クールな二枚目役で、ドラマや映画、舞台で活躍した俳優、細川俊之さん(本名同じ)が14日午前5時24分、急性硬膜下血腫のため都内の病院で死去した。70歳だった。12日に都内の自宅の居間で転倒して頭部を強打し、病院に搬送されたが、帰らぬ人に。真剣な仕事ぶりはつとに有名だったが、前妻の女優、小川真由美(71)との間に生まれた一人娘を大事にするよき父親でもあった。

甘いマスクに加え、低い穏やかな声が魅力だった細川さん。晩年は病気がちで、最近も体調は思わしくなかったようで、突然の転倒が引き金となって息を引き取った。

所属事務所の社長で、1974年に再婚した元タカラジェンヌの典江さんによると、細川さんは今月12日、東京・西五反田の自宅マンションの居間で転倒。頭部を強打したため、救急車で病院に運ばれたが、急性硬膜下血腫のため死去した。

94年、過労などが原因でけいれん性発作重積症で倒れてからは病気がちに。95年に糖尿病と診断されて以来禁煙し、ウオツカのソーダ割など好きな酒も控え気味だった。が、50代後半になってからも「役者に定年はない。仕事人間のどこが悪いって感じです」というのが口癖。ミュージカルなどに出演する一方、昨年7月放送のテレビ朝日系「徹子の部屋」では、95年に脳内出血で40日間入院したことも初めて明かした。
(細川俊之さん転倒死…自宅居間、頭を強打)

急性硬膜下血腫とは


急性硬膜下血腫とは、頭部外傷の急性期(3日以内)に、硬膜下腔(硬膜内面とくも膜)との間に出血した状態を指します。

脳と脊髄を包む3枚の膜を髄膜といい、髄膜は外側から硬膜、くも膜、軟膜に分けられます。この硬膜とくも膜の間に出血することが、硬膜下血腫といいます。なおかつ、3日以内の急性期に起こるものが急性硬膜下血腫です。一方、それ以降の慢性期に起こってくるものを慢性硬膜下血腫といいます。

急性硬膜下血腫の出血源としては、脳表に生じた挫滅創からの出血があります。そのため、脳挫創と、くも膜下出血を合併するものが多いです(複合型)。

また、静脈洞とくも膜下腔との間を走行する架橋静脈の破綻によることもあります(この場合、乳幼児に多く、脳挫傷を伴っていない場合が多い)。稀に、脳表動脈が出血源であることもあります。

このように、急性硬膜下血腫の出血源はほとんど挫傷脳のため、受傷直後から脳損傷に伴う意識障害が出現し、時間の経過とともに意識障害がさらに悪化する危険性の高い疾患です。

硬膜下腔血腫の広がりを遮るものがないため、進展は非常に早く、脳挫傷を広範囲に伴っている場合は、容易に脳ヘルニアをきたし、死に至る可能性もあります。

症状としては、ほとんどの症例において受傷時から意識はなく、血圧、呼吸も不安定です。片側性の瞳孔散大や対光反射の消失、また片麻痺、病的反射の出現などが起こりえます。

診断は、頭部CTが非常に有用です。頭蓋骨内面に沿った三日月状の高吸収域の所見が特徴です。多くの場合、広汎な脳挫傷を両側大脳半球に伴うため脳室の圧排所見が強く、脳浮腫液の脳室からの吸収機能も低下しています。血腫の厚さ以上に正中構造が対側へ偏位している場合、脳浮腫が既に進行していることを示します。

急性硬膜下血腫の治療


治療としては、以下のようなものがあります。
治療は開頭手術による血腫除去、止血が原則となりますが、穿頭ドレナージのみで頭蓋内圧のコントロールを中心にする場合もあります。手術適応は意識状態、血腫量、脳腫脹など合併損傷の状態によります。

実際は、まずバイタルサインを整え、脳浮腫や侵襲性高血糖が増悪しないよう酢酸リンゲル液(1,000ml以内)、5%アルブミンなどの補液にて全身循環を整えます。

その後、開頭による血圧低下、頭蓋内圧亢進による脳ヘルニアを防ぐため、早急に穿頭術による血腫の一部除去を行った後、全身循環を安定化させ、さらに大開頭による二段階の血腫除去術を行います。脳浮腫液や有害神経伝達物質を除くため、可能であれば脳室ドレナージを設置します。

術後は、バイタルサインの安定化だけでなく、脳内ドパミンの放出に伴うラジカル反応や興奮性アミノ酸放出の抑制(脳温32〜33℃)、それに、サイトカイン脳炎を抑えるための感染症防止などの管理も重要となります。脳低温管理期間は、侵襲性サイトカインが減少する第4〜7病日を1つの目安とします。

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