SOPHIAのキーボーディスト都啓一が「ろ胞性悪性リンパ腫」に罹患していることを公表。バンドは現在15周年記念ツアーを敢行中だが、都はツアー終了後に抗がん剤治療に入り、SOPHIAはライブ活動を休止する。

バンド活動の休止はメンバー5人および所属事務所によって決定されたもので、活動再開の時期については都の治療の動向を見つつ検討するとのこと。都以外のメンバーはそれぞれ休止期間中に、SOPHIAとしての楽曲制作やソロ活動などを続けていくという。

都が参加するライブは4月10日に中野サンプラザで行われる全国ツアー追加公演が現時点でのラストとなる。7月にロサンゼルスで開催される「ANIME EXPO 2010」は都の意向も考慮し、メンバー4人のみでSOPHIAとして出演する。

都啓一からのコメント
今回、「ろ胞性悪性リンパ腫」という血液のガンになっている事が発覚し、全国ツアーを回りながら病気と戦う準備をしておりました。必ず治す事を家族共々心に決め、一日も早く音楽活動を復帰出来る様、頑張りたいと思います。関係者の皆様、ファンの皆様、御心配御迷惑をおかけ致しますが、今後とも変わらぬご支援宜しく御願い致します。
(SOPHIA都啓一が悪性リンパ腫発症でライブ活動休止へ)

悪性リンパ腫とは


悪性リンパ腫は、リンパ節や全身のリンパ組織(胸腺、脾臓、扁桃腺、リンパ管など)に存在する、リンパ球系細胞の悪性腫瘍です(腫瘍の起源や、腫瘍化の過程も単一ではありません)。

若年者にもみられますが、30歳以上では年齢とともに増加します。男女比は2:1で男性に多いです。日本の悪性リンパ腫の発生率は10万人当たり約5人であり、欧米の約12人に比べて低いです(この理由としては、節性リンパ腫であるHodgkin病と濾胞性リンパ腫の発生率が低いためです。節外性リンパ腫の占める割合が相対的に高くなっています)。

病理組織学的所見から、Hodgkin(ホジキン)病と非Hodgkinリンパ腫(NHL)とに大別されます。

ホジキン病は、リード-ステルンベルグ(Reed-Sternberg)細胞の出現する特徴のあるリンパ腫です(ただ、その起源はまだ分かってません)。背景の多彩な細胞を病理組織学的特徴とするリンパ系腫瘍で、悪性リンパ腫全体の5〜10%を占めます。

好発年齢は若年者と中・高年者の2相性です。WHO分類では、結節性リンパ球優勢型と古典型に大別され、後者はさらに結節硬化型、混合細胞型、リンパ球豊富型、リンパ球減少型に分類されます。結節硬化型の頻度が最も高いです。ホジキンリンパ腫は頸部に発生することが多く、連続性に進展し、しばしば縦隔に巨大腫瘍をきたします。

非ホジキンリンパ腫の大多数は、Bリンパ球あるいはTリンパ球の腫瘍であることが判明しています。そこで、非ホジキンリンパ腫は、形態学的特徴(病理学的分類)、細胞系質的特徴(B細胞性、T細胞性、NK細胞性)、染色体・遺伝子情報などをもとに分類されます。また、発症してからの病気の進行速度によっても分けることができます(年単位で進行する低悪性度、月単位で進行する中悪性度、週単位で進行する高悪性度など)。

一般的に低悪性度のものには、ろ胞性リンパ腫、MALTリンパ腫などが該当し、中悪性度のものにはびまん性大細胞性B細胞性リンパ腫や未分化大細胞リンパ腫など、高悪性度のものにはリンパ芽球性リンパ腫、バーキットリンパ腫などが該当します。

このように、「悪性リンパ腫」という病名は、さまざまなリンパ系組織の悪性腫瘍を大きくまとめて呼んでいます。それぞれ性質が異なるため、最適な治療を選択する上では、「悪性リンパ腫の中のどのようなタイプなのか」ということが非常に重要になってきます。

濾胞性リンパ腫とは


濾胞性リンパ腫(FL:follicular lymphoma)は、進行が緩徐で、生存期間中央値は7〜10年と比較的長いと言われています。

付加的染色体・遺伝子異常を獲得し、病理組織学的にびまん性大細胞型B細胞リンパ腫へと進展します。治癒しないと考えられるため、病勢が進行し症状が出現するまでは無治療経過観察(watchful waiting)されることが多かった時期がありました。

しかし、リツキシマブが導入され、R-C(H)OPで長期寛解が得られるようになっています。また、寛解維持療法としてのリツキシマブの有効性も示唆されています。

悪性リンパ腫の治療


治療としては、以下のようなものがあります。
治療は、上記のステージにより、治療方針が決定されます。標準的な治療法の選択肢としては、
1)放射線療法
3)化学療法(抗がん剤)
3)生物学的製剤:抗CD20抗体(成熟B細胞の性格を示す悪性リンパ腫に効果的)
4)経過観察
5)造血幹細胞移植:自家移植、同種移植
などがあります。標準療法としては、化学療法や放射線療法が中心です。

ホジキン病の化学療法は4剤併用のABVD(アドリアマイシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、ダカルバジン)療法が用いられます。

非ホジキンリンパ腫では、低悪性度B細胞リンパ腫の場合、限局期であればは30〜40グレイの局所放射線療法を選択します。胃のMALTリンパ腫であれば、Helicobacter pylori除菌療法が第1選択となります。ですが、染色体転座t(11;18)(q22;q22)をもつ例は除菌療法抵抗性であるため、生検時に確認する必要があります。眼付属器のMALTリンパ腫では、放射線療法を選択するか、無治療で経過観察し増悪傾向がみられたら治療します。

進行期の場合、CHOP(シクロホスファミド、アドリアマイシン、ビンクリスチン、プレドニゾロン)療法が標準となっています。

また、最近ではCD20陽性の成熟B細胞の性格を示す悪性リンパ腫には、生物学的製剤であるリツキサンが用いられることもあります(海外では再発・難治性の低悪性度群リンパ腫に効果が認められている)。

リツキサンは、1本の薬価が最高で約25万円(保険適用前)と非常に高価な薬剤でありますが、進行期濾胞性リンパ腫では、CHOP療法とRituximab(リツキサンのことで、マウス-ヒトキメラ型抗CD20モノクローナル抗体)の併用療法などが行われています。

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