元プロレスラーでプロレス団体IGF代表、タレントとしても活躍しているアントニオ猪木(67)に7日、胆石が見つかり、東京都内の病院で内視鏡による緊急摘出手術を受けた。同日、IGFが発表した。猪木は前日6日午後、激しい腹痛と吐き気を訴えて救急搬送されていたものだが、7日の手術後は「元気があれば胆石も出来る!」などとアピール。燃える闘魂は健在ダァーッ!!

『アントニオ猪木倒れる』の第一報を伝えたのは7日午前、フジテレビのニュース番組「FNNスピーク」だった。

報道によると、猪木は前日6日午後4時ごろ、滞在先の港区内のホテルで激しい腹痛を訴え、嘔吐を繰り返すなどしたため、スタッフが救急車の出動を要請。都内の病院に搬送されたという。

7日午後になって、騒動の拡大を懸念した猪木が代表を務めるプロレス団体IGFが、文書により病状を公表した。それによると、6日に都内の病院に入院し、精密検査を受けた結果、胆石が見つかった。このため、7日に内視鏡で除去したという。状況から緊急の手術だったとみられる。
(猪木、緊急手術「元気があれば胆石も出来る!」)

胆石症とは


胆嚢や胆管などの胆道内に固形物(胆石)ができた状態を胆石症と呼びます(症状の有無にかかわらず)。存在部位からは、胆嚢結石、胆管結石、肝内結石に分類され、含有成分からは、コレステロール胆石、色素胆石、稀な胆石などに分類されます。

頻度としては、成人においては、約5〜7%であるといわれています。加齢とともに頻度が増し、70歳以上では20%を超えます。胆嚢結石は女性に多く、胆管結石は高齢男性に多い傾向があります。肝内結石は、比較的稀な疾患ですが、やや女性に多く、50〜60歳代にピークを認めるといわれます。過食あるいは過労後に発生することが多いといわれています。

症状としては、胆石が胆嚢頸部、胆嚢管、総胆管末端などに嵌り込むと、胆石疝痛発作を起こします。その発作は、疝痛(さしこむ痛み)で猛烈な痛さです。他にも、悪心(気持ちの悪さ)を伴い、右肩へ痛みが放散することがあります。

痛みは起こったりおさまったりと、間欠的であるのが特徴的です。感染を合併した場合は、発熱を伴います。胆管結石の場合は黄疸がほぼ必発であり、胆嚢結石の場合は比較的少ないと言われています。

胆石発作の3主徴は疝痛、発熱、黄疸ですが、典型的症状を呈するものは少ないといわれています。身体診察としては、心窩部から右季肋部にかけての圧痛や、黄疸の有無などが重要であると思われます。

血液検査では、白血球数(WBC)増加やALP、γ-GTP、総ビリルビンなどの肝・胆道系酵素の上昇などがみられます。画像検査としては、胆嚢結石では、エコー検査にて胆嚢内を移動する胆石を描出可能です。また、腹部CTや、MR胆管膵管造影(MRCP)も有用な検査となっています。総胆管結石については閉塞性黄疸がある場合、診断的治療目的に、内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)を行うこともあります。

胆石症の治療


胆石症の治療としては、以下のようなものがあります。
胆嚢結石症の場合、無症状であれば、胆嚢癌の存在を否定したうえで胆嚢炎や結石落下、有症状化の可能性を説明し原則経過観察としますが、胆嚢造影陰性、充満結石、胆嚢壁肥厚、胆嚢壁石灰化や胆嚢萎縮が著明な場合は、癌合併の可能性もあり無症状でも手術適応とします。

有症状の場合は胆嚢摘出術を原則とします。一部胆石溶解療法(ESWLや経口胆石溶解薬)の適応例も存在することから、患者が望めばその長所と短所を説明したうえで選択します。

急性胆嚢炎を合併した場合、黄疸を伴う重症例や全身状態不良で手術が行えない場合を除き、緊急または発症より3〜4日以内の早期の胆嚢摘出術(多くの場合腹腔鏡下)が急性胆管炎・胆嚢炎診療ガイドラインで推奨されている。胆嚢炎による黄疸例や何らかの理由で手術が行えない場合は経皮経肝胆嚢ドレナージ(PTGBD:percutaneous transhepatic gallbladder drainage)が推奨されます。

黄疸合併以外の重症または中等症急性胆嚢炎でも基本的に緊急または早期の胆嚢摘出術が推奨されており、初期治療に反応しない場合には手術や胆嚢ドレナージの適応を検討します。中高齢者の胆石合併急性胆嚢炎における胆嚢癌併存の可能性に留意します。

手術としては、腹腔鏡下胆嚢摘出術が基本となります。ただし、鏡視下手術の経験が豊富な医師と潜在性胆嚢癌に対する術中迅速組織診断が可能な施設での手術が望ましいです。

腹腔鏡下胆嚢摘出術の重大な術中合併症として胆道損傷、他臓器(消化管、血管、肝臓)損傷、出血があり、それぞれが全国統計でも0.2〜0.6%前後に発生しています。

総胆管結石症では、閉塞性黄疸,急性膵炎,胆管炎などの合併症の頻度が高いため、直ちに緊急胆道減圧ドレナージを施行しなければ生命に危機を及ぼす可能性のある重症・中等症の急性胆管炎や膵炎に対しては、緊急に内視鏡的胆管ドレナージを行う必要があります。全身状態の改善後結石除去を行います。

従来は開腹による総胆管切開切石術が主でしたが、内視鏡的処置と腹腔鏡下手術の発展により病態に応じた種々の治療法が選択できるようになっています。

【関連記事】
胆石症で救急搬送されていた 渡辺恒雄さん

胆石を指摘され、経過観察中の52歳男性

人間ドックで胆石を指摘された45歳女性