・あらすじ
“脚気に効く菓子”として、南方仁(大沢たかお)の考案した安道名津(あんドーナツ)が江戸で評判となったある日のこと。仁は、奥医師でもある西洋医学所の松本良順(奥田達士)から、「脚気の疑いがある皇女和宮(黒川智花)に、安道名津を献上してほしい」と頼まれる。あまりの光栄な出来事に、橘咲(綾瀬はるか)をはじめとする『仁友堂』の面々が大喜びする中、再び歴史を変えてしまうことに躊躇が生まれ、ひとり思い悩む仁。

そんな折、仁は、長屋を追い出され職を探している野風(中谷美紀)と再会する。野風を気遣い、『仁友堂』で働くことを勧める仁。経営難の『仁友堂』を切り盛りしている咲もまた、野風を快く招き入れるのだった。

後日、安道名津の献上を決めた仁は、咲を伴い“お忍び”で澤村田之助(吉沢悠)の芝居を見にやってきた和宮のもとを訪問。無事に献上を済ませた仁は、和宮が安道名津を美味しそうに食べる様子を見てホッとするのだが、それも束の間、和宮が突然、観劇の最中、その場で倒れてしまう。

騒然とする場から、和宮は運び出され、奥医師たちにより介抱が始まった。仁もその様子を聞き、砒素を盛られた可能性がある、とのことから胃洗浄を行うことを提案する。もちろん、奥医師でない仁は直接診療行為は行えないが、松本良順たちに指示を行い、事なきを得た。

だが、この騒動の渦中で、仁と咲は犯人として取り調べを受けることになってしまう。仁は医師でありながら、大部屋の牢に入れられてしまう。そこでは、囚人たちにより"間引き"され、殺害されてしまうことも珍しくなかった。

一方、咲は個室の牢に入れられ、仁の身を案じていた。そして、その一連の騒動を聞きつけた仁友堂の面々は、仁救出に奔走する。野風もまた、仁友堂を離れ、一人、仁の身を案じて動き出すのであった。こうした動きの中、"命のつた"(囚人に渡す金)を渡すことを拒否したところ、牢名主(宇梶剛士)の手下たちに窒息しさせられそうになる。

だが、その時、横になり、高みの見物をしていた牢名主は急に苦しみ藻掻き始めた。



胃洗浄とは


急性中毒の患者さんが救急搬送された場合、血液や尿検査などで、ただちに原因物質が判明するというわけではありません。そのため、診断においては問診(どんな薬剤を摂取したのか、どれくらい大量に摂取したのか、摂取後にどれくらい経過したのか、普段に服用している薬剤はどんなものなのか、など)が重要となります。

特異的な治療薬、拮抗薬が存在する物質は限られています。拮抗薬の有無にかかわらず、気道や静脈路の確保、痙攣に対する処置、催吐、胃洗浄、活性炭や下剤の投与といった基本的な中毒に対する処置、その他の対症的な治療を確実に行うことがまず重要となります。

胃洗浄は、一般には摂取後3時間以内ならばまだ胃内に残存している可能性があり、胃洗浄の適応といえます。3時間を超えると、ショックや重度外傷後などを除くと、ほとんど胃内には残存していないと考えられます。

目的は服用した毒薬物の回収除去で、ドラマでも使用されていましたが、活性炭の併用が行われたりします。効果は服用後の時間、服薬量、吸収率や腸蠕動への影響に依存します。

基本的な適応は
1) 毒性の強い毒薬物か
2) 大量服用で
3) 服用後1時間以内

の症例などです。しかし、多くは服用時刻が確定できず、確認された薬剤以外の毒薬物の同時服用が否定できないため、胃洗浄を行うことになります。

意識が清明な場合は吐かせた後、胃洗浄を行います。意識が障害されている場合には、あらかじめ気管内挿管をしたうえで胃洗浄を行い、その後1g/kgの活性炭を10〜20%硫酸マグネシウム溶液300mlに混ぜて胃内に注入したりすることもあります。

軽症であれば輸液と経過観察しますが、中等症以上では気道確保、人工呼吸、循環管理、体液管理などいわゆる生命維持療法が必要になります。

実際の方法としては、以下のように行います。

胃洗浄の方法


必要なものとしては、
1) 28Fセイラムサンプチューブ、または胃洗浄用ネラトンカテーテル(成人32−36F,小児20−24F)
2) 大型ロートかイリゲータ、
3) ピッチャー、バケツ
4) 局所麻酔ゼリー
5) 浣腸器
などがあります。

まず、処置中は心電図やパルスオキシメーターでモニタリングを行う必要があります。チューブを挿入路に沿って体表にあてすべての側孔が確実に胃内に入る長さをあらかじめ測定します。

上部消化管内視鏡の要領で咽頭麻酔後、誤嚥と洗浄液の十二指腸への流出を防ぐため左側臥位とし、口腔内の吐物、義歯を除去し、キシロカインゼリーを塗りながら胃管挿入の要領でチューブを経鼻的、または経口的に予定の長さまで挿入します。

浣腸器で胃内容の吸引を確認後、送気して時間差のない心窩部での送気音を確認します。自然落下や浣腸器で胃内容を可及的に吸引除去し、その性状、臭い、薬剤型遺残の有無を確認、必要に応じ分析用資料として保管します。

自然落差を利用して微温湯を1回200−300mL注入し、チューブの位置を調節しながら落差を利用して洗浄液回収と胃内容排出をはかります。意識清明で、服用物質が揮発性でなければ嘔吐させてもよいが最低限とします。

6〜8L、または排液が透明となるまで洗浄します。洗浄後、吸着剤(活性炭50g)と下剤(マグコロール1包など)を胃内注入します。

…原作とは少し違う部分もあり、ドラマではさらに踏み込んだ描写や、人物造形がなされており、毎週、楽しみにしております。

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