昨秋、難病の膠原(こうげん)病であることを公表した人気漫画家のさかもと未明さん(44)が、ジャズ歌手として、病気と闘う人のためのチャリティー活動を行うことになり15日、横浜・都筑区のセンター南クリニックでライブを行った。

病院には同じ膠原病やがんと闘う患者ら約40人が訪れた。さかもとさんは、昨年出したデビュー曲「人生(いのち)」やジャズのスタンダード曲を歌い、優しい歌声に患者も聴き入った。世界的なジャズピアニストのクリヤ・マコトも応援に駆け付け、情熱的な演奏を披露した。

さかもとさんは07年に全身の結合組織に異常が生じる膠原病と診断された。炎症が起こる「全身性エリテマトーデス」や皮膚が硬化する「強皮症」に苦しみ「跳び上がるくらい痛くて、着替えるのに4時間かかったときも」。

死に至る場合もある深刻な病だが「不安でたまらないときに自分を救ってくれたのが音楽。楽譜も読めなかったけど祈る気持ちで歌を始めました」。今後もチャリティーライブを開催予定で「私が必死に生きている姿を見て病気と闘う人に元気になってほしい」と語った。
(さかもと未明さんが病院ライブ)

全身性硬化症(強皮症)とは


全身性硬化症(SSc)は、免疫異常を背景に、全身の結合組織の炎症と増生を基盤として、皮膚の硬化と小血管の障害を主徴とする慢性疾患です。日本の有病率は人口10万人に対して約6人で、欧米に比べ少ないといわれています。男女比は 1:5〜10 で圧倒的に女性に多いです。好発年齢は40〜50歳代にピークがああります。

大きくわけて、全身型(diffuse type)と肢端型(limited type)があります。全身型は、硬化が四肢末梢から体幹を含め、ほぼ全身に及びます。内臓病変を伴いやすいです。

肢端型(limited type)では、硬化が四肢と顔面までに限局するタイプで、内臓病変はあったとしても軽いです。

また、特殊な病型としてCREST症候群があります。これは皮下石灰沈着、Raynaud現象、食道拡張、手指硬化および毛細血管拡張などからなるもので、肢端型の一亜型と考えられています。

原因は不明であり、免疫異常、線維化、小血管障害が起こります。免疫異常としては、各種自己抗体がみられ、皮膚硬化初期には病変部位にT細胞の浸潤がみられます。またサイトカイン、特に、形質転換増殖因子(TGF-β)が線維化に関与していると考えられています。

線維化としてが、結合組織のコラーゲンの増殖、蓄積が線維化をもたらします。特に皮膚の硬化として著明に現れ、そのほかには、肺、消化器、心筋などにもしばしば起こります。

小血管障害としては、小血管の内膜の肥厚が特徴的で、これが末梢循環障害やRaynaud(レイノー)症状、腎障害、肺高血圧などをもたらします。

半数以上が手指のRaynaud現象(寒冷刺激や精神的ストレスにより、四肢末梢の動脈がけいれんを起こし、皮膚の蒼白、チアノーゼをきたし、次いで反応性充血による発赤が生じる現象)で初発します。初発としてはそのほか、手の腫脹や関節痛が多いです。

全身性硬化症(強皮症)の治療


全身性硬化症(強皮症)の治療としては、以下のようなものがあります。
限局性皮膚硬化型では、皮膚硬化は限局し軽度であるので、レイノー症状や皮膚潰瘍などに対して血管拡張薬や血小板凝集抑制薬を使用します。重症のレイノー現象、末梢循環不全による皮膚潰瘍に対しては、PGE1や抗トロンビン薬を投与します。

広範性皮膚硬化型では、ステロイド薬や抗リウマチ薬 D-ペニシラミンなどを用います。

関節炎では、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などを用います。
食道病変(逆流性食道炎)では、プロトンポンプインヒビターと食道蠕動亢進薬が中心となります。小腸病変では、蠕動低下による腹部膨満感、便秘、下痢、吸収不良症候群などを認めます。こうした症状に対しては、胃腸機能調整薬などを用います。

間質性肺炎では、有効性が証明された薬剤はなく、ステロイド剤と免疫抑制薬の併用となります。

肺高血圧症では、肺線維症あるいは血管炎病変に伴う肺高血圧症の合併において、ステロイド剤の効果は期待できず、原発性肺高血圧症の治療に準じ、プロスタグランジン製剤(PG製剤) などを用います。

急速進行性の腎クリーゼでは、高レニン血症による高血圧症を伴います。血圧のコントロールが腎不全への進行を防ぎます。治療薬剤の基本はアンジオテンシン変換酵素阻害薬となります。MPO-ANCA陽性の腎クリーゼでは強力な免疫抑制療法(ステロイド剤+免疫抑制薬)などを用います。

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