4人組バンド・Plastic Treeのボーカル、有村竜太朗(年齢非公表)が、運動神経に障害を起こすギラン・バレー症候群を発症したことが25日、分かった。現在都内の病院に入院中で、28、29日に東京・JCBホールで予定していたライブは中止し、来年3月のライブでの復帰を目指す。

所属事務所によると、有村が体に異変を感じたのは今月21日。自宅でのレコーディング作業中に携帯電話を持てないほど体に力が入らず、39度の発熱もあり、近所の病院へ。風邪薬を処方してもらい帰宅したが、22日になっても脱力感がひどかったため、別の病院で検査入院。24日になって、ギラン・バレー症候群の発症が発覚したという。

ギラン・バレー症候群は、年間発症率が10万人に1人とされる難病。芸能界でも、昨年8月に62歳の若さで自宅で孤独死した女優の大原麗子さんや、俳優の安岡力也(63)が患ったことでも知られている。

有村の場合は初期段階で、現在は指先に力が入りにくいものの、日常生活に支障がないほどまで回復しているという。

年末ライブは中止にしたが、来年3月14日からの全国ツアーの予定は、いまのところ変更なし。有村も「悔しい気持ちでいっぱいだけど、1日でも早く回復してファンの前に出たい」と周囲に話しているという。
(有村竜太朗 ギラン・バレー症候群に)

ギラン・バレー症候群とは


ギラン・バレー症候群とは、急速に発症する四肢筋力低下と腱反射消失・減弱を主徴とする自己免疫性末梢神経疾患です。急性の先行感染(下痢症状や、上気道感染による感冒様症状など)から1〜3週間後に、急性に筋力低下と感覚障害を主徴として発症します。

筋力低下は、通常2週以内にピークに達して、徐々に回復していきます(ただし、全国調査によると,日常生活に支障をきたす後遺症を残した患者が21%を占めていたという報告もあります)。

原因は、先行感染が引き金となって生じた自己の末梢神経の構成成分に対する抗体による異常な免疫反応であると考えられています。約2/3で先行感染がみられ、EBウイルス、マイコプラズマとともにCampylobacter jejuni感染に伴う例が知られてきています。Campylobacter jejuni感染に伴う例では、血清の抗ガングリオシド抗体(抗GM1抗体)が上昇している場合が多いです。

こうした異常な自己免疫反応による節性脱髄を主病変とし、通常軸索は保たれます。崩壊した髄鞘はマクロファージによって清掃されますが、この段階で病変の進行が停止すれば髄鞘は再生し、機能的にはほぼ正常に回復します。

ただし、典型例以外に、非定型例として軸索変性を主とする軸索障害型や、深部感覚障害に基づく運動失調を主徴とする感覚障害、自律神経症候を主徴とする急性自律神経ニューロパチー、Fisher症候群などもGuillain-Barre症候群の特殊型とされます。

症状としては、症例の60〜70%に感冒様の前駆症状を認め、多くの例では前駆症状がいったん消失・軽快した後、1〜3週間を経て発症がみられます。症状の発現は急性であり、通常1日〜2週間進行し症状が完成します。

一般的には、手指・足先のジンジン感などの異常感覚(痺れ感)がみられ、同時に進行性の筋力低下がみられます。筋力低下の分布は症例によってさまざまですが、四肢筋、顔面筋、外眼筋、咽頭・喉頭筋、さらには呼吸筋をも障害することがあります(呼吸筋麻痺例では人工呼吸器の装着が必要)。

脳神経では顔面神経麻痺の頻度が最も高く両側性の麻痺が多いです。感覚障害は病初期にみられます。感覚障害は四肢遠位部優位の左右対称性の手袋・靴下型のしびれ感の頻度が高く、明らかな感覚低下の頻度は低いです。四肢末梢の異常感覚以外は軽度のことが多いですが、高度の感覚障害や感覚性運動失調を示す例、あるいは根性痛の高度例がみられこともあります。

自律神経障害は運動麻痺と並んで重要な症候です。自律神経徴候として,著明な血圧の変動、発汗低下、徐脈などが認められることがありますが、洞性頻脈が最も多く、時に不整脈、asystole(不全収縮)がみられる場合があり、重篤な場合は心電図モニターなどによる厳重な管理が必要となります。ほかにも手掌・足底の多汗、起立性低血圧、高血圧、腸管麻痺、排尿障害などがみられこともあります。

ギラン・バレー症候群の治療


ギラン・バレー症候群の治療としては、以下のようなものがあります。
急性に発症し、第4週までに極期に達し、進行停止2〜4週間以内に回復期に入ります。軽症例では自然治癒の傾向が高いですが、重症例では呼吸筋麻痺に対する人工呼吸器、不整脈・頻脈に対する心電図モニターと処置、嚥下障害、尿路・呼吸器感染症の対策など、厳重な全身管理が必要となります。

一般には、予後良好で6か月以内には症状の完全回復する例が多いですが、約5〜20%の例では軽度の運動麻痺や感覚障害を残してしまいます。特に、呼吸筋麻痺や重度の自律神経障害などを生じた例のなかには、死亡したり、重篤な後遺症を残す場合もあるので注意が必要です。

急速進行例、呼吸筋麻痺、球麻痺、自律神経障害(重度不整脈、血圧変動など)の合併例は、高度医療の可能な医療機関に移送し、心電図モニター、呼吸管理、経腸栄養などが施行できる集中管理室において治療することが望ましいとされています。

パルス療法も含め、ステロイド薬単独投与の有効性は否定されていますが、免疫グロブリン大量静注療法(intravenous immunoglobulin:IVIg)単独よりもメチルプレドニゾロン(mPSL)との併用で、自力歩行が可能となるまでの期間が短縮する傾向がみられるといわれています。こうした免疫グロブリン大量静注療法IVIgとメチルプレドニゾロンmPSLとの併用療法が、第1選択と考えられます(ただし、再投与の有用性については確認されていないと言われています)。

また、リハビリテーションでは高度な自律神経障害に注意し、静脈血栓症、肺塞栓症の予防目的以外に、廃用性筋萎縮、関節拘縮予防のため早期に開始する必要があります。

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