症状であることも多いです。

他覚所見として上腹部の限局性の圧痛が多く、穿孔(消化管に穴が空く)をきたした場合は、筋性防御(お腹が硬くなる)などの腹膜刺激症状を呈することがあります。潰瘍からの出血が多い場合は、貧血症状を呈することがあり、大量出血の場合はショック症状を呈することもあります。玉置さんのケースでは、こうした状態に陥ってしまったのではないか、と考えられます。

胃潰瘍の治療


胃潰瘍の治療としては、以下のようなものがあります。
治療の原則は、原因の除去にあります。薬剤が原因の場合には薬剤を中止し、急性期が過ぎてからその後の対策を考えます。過剰な精神的・肉体的ストレスに対しては心身の安静をはかり、嗜好品やアルコールは禁止します。

アニサキスは内視鏡により虫体を摘出することにより症状が劇的に改善します。基本的には、急性期の胃粘膜病変は原因の除去により速やかに改善することが知られています。したがってその治療手順は、原因を見極め、その除去を最優先し、薬物療法は急性期の自覚症状からの早期解放と胃粘膜の速やかな修復を促すことを基本とすべきです。

食事の可否は症状によって適宜決定すべきですが、症状が強い場合や出血などのために食事摂取を中止する場合には補液(電解質・糖質を含めて)を行います。活動性の出血がある場合には、内視鏡的止血を実施します。

出血例や症状が強く、食事摂取を中止する場合には、酸分泌抑制薬(オメプラ−ル、ガスターなど)を原則として数日以内経静脈的に投与し、食事開始と同時に経口内服に変更します。

症状が強く、制吐薬・鎮痙薬の投与が必要な場合は、プリンペラン、ブスコパンなどを用いることがあります。

また、当初から経口投与が可能であれば、経口投与が優先されます。プロトンポンプ阻害薬とH2受容体拮抗薬の使用量は、潰瘍の有無によってその使用量を調節します。潰瘍を認めない場合には、H2受容体拮抗薬の半量投与で効果があります。粘膜防御薬の単剤投与は症状改善効果が不十分です。

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