マラソンとヨットで地球を一周する「アースマラソン」に挑戦中のタレント、間寛平(60)が同マラソンを一時中断し、前立腺がんの放射線治療を受けることが15日、分かった。現在、寛平は中央アジアのトルクメニスタンに滞在中。米国サンフランシスコ市内で今月20日から約2カ月間、入院するという。病気の悪化ではなく、「アースマラソンを完走するために決めました」と本人はコメント。がんとの闘いを終えた後、6月下旬に再スタートを切る。

寛平はトルコ滞在中の今年1月13日、前立腺がんと診断されたことを公表。その後、がん細胞の働きを抑えるホルモン療法を受けながら走り続けてきた。2008年12月17日に大阪をスタートして484日目となる今月14日に、イランからトルクメニスタンに入国。ここで、完走のために一時中断の決断をした。

寛平は発表したコメントで「急に悪くなった訳ではありませんから、心配しないでください。アースマラソンを完走するために決めました。そして僕自身のためにも決めました。早く走る姿をみんなに見てもらえるように頑張ります」などと説明している。

所属事務所によると、今回の放射線治療はがん根治へ次の段階に進もうとするものだ。がん発覚後には、光代夫人やスタッフが専門の医師らに相談。その結果、最先端技術と臨床例に富む「カリフォルニア大学サンフランシスコ校がんセンター」が入院先に決まった。治療は前立腺がんの権威として有名な日本人医師・篠原克人氏が担当するという。

寛平は2カ月間の治療後、トルクメニスタンに戻り、6月下旬をめどに再出発する予定。治療中もスタッフや光代夫人が近況を公式ホームページのブログで伝えるほか、寛平本人も「ぼくもツイッターをやってますので、つぶやきます」としている。
(寛平 アースマラソン中断…米でがん治療へ)

前立腺癌とは


前立腺とは、男性のみに存在し、膀胱の前下部で直腸膨大部の前面に位置する栗の実様の器官です。尿道の起始部(前立腺部)を取り囲んで存在しています。

前立腺癌は、主に前立腺外腺(peripheral zone)より発生する腺癌です。臨床癌は50歳以上の男性に多く(典型的な高齢者癌)、高齢になるほど発生率が高いです。

発見率、罹患率ともに増加しており、特に腫瘍マーカーである前立腺特異抗原Prostate Specific Antigen(PSA)を用いたスクリーニングでPSA高値のみで発見される早期癌の割合が増えています。

日系アメリカ人の年齢調整罹患率は、日本在住の日本人のそれの約5倍高いといわれています。このことは生活環境が前立腺癌の顕性化に大きな影響を与えていることを推測させます。罹患率は、1975年以降増加していますが、その理由の1つとして前立腺特異抗原(PSA)による診断方法の普及によると指摘もされています。

前立腺は男性ホルモンの標的臓器であり、その構造および機能の維持は男性ホルモン依存性です。このように強い男性ホルモン依存性臓器である前立腺から発生する前立腺癌の90%以上は男性ホルモン依存性を有しているといわれています。

前立腺癌の治療


治療としては、以下のようなものがあります。
前立腺癌の治療法には、手術療法、放射線治療、内分泌療法、さらには特別な治療を実施せず、当面経過観察する待機療法があります。限局した腫瘍には根治的前立腺全摘術や放射線療法が、進行した場合には抗男性ホルモン療法が一般的に行われます。

手術療法は、適応は限局性癌、すなわちstage A、Bです。最近、局所浸潤度に対しネオアジュバントとしての内分泌療法を行い、縮小をはかった後、手術する方法もとられています。手術方法は所属リンパ節も含め、前立腺、精嚢を一塊として摘出します。

手術の方法には下腹部を切開して前立腺を摘出する場合(恥骨後式前立腺全摘除術)と腹腔鏡とよばれる内視鏡下に切除する方法、あるいは肛門の上を切開して前立腺を摘出する方法(会陰式前立腺全摘除術)があります。

合併症として、尿失禁と性機能障害があります。尿失禁に関しては、1 % 程度の手術で起こっているようです。ただし、この手術では性機能障害は精管が切断されるため術後、射精することができません。ですが、勃起神経を残す神経保存術も行われています。

局所進行癌、すなわち癌が前立腺被膜を超えて浸潤しているが、遠隔転移のない場合では、内分泌療法を補助療法とした根治的前立腺摘除術、または放射線療法が行われますが、内分泌療法による単独治療も行われます。

放射線療法には外照射と内照射があり、内照射はさらに 192 Ir による一時的刺入法と 125 I による密封小線源永久挿入療法に分かれています。治療前PSAが高い症例や分化度の低い症例に対しては内分泌療法を併用することにより予後の改善が期待できます。

合併症として急性期には膀胱、直腸障害、晩期には直腸出血などがあります。性機能障害も長期的には発生します。また、骨転移の疼痛コントロール目的に施行されることもあります。

転移癌や再燃癌では、内分泌(ホルモン)療法も行われ、LH-RHアゴニスト(ゾラデックス、リュープリン)が用いられます。これは、薬物的去勢とよばれ内分泌療法の中核的治療法となっています。副作用として、ほてり、発汗、顔面紅潮、筋力低下、性機能障害など急激な男性ホルモン低下による男性更年期障害があります。

また、抗アンドロゲン薬が用いられ、ステロイド性と非ステロイド性があり、非ステロイド性(カソデックス、オダイン)は血中テストステロン値がほとんど低下しないため、性機能の維持に有利といわれています。

当初、寛平さんはこうしたホルモン療法による治療を続けていらっしゃったようです。今回、根治を目指した放射線療法を行うようです。是非ともしっかりと治療をなさった後に、再び元気なお姿を拝見させていただければ、と思われます。

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