日本ハムなどで監督を務めた大沢啓二(おおさわ・けいじ、本名昭=あきら)氏が7日午前7時25分、胆のうがんのため東京都内の病院で死去した。78歳。神奈川県出身。立大から1956年に南海(現ソフトバンク)に入団。59年には故杉浦忠投手や野村克也捕手らとともに外野手として活躍。現役引退後はロッテ、日本ハムで監督を歴任。81年には、江夏豊投手らを擁してリーグ優勝を果たした。晩年はテレビ番組のコメンテーターとして人気を集めた。

亡くなる直前まで病床で硬式ボールを握り締めた。最後まで野球を愛した“親分”は夫人らにみとられ、78年の生涯に幕を閉じた。

大沢氏は9月19日にTBSの「サンデーモーニング」に出演したのを最後に体調不良を訴え、23日に都内の病院に入院。何度か、家族が集まる危険な状態に陥りながらも持ち直し、前夜も落ち着いた状態だったが、その後、容体が急変したという。一度はベッドから自力で下りて立ち、担当医を驚かせたこともあったたが、「すぐに、現場復帰する」という願いはかなわなかった。

マネジャーの久保文雄氏は、入院後も野球を常に気にかける大沢氏に耳元で試合結果を伝えていた。中日とソフトバンクの優勝をシーズン半ばから予言していた大沢氏は、両チームの優勝決定に「だろ?」と得意そうに話していたという。

野球界のご意見番として人気を集め、選手からも慕われた“親分”は、人知れず闘病を続けていた。昨年10月に胆のうがんが発覚。手術できない状態であることも告げられていた。それでも「倒れるまで頑張る。最後までオレは親分を通すぞ」と宣言し、家族ら近親者以外には病状を公表しなかった。
(大沢親分逝く、最期まで“らしく”…)

胆嚢癌とは


胆嚢癌とは、胆嚢および胆嚢管に原発する癌を指します。胆嚢癌は高率に胆石を合併します。その頻度は欧米では80〜90%、日本では50〜70%と報告されています。胆石合併例では、高齢者ほど癌の発生が高頻度にみられています。

胆嚢癌に合併する胆石の多くはコレステロール胆石であり、胆石と胆嚢癌の因果関係については機械的刺激、胆汁の変化による胆嚢の炎症性変化などの説があります。

また、胆石のほかに胆嚢癌の発生頻度が高い病態として、膵胆管合流異常があります。胆管拡張がない合流異常では高率に胆嚢癌が発生するといわれています。膵胆管合流異常症の場合は比較的若年に発生し、膵液逆流による慢性的な化学刺激により、固有上皮が発生母地になると考えられています。

胆嚢癌は、進行した状態で発見されることが多く、全身倦怠感、食欲不振、体重減少などの非特異的な症状がみられます。胆嚢癌では、上腹部痛、黄疸、腹部腫瘤を触知することがあります。胆石の症状で発症することもあります。

胆嚢癌、胆管癌ともに黄疸を認めることが多いです。胆嚢癌で腹部に腫瘤を触知することがあります。胆管癌では、胆嚢管起始部より下部の閉塞の場合、無痛性に胆嚢を触知することがあります。〔Courvoisier(クールボアジェ)徴候〕。

胆道癌の存在診断には、超音波検査、CT、MRI(MRCP)などの非侵襲的画像診断が用いられます。また、比較的早期の胆嚢癌では超音波内視鏡検査(EUS)による深達度診断が有用となっています。

胆嚢の層構造は、内側低エコー層では粘膜層(m)、固有筋層(mp)、漿膜下層浅層(ss-A;線維層)、外側高エコー層では漿膜下層深層(ss-B;脂肪層)、漿膜層(s)の2層構造となっています。

胆管癌では内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP:endoscopic retrograde cholangiography)や経皮経肝胆道造影(PTC:percutaneous transhepatic cholangiography)による直接胆道造影により進展範囲を正確に把握します。

特に、マルチスライスCT(MDCT)は胆嚢・胆管像のみならず血管像まで得られ、胆道癌の進展度診断に有用であるといわれています。

固有筋層(mp)、漿膜下層(SS)の確定診断は手術時または病理検索以外、ほぼ困難であるといわれています。

胆嚢癌の鑑別診断としては、腫瘤形成型では、胆嚢ポリープ、黄色肉芽腫性胆嚢炎、胆嚢腺腫、コレステロールポリープなどがあります。壁肥厚型では、慢性胆嚢炎、胆嚢腺筋症などがあり、胆嚢層構造変化をEUSで描出することにより鑑別可能となっています。

治療としては、以下のようなものがあります。
胆道癌では、外科的切除のみが根治的かつ有効な治療法となっています。胆嚢癌は、進展度により手術術式が異なり、また施設間でも治療方針の一致がみられていないような状態にあります。

早期胆嚢癌では、リンパ節転移や脈管侵襲がみられないので、単純胆嚢摘出術のみで根治し得ます。ですが、術前・術中の正確な深達度診断はしばしば困難となっています。

したがって、術前から胆嚢癌と診断された症例に対しては、一般に胆嚢摘出+胆嚢床切除+リンパ節郭清が行われます。さらに、肝十二指腸間膜浸潤、間膜内リンパ節転移、胆管浸潤に対して肝外胆管切除や膵頭十二指腸切除が、肝浸潤に対して広範肝切除(S4下+S5切除−拡大右葉切除)が付加されます。

肝転移、腹膜播種、遠隔転移、大動脈周囲リンパ節転移、肝十二指腸間膜高度浸潤、門脈・肝動脈高度浸潤を認める場合は、切除手術の適応となりません。上記のケースでも、肝転移が起こっていたようです。

切除不能例に対して放射線療法(体外照射,胆管腔内照射)や化学療法が行われていますが、長期生存は得られていないのが現状です。

閉塞性黄疸に対して胆道ステント留置を行う対処療法が行われても居ます。経皮経肝的(PTBDルート)または内視鏡的経乳頭的(ERCP)にプラスチックステントまたはメタリックステントを留置を行います。

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