鈴木宗男前衆院議員(62)が20日、衆議院第2議員会館内で行った講演会で、食道がんが検査で見つかったことを明らかにした。25日に都内の病院に入院して手術を受ける予定だ。

鈴木前議員は9月29日と30日に人間ドックの定期検査を受診。今月6日に腫瘍(しゅよう)が見つかったことを担当医に宣告され、手術を勧められた。

鈴木前議員は「内視鏡でできるのか、おなかを開く必要があるのか、もう一度、検査してから手術を受けることになると思う」と説明。弁護人の弘中惇一郎弁護士(65)が手術を受けることを検察当局に伝え、受刑期を術後とすることで了承を受けたという。

鈴木前議員は2002年に逮捕・起訴され、03年8月に保釈されたが、2か月後に胃がんであることが発覚。同年10月の衆院選出馬を断念し、胃の3分の2を切除する手術を受けた。05年衆院選で返り咲き当選を決めた後は、がん患者を勇気づける狙いで、07年の東京マラソン出場。完走して不死鳥ぶりを見せた。
(鈴木宗男氏が食道がん告白 25日入院、手術へ)

胃癌の手術後、お元気な姿を拝見しましたが、その後、食道癌を発症されたそうです。是非ともご自愛なさって、治療を受けていただければ、と思われます。

食道癌とは


食道癌とは、食道に発生した上皮性悪性腫瘍を指します。好発年齢は60歳代となっています。治療成績の向上が得られてきており、現在では手術死亡率は数%、手術治療成績も5年生存率が20%台から50%へと達するようになっています。

発症のリスクファクターとしては、喫煙や飲酒があり、特に両者の相乗作用との関係がいわれ、1日20本以上喫煙し3合以上飲酒する群が他の群と比べ、食道癌の発生に有意な差のあることが指摘されています。また、食道アカラシアや腐食性食道狭窄、Barrett食道などに癌発生頻度が高いと指摘されています。

色素内視鏡や超音波内視鏡検査の普及に伴い、早期食道癌の発見される機会が著しく増加したため、早期食道癌発見の機会があがっています。そうした症例では、内視鏡的粘膜切除術(endoscopic mucosal resection:EMR)が行われることも増えてきました。

症状としては、早期癌では食物がしみたり、食べ物の通過障害感、胸骨後部異常感などの軽度の食道症状が起こりえます。

進行癌となると、狭窄が高度になり、嚥下障害が強くなってきて、悪心・嘔吐がみられることもあります。嘔吐は、初期には食物のみですが、狭窄が進むと唾液や粘液までも吐出してきます。

このように表在癌の症例では、症状を認めないのがおよそ半数程度でありますが、一方、進行癌では愁訴がないのはわずか5%程度であり、狭窄感、嚥下障害を有する症例が半数を占めます。

食道には漿膜がないため、周囲臓器への浸潤が起こりやすく、胸痛や背痛がみられたり、気道との間の瘻孔形成により激しい咳が起こることもあります。また、反回神経麻痺による嗄声などがみられることもあります。

食道癌の早期発見や存在診断は、消化管造影検査および内視鏡検査が主に行われています。特に、早期発見には、内視鏡検査(粘膜癌の診断や1cm 以下の微小癌の発見に大きな役割を果たしている)が主に行われています。

食道癌の診断は内視鏡検査が先行され、次いで精密検査としてX線造影検査が選択される傾向があるようです。内視鏡検査は病変の指摘が短時間で容易にでき、X線造影検査は病巣部の正面像・側面像から病巣の深達度、内視鏡所見では描出しにくい粘膜下の病変の広がりなどが分かるからです。

その他、超音波検査、CT検査、MRI検査、超音波内視鏡検査なども行われます。これらにより、臨床の現場においては食道癌の周囲臓器浸潤、リンパ節転移診断、他臓器への転移診断などが主な役割となっています。また、近年では拡大内視鏡検査やFDG-PET検査の有用性も認められつつあり、食道癌の診断に用いられつつあります。

治療としては、以下のようなものがあります。
食道癌の治療法としては、内視鏡的粘膜切除術や手術療法、放射線療法、化学療法などが通常行われています。食道癌治療ガイドラインによれば、壁深達度およびリンパ節転移により、その治療方法が選択されています。

癌の深達度を示す粘膜下層までの表在癌の深達度亜分類は、

m1:基底膜を破るか否かのca in situ
m2:m1とm3の中間
m3:粘膜筋板に接するか浸潤する。
sm1:粘膜下層を3等分して上部1/3、EMRの切除標本からの判定では粘膜筋板の下端から200μ
sm2:中部1/3、粘膜下層の固有食道腺がほとんど含まれる。
sm3:下部1/3
に分類されています。

たとえば、粘膜癌(特にm1〜m2)に対しては内視鏡的粘膜切除術(EMR)が第1選択とります。粘膜下層癌(sm癌)では従来の頸部、胸部、腹部の3領域リンパ節郭清を基本術式とします。

m3およびsm1であっても、患者さんが外科治療を望まない症例や全身状態が根治手術に適さないと判断された症例の場合は、術前の画像診断上リンパ節転移がなければEMRの相対的適応となります。ただ、深達度がm3およびsm1癌では半数以上に脈管侵襲があり、リンパ節転移を認めていることも少なくありません。

癌腫が粘膜下層に深く入ったものでは50%以上の転移率であるといわれています。表在癌であっても、リンパ節転移がある程度疑われるものに対しては、進行癌に準じてリンパ節郭清を行うのが一般的です。

また、癌腫が固有筋層にとどまる病変(T2)あるいは食道外膜に浸潤している病変(T3)を有する症例は、遠隔転移および遠隔リンパ節転移を認めなければ、リンパ節郭清を伴った食道切除術を行うか、心・肺・肝・腎などの他臓器の機能障害を有していたり、手術を希望しない場合には化学放射線療法を行うことが通常です。

他臓器浸潤のある症例に対しては、転移した臓器が容易に合併切除可能な臓器の場合は、手術を行いますが、気管や気管支、大血管への浸潤が認められる場合には、まず化学・放射線療法を行ってから腫瘍を縮小し、手術を考慮します。

高度リンパ節転移、あるいは他臓器転移のような高度に進行すた場合は、非切除症例として化学放射線療法や化学療法が選択されます。

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