お笑いタレント、オール巨人(59)が2日、大阪市内で開催された臓器移植についてのシンポジウムにゲスト出演し、現在治療を続けるC型肝炎についての苦悩を激白した。

発症は15年以上前で昨年2月に入院。退院後も週に1回、新薬インターフェロン注射の治療を行い、大好きな酒も断ち、仕事を続行。しかし、同治療は副作用が強く、巨人自身も38度の発熱や嘔吐に苦しんだといい、「夏場はへたりました。車にバケツ積んで劇場に向かった。舞台上で貧血で真っ白に」と明かした。

1年半に及ぶインターフェロン治療も2、3週間後に終えるといい、家族や相方のオール阪神(54)の支えに「楽になった。仕事なかったら鬱になってた」と前向きな姿勢をみせた。
(オール巨人、C型肝炎の苦悩を激白)



C型肝炎とは


C型肝炎とは、C型肝炎ウイルス(HCV)感染により引き起こされる肝炎です。急性および慢性の病態を呈します。C型急性肝炎はA型やB型に比べて自覚症状が軽く、劇症肝炎になることはきわめて稀です。しかし、約 70 %と高率に慢性化します。C型肝炎は年余にわたって母子感染により細々と感染が続いていましたが、戦後の輸血および往診、予防接種などによりわが国に広く蔓延したと考えられます。

また、多数の地域集積性があることから、いわゆる往診も含めた医療行為によって広く感染したと考えられます。HCVは血液を介して感染するため、HCVによる輸血後肝炎が高頻度にみられています。1989年にHCVが発見され、輸血用血液のHCV抗体検査が導入されてからは、C型輸血後肝炎は激減しました。

C型肝炎はいったん慢性化すると自然治癒はきわめて稀であり、10〜30年の経過で肝硬変へ進展し、最終的に肝細胞癌を高率に合併します。C型慢性肝炎は一般にトランスアミナーゼの変動は軽度であり、多くの場合自覚症状を伴いません。しかし、長年の経過で徐々に肝病変が進展する疾患です。

日本では慢性肝炎の中でC型肝炎の占める割合は70〜80%であり、頻度の点からも重要な疾患です。

C型肝炎に関しては、世界には11グループ、28種類のC型肝炎が存在しますが、日本においてはジェノタイプ1bが約70%と最も多く、次いでジェノタイプ2aが約20%、ジェノタイプ2bが10%弱であり、これら三つのジェノタイプで95%以上を占めています。これ以外にはジェノタイプ1aが外国製の血液製剤を使用した症例にときにみられ、残りはわずかにジェノタイプ3bが存在します。

感染例の約30%は自然治癒しますが、慢性化した場合はウイルスの自然消失はほとんどなく、肝線維化が緩徐に進行する。一般に20〜30年の経過で肝硬変さらには肝癌に至ります。

肝線維化進展には感染時年齢、飲酒、性別(女性より男性が早い)、肝機能異常(トランスアミナーゼ値の変動)が関連します。最近、インスリン抵抗性や脂肪肝を合併する症例の進展速度が速いことが注目されています。

肝線維化進展度の進行に従って肝発癌率が高率となり、肝線維化の程度が軽いF1では発癌は皆無ですが、F2では年率1〜2%、F3では年率3〜4%、肝硬変(F4)では年率7〜8%に及びます。これらの発癌率は、糖尿病や脂肪肝の合併例や高齢者ではより高くなります。

ちなみに、線維化の程度は門脈域より線維化が進展し小葉が改築され肝硬変へ進展する段階を線維化なし(F0)、門脈域の線維性拡大(F1)、bridging fibrosis(F2)、小葉のひずみを伴うbridging fibrosis(F3)までの4段階に区分します。さらに結節形成傾向が全体に認められる場合は肝硬変(F4)と分類します。

C型肝炎の治療


C型肝炎の治療としては、以下のようなものがあります。
C型肝炎治療の究極の目標は、肝硬変への進展を抑止し肝発癌を予防することです。それにはまずウイルスの駆除が最も重要であり、完全消失例では肝炎の鎮静化はもとより肝線維化の改善・肝発癌の抑止が可能であり、生命予後の明らかな改善が得られます。

ウイルスの完全駆除が期待できる治療は、IFN(インターフェロン)療法があります。IFN療法の治療効果判定として、「治療終了後24週の時点でHCV-RNA(アンプリコア法定性)が陰性」の症例をウイルス学的著効(SVR)とします。

治療終了後にHCV-RNA陽性が持続した場合でもALTの正常化が持続した例は生化学的著効(BR)とされ、ウイルス学的著効のみならず生化学的著効においても同等の肝線維化進展および肝発癌抑止効果が示されています。

IFN(インターフェロン)の効果にはウイルス型(セログループ、ジェノタイプ)、ウイルス量(HCV-RNA量)、肝組織進展度が関連しています。

ウイルス型が2型、ウイルス量が低値(アンプリコアモニター法で100KIU/mL未満)、肝線維化が軽度の症例ではIFNの著効率が高いといわれています。

難治例である1b・高ウイルス量の症例を除けば、従来のIFN単独療法でもSVR率は比較的高率です。ジェノタイプ1bの症例に対するIFN単独療法の成績はウイルス量に規定され、500KIU以上になればIFN単独療法によるSVRはほとんど期待できないといわれています。

可能な限りトランスアミナーゼを正常化ないし低値に維持することが、肝線維化進展および肝発癌抑止に有効です。IFNが第1選択薬ですが、その適応がないか無効な場合に、トランスアミナーゼの低下を目的として、強力ネオミノファーゲンシー、ウルソデオキシコール酸などを投与します。

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