tacicaがニュー・シングル“命の更新”を3月16日にリリースし、その直後となる3月19日(土) にZepp Tokyoにて単独公演〈その日、一日。〉を開催することがあきらかとなった。

昨年4月に坂井俊彦(ドラムス)が前縦隔腫瘍という病気を患い入院したことを公表し、9月に退院を報告。その後、リハビリをして回復の具合をみながら制作活動を開始することをアナウンスしていた彼ら。

オフィシャルサイトには、「昨年は辛いこともありましたが、無事に乗り越え2011年、Newシングルのリリースと、復帰ライヴが決定しました事をお知らせします」というコメントとともに、それぞれの詳細が記載されている。
(tacica復活! ニュー・シングル発売と復帰ライヴの開催を発表)

前縦隔腫瘍とは


縦隔とは、「胸郭入口より横隔膜までの、骨性胸壁から体軸中心へ連続する左右の壁側(縦隔)胸膜の間の区画」を指します。要は、心・大血管、気道、食道、神経などが存在する領域を指します。

胸骨裏面から心膜・大血管前面までの前縦隔、大動静脈・気管周囲の中縦隔、心膜後面から胸椎までの後縦隔と分けられます。腫瘍と先天性嚢胞を縦隔腫瘍と一括されます。

胸腺腫が約40%前後と最も多く、先天性嚢胞と神経原性腫瘍がそれぞれ15%前後、奇形腫が約5%であり、胸腺癌、悪性リンパ腫や悪性胚細胞腫(セミノーマ、非セミノーマ)は数%となっています。

CTは腫瘍の位置、性状、隣接器官との関係を、MRIは腫瘍の線維、液体、脂肪などの成分と隣接器官との関係についての情報が得られます。

胸郭入口から甲状腺に連続する傍気管の腫瘤は胸郭内甲状腺腫、無症状で前縦隔の境界明瞭な内部が不均一な充実性腫瘤では胸腺腫、成熟奇形腫、セミノーマが疑われます。胸腺腫も時に石灰化を伴うが奇形腫は脂肪、石灰化が多いことが鑑別に役立ちます。

前胸部痛を伴う辺縁不整の前縦隔腫瘤では胸腺癌・カルチノイドを疑います。主に30歳前後の男性で胸痛、咳、呼吸困難などがある前縦隔腫瘤では非セミノーマ(胎児性癌、卵黄嚢癌、絨毛癌)を疑い、腫瘍マーカーであるβ-HCG、AFPやLDHを測定します。β-hCGが40%、AFPが70%ほどの例で高値を呈します。

胸部圧迫感、咳、呼吸困難、上大静脈症候群、発熱などの症状がある辺縁不整な中・前縦隔腫瘤では悪性リンパ腫を疑います。

脊柱近傍で楕円型充実性腫瘤では神経原性腫瘍(神経鞘腫、神経節腫など)を疑います。MRIは嚢胞を明瞭に示します。前縦隔の内部が均一な薄壁嚢胞では胸腺嚢胞、中縦隔ではリンパ管腫、心横隔膜角では心膜嚢胞が疑われ、中・後縦隔の内部が不均一な嚢胞では気管支嚢胞,食道嚢胞が挙げられます。

縦隔腫瘍のほぼ半数は無症状で健康診断による胸部X線写真で偶然発見されることが多いです。縦隔腫瘍の症状としては腫瘍の隣接臓器への圧迫や浸潤による症状と、腫瘍の浸潤・転移に起因しない腫瘍随伴症状がみられます。

主な症状としては気道への圧排や浸潤による咳、血痰、呼吸困難、食道への圧迫や浸潤による嚥下困難、胸壁や神経への浸潤による胸痛や神経痛、反回神経麻痺による嗄声、交感神経麻痺によるHorner(ホルネル)症候群、上大静脈症候群による顔面や頸部の浮腫などがみられます。

腫瘍随伴症状は特異な症状で、これら症状がみられた場合は縦隔腫瘍の存在を考慮しなければなりません。特に胸腺腫に伴う重症筋無力症は約20%と高く、赤芽球癆も約7%に合併します。

前縦隔腫瘍の治療


前縦隔腫瘍の治療としては、以下のようなものがあります。
良性の胚細胞腫である成熟奇形腫は、胸腺正中切開下に切除します。胸腺腫は胸腺組織の範囲内であるMasaoka Ⅰ、Ⅱ期では周囲の胸腺・脂肪組織を含めて切除します。

上大静脈や胸膜、心膜へ浸潤したⅢ期では浸潤された部位を含めて拡大切除と術後放射線照射します。

胸腔へ播種があるⅣa期では可及的切除に化学療法、放射線治療などを加えた集学的治療を行います。Ⅳb期や再発ではADOC療法(アドリアマイシン、シスプラチン、ビンクリスチン、シクロホスファミド)やプラチナ製剤+パクリタキセルなどの新規抗癌剤が有効な例があります。

胸腺癌やⅢ,Ⅳa期胸腺腫では、放射線治療や化学療法を先行させて手術を行うこともあります。セミノーマは生検とマーカーで診断し、BEP療法(シスプラチン、エトポシド、ブレオマイシン)に局所制御としての放射線治療、時に手術併用を行います。

セミノーマは生検とマーカーで診断し、BEP療法(シスプラチン、エトポシド、ブレオマイシン)に局所制御としての放射線治療,時に手術併用によって高い寛解率が得られるといわれています。

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