声優の平野綾が自身のTwitter公式アカウントで、中学生の頃から悩まされているという持病を告白。ときどき目が見えなくなるなどの問題を抱えているそうで、その症状を心配する声が多く寄せられている。

平野綾が11月2日にTwitterで明かしたのは脳下垂帯腺腫という病気。本人の説明によれば、中学生の頃に偏頭痛となり、「その時に頭に腫瘍が見つかったんだ!」とのことで、これが「たまに悪さをする」ため、いろいろな制約があるのだという。

毎年病院で検査を行ったり、薬は飲んでおり、悪性にはなっていないため「大丈夫なの」。ただ、「たまに腫瘍が目の神経に触れて目が見えなくなったり言葉で出づらくなったりするけど、大丈夫!慣れた!」と、日常生活に影響が出ることもあるものの、騙しだまし腫瘍を取り除かずに来ているそうだ。

腫瘍は中学生の頃に手術しようと考えたことはあったそうだが、「ミイラ作る時みたいに鼻の骨砕くって言われてやめたの。声変わっちゃうって言われたから。声優やりだしたばっかりだったのに声変わったら嫌だと思って」と、手術に踏み切らなかった理由を説明。

初めて症状が出た頃は「言葉がおかしくなっちゃったりとか記憶ぶっ飛んだりして大変だったけど、10年くらい経ったからね〜。そぉゆー意味で慣れた。対処法も分かるし」と、いまは上手く病気と付き合う方法を見出しているそうだ。
(平野綾がTwitterで持病告白「たまに目が見えなくなったりするけど慣れた」。)

下垂体腺腫とは


下垂体腺腫とは、下垂体前葉の内分泌腺細胞から発生する腫瘍で、ほとんどが組織学的に良性の腺腫(adenoma)です。腺腫自体は決して珍しいものではなく、成人の下垂体の5〜20%に腺腫が存在するといわれています。

大別すると、ホルモン非分泌性(非機能性)腺腫とホルモン分泌性(機能性)腺腫に分けられます。ですが、ホルモン非分泌性腺腫の多くにも、免疫染色その他の検索手段で潜在的な内分泌能の存在が知られています。

ホルモン非分泌性腺腫は、40〜60歳の年齢層に多いという特徴があり、主な症候としては、腺腫が大きくなって視力視野障害が起こることで気づかれることが多いようです。

視野障害は特徴的で、左右の眼の外側が障害(典型例では両耳側半盲)されます。これは両眼を開いていると気づかれにくいですが、検眼時や、自動車の運転や球技など動く物を視野にとらえようとする動作時に気づかれることが多いです。

ホルモン分泌性腺腫では、大きいものは非分泌性腺腫と同様の周囲への圧迫症状で発病することがありますが、それとは別に過剰に分泌されるホルモンに特有な臨床像を呈します。

ホルモン産生別にみると、プロラクチン(PRL)産生腺腫(32%)、成長ホルモン(GH)産生腺腫(20%)、非分泌性腺腫(18%)、ACTH産生腺腫(3.0%)の頻度となっています。

平野さんのケースでは、「意識消失発作」のような状態が認められるようで、恐らくACTH(副腎皮質刺激ホルモン)の分泌障害が起こり、血糖値を上げたり、炎症を抑えたりする副腎皮質ホルモンの一つ(コルチゾール)が分泌されにくいため、低血糖になり、意識消失を繰り返したのではないか、と思われます。

下垂体腺腫の治療


治療としては、以下のようなものがあります。
治療法には、手術、薬物および放射線療法があり、各腺腫で方針が異なります。ですが、原則として手術療法では経蝶形骨手術(TSS)が、放射線療法ではガンマナイフを主体とした定位的照射が用いられます。

特にホルモン産生腫瘍では、経蝶形骨手術(TSS)が用いられることが多いようです。治療目標の達成は微小腺腫で70〜80%、大型腺腫で約50%程度となっています。術後の腫瘍残存例や手術ができない症例では薬物療法が適応となります。

また、下垂体前葉機能低下症のホルモン補償療法は理論的には下垂体前葉ホルモン投与がよいですが、下垂体前葉ホルモンは入手しにくく、注射でしか投与できず、また抗体をつくり効果が減弱することから、小児における成長ホルモンの場合を除いて原則として標的内分泌腺のホルモンによる補償療法が中心となります。

副腎皮質機能低下症に対しては、コルチゾールを1日10〜30mg朝1回または朝夕2回に分けて投与します。発熱、激しい下痢、手術、外傷などのストレスが加わるときには、ストレスの程度に応じて増量を行ったりします。

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