「青い山脈」など戦後を代表する映画で知られる俳優の池部良(いけべ・りょう)さんが8日午後1時55分、敗血症のため、東京都内の病院で死去した。92歳だった。東京都出身。葬儀・告別式は近親者のみで済ませた。

昭和16年、立教大学文学部卒業後、東宝シナリオライター研究所研究生になった。しかし、すぐに俳優へ転向し、同年7月に「闘魚」で映画デビュー。現役入営し、中国、ニューギニアを転戦後、陸軍中尉として復員。軍隊生活のブランクを経て、24年「青い山脈」、25年「暁の脱走」で主役を務めてスターとしての地位を確立した。
(俳優の池部良さんが死去)

敗血症とは


敗血症とは、重症の全身症状を伴う菌血症(循環血流中から菌が検出できる状態)と考えられてきました。感染症の原因としては、一般細菌(グラム陽性菌・陰性菌)、真菌、寄生虫、ウイルスを含みます。

一般細菌による敗血症の場合、宿主の免疫状態の低下などの基礎疾患を背景として、重症感染症から敗血症へと移行します。このうちグラム陰性桿菌による感染症では、エンドトキシンによるショックを生じやすいです。

最近では「感染の徴候が存在する全身性炎症反応症候群」と定義され、従来の敗血症を含むより広い疾患概念としてとらえることが多いです。

全身性炎症反応症候群SIRSとは、頻呼吸、頻脈、体温上昇または低下、白血球増多または減少、のうち少なくとも2つの変化を呈している状態を指します。

全身性炎症反応症候群(SIRS)の定義は、
・体温 >38 ℃ または< 36 ℃
・心拍数 > 90/分
・呼吸数 > 20/分または
 動脈血炭酸ガス濃度 < 32mmHg.
・白血球数(WBC>12,000/mm3または <4,000/mm3あるいは桿状球> 10%

これらの内、2項目以上が該当する場合とされます。

さらに、臓器の循環障害が加わると重症敗血症(severe sepsis)、適切な体液量の改善を図っても循環動態の回復が得られない時に敗血症性ショックといいます。

進行すると敗血症性ショックに至り、播種性血管内凝固症候群disseminated intravascular coagulation(DIC)、成人呼吸促迫症候群adult respiratory distress syndrome(ARDS)、多臓器機能低下症候群multiple organ dysfunction syndrome(MODS)などを併発し予後不良となります。

臨床症状としては、悪寒、戦慄を伴う発熱、頻脈、頻呼吸、全身倦怠感、呼吸困難、意識障害、ショック、乏尿などがあります。特に上記のSIRSの所見が重要です。その他、敗血症の原因となっている感染症の症状(肺炎、髄膜炎、胆管炎など)がみられます。

悪寒、戦慄を伴う発熱など敗血症を疑われる場合、血液培養陽性にて診断が確定します。敗血症は必ずしも菌血症を伴うものではないですが、重症感染症では局所病巣から血流中へ微生物が侵入するために、原因となる微生物の検索は、原発病巣に由来する検体のみならず血液培養も行います。

原発病巣としては、呼吸器(肺炎)、尿路(腎盂腎炎)、消化器(胆嚢炎など)、皮膚・軟部組織感染症などがあり、カテーテル関連敗血症も重要となります。

合併症の有無は予後を大きく左右します。敗血症性ショック、DIC、ARDS、腎不全、心不全、肝不全などのMODSが重要であり、血圧をはじめとするバイタルサインを経時的にモニタリングし、合併症を早期に察知し迅速な対応をとることが大切です。

敗血症性ショックは、初期には心拍出量の増加と末梢血管抵抗の低下により血圧は低下しているが四肢は暖かいwarm shock(hyperdynamic shock)の状態をとるのが特徴ですが、ショックが遷延すると心拍出量が低下し末梢血管抵抗が増大して、四肢冷感、チアノーゼを伴うcold shock(hypodynamic shock)に移行します。

ショックは通常は敗血症の進行とともに出現してきますが、好中球減少時などでは敗血症性ショックで初発する例もみられます

補助診断として、流血中に病原体の菌体成分を特異的に検出する検査が用いられています。血液中のエンドトキシンの検出はグラム陰性桿菌感染を、真菌細胞壁の主要構成成分であるβ-D-グルカンの検出は真菌感染を、カンジダ抗原の検出はカンジダ感染を強く疑わせます。

治療としては、以下のようなものがあります。
治療としては、有効な抗菌薬の投与と輸液や昇圧薬の投与など合併症の治療です。また、壊死などによって血流が乏しく、抗菌薬の移行が不良な病巣に対してはドレナージや外科的切除も行うこともあります。

抗菌薬による敗血症の治療は原則的に、初期には広域で強力な治療(メロペン、ファーストシンなどの広域なスペクトラムをもつ抗菌薬や、緑膿菌に対する抗菌薬 トブラシンなどの併用)を迅速に行います。抗菌薬の投与量と投与回数は、薬物の体内動態を考慮し、十分な量を投与します。

原因微生物が判明した時点で、ターゲットを絞った抗菌薬を選択して投与していきます。初期治療の開始にあたっては、原発病巣によってカバーすべき微生物への注意が必要です。

【関連記事】
劇症型心筋炎で入院から無事退院へ−山本陽一さん

敗血症と診断され、入院治療中−ペ・ヨンジュンさん

急性膵炎で入院・治療していた−中川家・剛