プリンのかぶりものにサングラス、スーツ姿で人気の男性デュオ・東京プリンの牧野隆志さん(46)が24日、自身のブログを更新し「今年の6月28日、肺がんと診断されました」と肺がんを患っていることを明らかにした。

ブログによれば、6月中旬に胃に痛みを感じ病院で診察を受けたところ「心臓と肺に水が溜まっており心臓の方はすぐに抜かないと心不全をおこす」と診断され緊急手術を受けた。

その後も両方の肺から水を抜き出す手術を受けたが、原因究明のために行った調査で、がん細胞が見つかり、レントゲンやCTスキャンの結果、肺に悪性腫瘍が発見された。

牧野さんは「当初はがん宣告をされてもにわかには信じられなかったのですが<中略>診断は間違いないという結論になり、僕自身、しっかりとこの病気と向き合う決意を固めた次第です」とし、「そのため、報告するのが今になってしまいました」と心境を綴っている。

来週から化学療法の治療に入る予定で「いろんな人から相当、辛い治療になると脅かされています。でも耐える自信はあります。僕自身、覚悟を決めたということもありますがそれよりも、もっと勇気をもらっているのは『光』です」とし、「僕にとって『光』とは『家族、友人』と『仕事』です。この治療の先には家族や友人が待っている、乗り越えると、用意して頂いている仕事があると思うと心穏やかに治療に専念でき、いい結果が必ず出ると信じています」と決意を綴った。
(東京プリン牧野がブログで肺がん公表「覚悟決めた」)


肺癌とは


肺癌とは、気管支および肺実質から発生した上皮性悪性腫瘍で、一般にその生物学的特徴から、小細胞癌と非小細胞癌に分けられます。非小細胞癌とは、主に腺癌、扁平上皮癌、大細胞癌からなります。

肺癌は非小細胞癌(腺癌、扁平上皮癌、大細胞癌)が約85%、小細胞癌が15%を占めます。病因は喫煙による影響が最も強く、発症危険率は喫煙本数と比例するといわれています。喫煙指数(1日に吸う本数 × 年数)が800を超えると肺癌の危険が高くなるといわれています。

肺癌の場所による分類としては、区域気管支より中枢側に発生したものを中枢型、末梢側に発生したものを末梢型といいます。中枢型には扁平上皮癌と小細胞癌が目立ち、男性例が多く、喫煙との関連が高いです。一方、末梢型では腺癌が目立ち、女性が比較的多く、喫煙との関連は低いといわれています。

小細胞癌は、原発性肺癌の15%を占め、きわめて悪性度が高く、発見時にすでに遠隔臓器への転移や肺門縦隔リンパ節転移をみることが多いといわれています。

小細胞肺癌は、重喫煙者で男性に多いです。多くは肺門型(縦隔のある中心部付近に発生しやすいです。ちなみに肺門とは、左右の肺の内側面中央にある部分で、第5から第7胸椎の高さに相当する)で、区域枝から亜区域枝の上皮の基底膜近辺に発生し、気管支粘膜下を長軸方向に浸潤増殖するという特徴があります。

非小細胞肺癌の腺癌は、肺癌全体の約40%を占め、最も頻度の高い組織型です。女性肺癌の80%は腺癌であり、非喫煙者が多いです。ほとんどの症例で気管支肺胞系の末梢に発生し、孤立結節型の増殖を示し、画像上、結節影を形成します。

腫瘍細胞は、肺胞細胞を置換して隣接する肺胞、小葉へと進展します。腺癌の特殊型である細気管支肺胞型は円柱状の腫瘍細胞が肺胞壁に沿って増殖し、新たな腫瘍間質の形成がみられず、臨床的には多量の喀痰を伴い、しばしば肺炎や間質性肺炎と誤診されることもあります。

扁平上皮癌は、腺癌に次いで発生頻度の高い癌で約35%を占めます。多くは重喫煙者で男性に多いです。発症部位は肺門部の主気管支や葉気管支に多く、気管支上皮を癌組織で置換しながら進展し、気管支内腔の狭窄や閉塞をきたします。腫瘍の中心部は壊死を起こしやすく、空洞を形成することも多いです。

肺癌の診断


肺癌は多彩な症状を示します(早期では無症状のことが多く、進行期になると多彩な症状)が、肺門型(気管が肺に入る入口付近)の肺癌では咳・痰などの症状が出やすく、肺野型(肺門から離れたところにできた癌)では無症状・健診発見が多いと言われています。

咳、痰などの症状がある場合、まずは胸部レントゲン写真撮影を行います。次に、癌かどうか、あるいはどのタイプの肺癌かを調べるため、喀痰細胞診、穿刺吸引細胞診などによる細胞診、気管支鏡や経皮的肺生検(CTガイド下肺針生検)などを行って組織診を行います。

胸部CTでは、単純胸部X線で描出できない小結節、肺門、縦隔リンパ節転移、隣接臓器浸潤、胸膜播種、他臓器転移を明確に描出することができます。CT画像でみられる悪性病変の特徴は、胸部X線の場合と同様ですが、さらに鮮明な画像が得られます。肺野末梢型の孤立結節影の画像上の鑑別診断には、thin slice CTが有用です。

らせんCT(ヘリカルCT、スパイラルCT)は、CT寝台を移動しながら連続スキャンに画像を得る方法です。撮影時の設定により、肺野陰影の存在診断,陰影の質的診断などを目指した診断が可能となります。また、寝台を止めてスキャンした場合、CT断面の透視画像となり、生検などの場合に用いられます。

気管支ファイバースコピーは、咳、痰、血痰などの症状で肺癌が疑われる症状を有する場合、または胸部画像診断で肺癌が疑われる場合が対象となります。こうした場合、さらに生検が行われ、組織学的に検査が行われることもあります。また、経皮的肺生検(CTガイド下肺針生検)が病理学的な診断に用いられることもあります。ほかにも、ファイバースコピーあるいは透視下、CTガイド下針生検で診断のつかない場合、VATS生検や開胸生検を行い確定診断を得ることもあります。

血液検査や胸水検査で、腫瘍マーカーが測られることもあります。腫瘍マーカーとは、腫瘍細胞などが産生する物質で血液を中心とする体液、排泄物組織などに見い出され、腫瘍の存在、性状、進展度を示唆する蛋白質です。

肺癌では、CEA、NSE、Pro GRP、CYFRAなどが上昇する場合があります。通常、血漿または血清中の濃度を検討することが多いです。肺腺癌では、CEAなどが上昇してきます。

ですが、いずれも特異性、感受性に問題があり、特定診断に用いることはできません(肺癌だけでなく、大腸癌などでも上がってきます)。主として治療効果判定や再発の有無のチェックに用いることが多いです。

上記のケースでは、胸水貯留が認められ、さらには恐らくですが、肺癌が心臓へと浸潤し、心嚢液が貯留していたのではないか、と考えられます。

また、記事から推察するに、胸水の細胞診で癌細胞が検出されたのではないか、と考えられました。腺癌では胸水貯留をきたしやすく、このように、胸水による細胞診で診断が付くこともあります。

肺癌に対する化学療法


肺癌に対する化学療法としては、以下のようなものがあります。
肺癌の治療法としては、主に3種類のものがあります。外科療法、放射線療法、抗癌剤による化学療法です。治療法の選択は、癌組織型、進展度(staging)、performance status(一般全身状態)、肺肝腎などの主要臓器機能、合併症の有無、により左右されます。

非小細胞肺癌の場合、通常はI期からIIIA期の一部が手術の対象となります(N2 症例に対する手術単独の治療成績は不良であり、集学的治療の対象)。IIIB期症例に対しては、プラチナ製剤を含む化学療法と胸部放射線治療の併用療法が標準であり、IV期は化学療法などが用いられます(ただし、治療意義は生存期間の延長と癌に伴う症状の緩和)。

悪性胸水の貯留や心臓への浸潤が認められれば、stage IVと考えられます。非小細胞癌、特に肺腺癌であれば、まずはカルボプラチン(CBDCA)もしくはシスプラチン(CDDP)と、パクリタキセル(PTX)といった組み合わせや、カルボプラチン(CBDCA)もしくはシスプラチン(CDDP)とアリムタ(Alimta)などの組み合わせがfirst lineとなると考えられます。

最近では、カルボプラチン(CBDCA)もしくはシスプラチン(CDDP)とアリムタ(Alimta)などの組み合わせに、アバスチン(Avastin)などを加えて治療を行ったりもします。

さらに、上皮成長因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼ阻害薬である経口薬、ゲフィチニブ(イレッサ)が用いられるケースもあります。

【関連記事】
肺癌で手術治療を受けていた−スピッツ・三輪テツヤさん

肺癌に対する化学放射線療法の末、亡くなる−勝野七奈美さん

肺癌の化学療法を行っており、亡くなった−井上ひさしさん