【患者】51歳男性
【主訴】微熱、体調不良(倦怠感といった漠然とした愁訴)
【現病歴】微熱と倦怠感を訴え、独歩にて来院。血圧に異常はなく、血糖値を測定したところ、54 mg/dlと低下みられており、低血糖を補正することにした。10%ブドウ糖液 500 mlを点滴開始したところ、痙攣、意識消失あり。セルシン1A ivしたが、痙攣止まらず、もう1A追加したが痙攣停止せず。呼吸停止みられ、気管内挿管、人工呼吸器管理を要した。
【既往歴】特記すべきことなし。
【生活歴】本人の話では、医療機器メーカーに勤務。単身赴任で独居していた。
【入院時検査所見】頭部CT検査にて、特記すべき異常所見なし。血液検査にて、低Na血症みられており、補液 800ml/dayに減量している。

低Na血症、血漿浸透圧低下みられているため、肺癌、髄膜炎を疑って精査することにしています。来訪された奥さんが咳き込んでおり、本人の「親戚に3人結核患者がいる」という言葉や、頭痛などの症状から結核性髄膜炎を疑い、腰椎穿刺を施行。ところが、静脈を傷つけ、検査不能に。そこで、症状より確定診断はついていないですが、抗結核薬(イソニアジド、リファンピシン、エタンブトール)を開始しています。

さらに、以下のようなことが起こっていました。
翌日、体幹と下腿に赤い皮疹を認め、Cr 2.2と上昇、血尿を認め、薬剤性(とくにリファンピシン)による急性腎不全が生じました。そこで、輸液を2,000 ml/dayに増量し、wash outを試みています。また、「鳩が好きで飼っている」という本人の言葉を信じ、クリプトコッカスによる髄膜炎の存在も考えた。そこで、アンホテリシンBを追加するため、輸液を3,000 ml/dayに増量。

すると、急に胸痛と呼吸困難感が出現。急性心不全が考えられました。原因としては、輸液の増量が考えられましたが、3,000 ml/day程度の輸液で急に心不全が出てくるということに疑問を感じ、心筋生検を施行することを試みました。

ですが、その途中で後藤医師は「ビタミンB1欠乏症が今までの症状の発端」と結論に至ります。ビタミンB1欠乏症が根幹にあり、そこに糖補正を行ったところ、さらなるビタミンB1欠乏状態に至り、Wernicke(ウェルニッケ)脳症となり、痙攣をきたしました。さらにKorsakov(コルサコフ)症候群をきたし、「頭痛がする」「鳩を飼っている」「自分の主治医をヘッドハンティングする話がある」といった作話(作り話)をするに至った、と考えていました(コルサコフ症候群の患者さんは被暗示性が強く、過去の記憶と妄想の区別がつかなくなる)。

結果、ビタミンB1の投与を行い、治療をすることにしていました。

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