読売新聞の医療相談室で、以下のような相談がなされていました。
首を通る頸動脈の超音波検査(頸動脈エコー)を受けたところ、「頸動脈分岐部に厚さ2・5个離廛蕁璽があり、一部に潰瘍形成が疑われる。46%狭さくもしている」と言われました。しかし、その後、血管造影検査を受けると「異常なし」と言われ、混乱しています。総コレステロールは254、LDLコレステロール164、HDLコレステロール69、中性脂肪83(単位はいずれも咫dl)です。再検査や治療を受ける必要はありますか。(67歳男性)

この相談に対し、北光記念クリニック所長である佐久間一郎先生は以下のようにお答えになっています。
首の超音波検査(頸動脈エコー)では、頸動脈壁の厚み(肥厚)やプラーク形成(血管の壁内にコレステロールの塊がたまること)を見つけることができます。

頸動脈分岐部とは、「総頸動脈」と呼ばれる血管が首の上部辺りで「内頸動脈」と「外頸動脈」に分かれる部分です。いちばんプラークができやすいところで、そこが破れるか、プラークの一部に穴が開く「潰瘍」ができると、血栓(血の塊)ができ、剥離して脳内に流れると脳梗塞になります。

また、プラークが大きくなり、頸動脈が詰まってしまうことがあります。血管の狭さく率が60%以上あり、潰瘍ができるなどすると危険な状態で、脳外科で血管にこびりついたプラークを削り取る手術を行います。

狭さく率は、頸動脈エコーで分かります。血管壁は3層構造になっていて、頸動脈エコーでは、それぞれの様子まで調べることができます。

一方、血管造影検査は、頸動脈エコーでは調べられない頭骨内の血管の狭さく状態も把握できますが、血液が流れている内腔部分だけを調べています。このため、狭さく部前後の血管壁も肥厚していれば、狭さく率は実際より低く出てしまうのです。

動脈硬化とは、広義では「血管壁の肥厚・硬化・再構築・機能低下を伴う動脈病変の総称」をいいます。これらの血管の変性を指しているわけです。

粥状硬化、中膜硬化、細動脈硬化の3者を含み、これらの3つのうち、臨床的に最も重要な粥状硬化を狭義で動脈硬化と呼びます。この場合の動脈硬化は「血管内膜における細胞増殖、脂質の沈着、結合組織の蓄積をきたした巣状の病変」といえます。

動脈硬化の最大の危険因子は年齢であり、加齢とともに有病率は増加します。特に、45歳以上の男性、閉経後の女性は動脈硬化予備軍となります。他の危険因子としては、高コレステロール血症( > 220mg/dl)、高血圧(≧ 140/≧ 90mmHg)、喫煙習慣、耐糖能異常(糖尿病)、肥満〔肥満指数(BMI)≧ 25kg/m2〕、低HDL血症( < 35mg/dl)、運動不足、家族歴が挙げられます。これら危険因子が多くなればなるほど有病率は加速度的に増加します。

一方、60mg/dl 以上の高HDL血症はいわゆる逆危険因子とされており、動脈硬化になりにくいと考えられます。

こうした動脈硬化を評価するために、上記のような検査があります。今回の相談者はどうしたらいいのか、佐久間先生は以下のようにお答えになっています。
「プラーク厚2・5弌潰瘍形成、46%狭窄」というのは、血栓ができる危険が非常に高い状態です。内科では、頸動脈エコーで、血管壁の厚さやプラークが1・1舒幣紊△襪函崙位硬化あり」と診断され、治療の対象となります。また、頸動脈と心臓の冠動脈は性質が似ていて、冠動脈にも動脈硬化がある恐れが高いと推測され、狭心症や心筋梗塞を起こす危険も高いとも判断されます。

しかし、質問者の場合、脳外科では、まだ手術の対象とはなりません。また、血管造影検査でも狭さくが進んでいるようには見えず、「異常なし」という結果が出てしまうこともあります。

頸動脈が肥厚する原因は、高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙、家族歴、年齢、男性であることなどが挙げられます。

最近、LDLコレステロールをHDLコレステロールで割った値が2・5以上でなければ、頸動脈の肥厚は起こらないことが多いというデータが示されるようになりました。質問者の場合は2・4ほどですが、糖尿病や高血圧、喫煙歴などがある人は、2・0以上でも肥厚が起こるとされています。

つまり、頸動脈の狭さくは、日頃の生活習慣の乱れが積み重なって起こるのです。頸動脈エコー検査を行っている循環器内科を受診して、定期的に検査を受け、治療の方針などについてよく相談してみてほしいと思います。

今後は、是非とも非侵襲的でもある頸動脈エコー検査によりフォローアップを行った方が良さそうです。

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